日産自動車、バイオエタノールで発電し600km以上の航続距離を達成する世界初の燃料電池車を発表


SOFCを発電装置とする燃料電池搭載EV。ブラジルに於いて開発に着手

日産自動車株式会社(本社:神奈川県横浜市西区、社長:カルロス ゴーン)は8月4日、バイオエタノールから発電した電気で走行する新しい燃料電池自動車のプロトタイプをブラジルで発表した。

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このプロトタイプシステムを搭載した日産の新技術「e-Bio Fuel-Cell」は、エタノールの他にも天然ガス等の多様な燃料と酸素との反応を利用して高効率に発電する固体酸化物型燃料電池(SOFC)を発電装置とするシステムであり、研究開発中この動力源を実車両に搭載するのは、今回が世界初となる。

プロトタイプ車両は、100%電気で走行する多目的商用バン「日産e-NV200」に、100%エタノールを燃料とする発電装置(SOFC)を搭載する特別仕様車とした。

SOFCにより高効率に発生した電気が24kWhのバッテリーに蓄電され、600km以上の航続距離を可能とする。

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日産は、ブラジルの一般道にて本プロトタイプを用いてフィールドテストを実施し、技術や車両の市場性などを検証の上「e-Bio Fuel-Cell」の更なる研究開発を重ねていく構え。

先の6月に日産が研究開発を発表した「e-Bio Fuel-Cell」は、100%エタノールもしくはエタノール混合水を燃料とするため、クリーン、高効率、かつ燃料供給がし易いことが特徴の技術。

サトウキビやコーンなど、植物由来のエタノールを使う事で大気中のCO2の増加をゼロに近づけることが出来る「カーボン・ニュートラル・サイクル」が実現することに加え、停車時からの走り出しの良さやきびきびした走りなど、バッテリーEVと同等のドライビングプレジャーやランニングコスト、そしてガソリン車並みの航続距離の実現が可能。

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このため日産では、エタノールの入手性の高さや、エタノール混合水の可燃性の低さにより、インフラの制約が少なく市場導入がし易い技術と考えている模様。

同車発表にあたって日産の社長兼CEOのカルロス ゴーン氏は、「e-Bio Fuel-Cellは、エコフレンドリーな移動手段を提供し、地産エネルギーの機会を創出するだけでなく、既存のインフラの活用を前提としています。

今後、e-Bio Fuel-Cellはさらにユーザーフレンドリーになっていくでしょう。

エタノール混合水は他の燃料に比べて扱いやすく手に入りやすいもので、かつインフラの制約が少なく、今後、市場が成長する可能性は極めて高いでしょう」と述べた。

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