アプライドEVは2015年に立ち上げられたスタートアップ企業
スズキは9月12日、次世代モビリティ用ソフトウェアの開発強化に向けて、アプライド・エレクトロニックビークルズ・リミテッド( Applied Electric Vehicles Ltd /本社:オーストラリア ビクトリア州、CEO:ジュリアン・ブロードベント/Julian Broadbent、以下、アプライドEV/Applied EV )に出資した。( 坂上 賢治 )
具体的な出資額については非公表。スズキは昨年9月にアプライドEVと基本合意書を締結。以降、両社間で協業の可能性を探ってきたと言う。
スズキは今回の出資を通じて今後、両社の関係を更に強化し、次世代モビリティ用ソフトウェア関連技術の共同開発を推し進める他、様々な事業上のシナジーを追求していく考えだ。
このアプライドEVは2015年に立ち上げられたスタートアップ企業だ。電動化や自動運転などでのソフトウエア開発技術に強みを持つ。
デジタル・バックボーン技術が全ての基礎にブランク・ロボットを発表
例えば、車両の制御と電装機能に係る部品の組み込みの複雑さを回避するべく、ソフトウエア主導で車両機能を統合制御するシステム「デジタル・バックボーン( Digital Backbone )」を開発した事では、自動車産業界ではよく知られている。従って日本の帝人を筆頭に素材メーカーや完成車メーカーなど、他社との連携の形も様々かつ多彩だ。
最も特徴的な保有技術は〝レベル4(特定の走行環境に限って完全自動化を実現する)〟や〝レベル5(搭乗者が運転に関与せず、走行システムが全ての環境下を担う完全自動化)〟などの自動運転を実現させるハードウエアとシステムソフトウエアの統合に於いて、先のデジタル・バックボーン技術が全ての基礎になっている所にある。
これを強みに同社は2021年の2月2日、同構想を更に一歩推し進め、自動運転車への対応も可能な多目的プラットフォーム環境「ブランク・ロボット( Blanc Robot )」を発表した。
アプライドEVの様々な用途に転用可能な技術がスズキの心を射止めた
このブランク・ロボットは、走行機能だけでなく、センシング、コネクテッドなどの最先端技術をコンパクトにまとめ上げた多目的プラットフォームになっている。
ブランク・ロボットのトップカバーには、コンチネンタル・ストラクチュラル・プラスチックス( CSP社 )の軽量・高強度・高剛性なグラスファイバーシートモールディングコンパウンド( GF-SMC )を用いて同社・既存のアルミ製トップカバーに比べ約20%の軽量化に成功した。
このGF-SMCは、金属では成形出来ない複雑な形状を短時間で一体成形出来るだけでなく、機密性を高めるのも容易なため、自動運転車には欠かせないバッテリーやモーター、ブレーキ、走行を管理する電子制御ユニットなどの機能部品を水や熱から保護出来る。
また用途に合わせた車体を搭載して自動走行させる事も可能なため、食料品や荷物などの配送用途から、工業輸送などの産業部門や、医療・一般交通など、様々な用途に転用可能だ。
これらを踏まえスズキでは「今後も、様々な分野で特徴のある技術を持つ企業との関係を構築し、次世代モビリティに必要な技術開発を加速させ、人と社会に必要とされる多様なモビリティを提供してまいります」と話している。
Applied Electric Vehicles Ltdの概要は以下の通り
本社:オーストラリア ビクトリア州メルボルン市
事業概要:モビリティ分野のソフトウェアの開発・提供
代表者(CEO):Julian Broadbent
創立:2015年
Webサイト:https://www.appliedev.com/