ボルボ・カーズ、クライメートニュートラルな都市造りを支援


浙江吉利控股集団傘下のボルボ・カーズ(本社:スウェーデン/ヴェストラ・イェータランド県・イェーテボリ、CEO:ホーカン·サミュエルソン)は北欧時間の1月12日、来る2030年迄を目標に、創業の地に於いてクライメートニュートラルな都市の実現に取り組むと発表した。(坂上 賢治)

それはスウェーデンのイェーテボリ市と協力。当地が持続可能な未来技術の実証の舞台となるべく、新しい都市創造の創設を目指すというもの。

より具体的には、スカンジナビア最大の港湾都市である同市を、様々なクライメートニュートラルな交通手段と接続されたインフラ地域として整備。イェーテボリ市で〝イェーテボリ・グリーン・シティ・ゾーン〟と称されている100%排出ガスを排出しない都市構想に対して積極的に貢献していくとした。

これによりボルボ・カーズは、地元市民の生活圏である都市を自社製品のテストの場として使用することになり、結果、〝電動化〟、〝共有モビリティ〟、〝自動運転〟、〝コネクティビティ〟、〝安全性〟の各分野でのさらなる技術向上に加え、サービス品質を高めていくことができるという。

実際、同社はこうした活動基盤の一環として、自社所有の〝モビリティプロバイダーM〟が運営するロボタクシーを、同市エリアゾーン内で稼働させる計画を本格実行に移し始めている。

Bodil Eriksson – CEO Volvo Car Mobility

このモビリティプロバイダーMとは同社が2018年7月4日、新たに立ち上げたモビリティ新ブランドである。このモビリティプロバイダーMは、スマートフォンに同ブランドに対応するアブリをダウンロード。これを介して、車両サービスへのオンデマンドアクセスを可能にするシステムを指している。

これはボルボカーズのグローバルモビリティ事業を拡大する戦略の一環として立ち上げられた。従ってモビリティプロバイダーMの目指すところは、より多くの人々が自由な移動手段を得ることを可能にすることにある。

プラットフォームサービスには、直感的なユーザーエクスペリエンスを提供。新世代のモビリティサービス推進を掲げてきた。その目的達成を目指し、2019年に生誕の地スウェーデンでのサービスインを皮切りに、米国展開を視野に入れてきた。つまり同社が都市活動に於いて、クルマを所有するという従来の形態に加え、新たな利用の姿を提案したものと言えるだろう。

Håkan Samuelsson – President & CEO, Volvo Car Group

以上の取り組みなどを踏まえてボルボ・カーズのホーカン・サムエルソンCEOは、「今後、我々は街中での自動車の台数全体を制限するプロジェクトを開始することになります。

しかしこれは〝効率性と利用率向上〟のために我々独自のAI技術を磨いたシェアード・モビリティサービスMで証明されている通り、我が社が私企業として目指す自らの将来像と綺麗に合致します。

私たちは、未来の都市創造に関与し、住み易い都市の姿を追い求め、それを維持したいと考えています。従って今取り組みは、そのための機会を与えてくれるチャンスであると同時に、自分たちの街に対して、ここまで育ててくれた生誕の地に、モビリティ企業として責任を持つ存在になれることを意味しており、嬉しく思います。

具体的な実証テストの事例としては、ゾーン内のクルマが電気のみのモードで動作し、制限速度内に留まることを保証する〝ジオイネーブルソリューション〟や、その他サービス。車のアクティブセーフティ機能に接続して、道路利用者間で情報を共有することができる交通インフラを確立することなどが挙げられます」と語った。

一方、ボルボ・カーズの最高技術責任者を務めるヘンリック・グリーン氏は、「我々の知識と技術を使ってクルマが電動化され、都市機能と接続され、それが共有されることを介して、当社はクライメートニュートラルな地元の都市造りに貢献したいと考えています。

またこれはリアル社会環境から物事をリードしていく試みとして、ひとつのチャンスでもあります。つまり大規模な都市環境で新しい技術やサービスを実際にテストすること。それがこの地で実証可能であるのなら、世界の多くの地域でも活用可能な技術であることを、各地の多様なモビリティ社会に対して示すことができるからです。

その他にも未来に向けて可能性を秘めた試みは数多あります。それは〝完全な電動モビリティーハブの実現〟。〝電気自動車のための完全で使いやすい充電ネットワークの整備〟。〝自動運転タクシーの導入〟などが挙げられるでしょう」と語る。

またグリーン氏は、「対してクライメートニュートラルな社会への移行を阻む障害も考えられます。それは気候に優しい技術やスマート技術などのテクニック面の不足ではなく、その取り組みを実行していくための資質の不足です。

というのは、こうした変革の実施にあたっては、イノベーションを促進するための鋭いアプローチ手法を編み出すこと以外に、全てのステークホルダーからの深く継続的な協力を得られることが絶対的に不可欠だからです。

そうした面でイェーテボリ市生まれの当社は、同プロジェクトの計画段階から積極的な役割を担っていく心積もりであるため、立ち上げ当初から電動化モビリティサービスを都市機能と統合し、地域の生きた環境を活かし、持続可能性を目指した高い目標達成へ向けて、地域の力を高めていくことができるでしょう。

実際、昨年2020年に我々が提供を開始したモビリティプロバイダーMは、イェーテボリ市の混雑を減らし、排気ガスの排出量を減らすことができています。つまりMから配車される1台のクルマは、現在、市内を走る民間所有の8台のクルマに取って代わることができているのです。

また積極的な環境負荷低減を目指すイェーテボリ市と同様に、ボルボ・カーズも来たる2040年までにクライメートニュートラルな企業になることを目標に、二酸化炭素排出量を継続的に削減させてきています。

加えて我々は、直近の2025年までに達成すべき多くの目標も持ち合わせています。それは〝自動車1台あたりのCO2排出量を40%削減する〟ことに始まり、〝全世界での車両販売台数の50%を完全電気自動車に、残りはハイブリッド車にする〟こと。製造や物流を含む〝事業全体で発生する二酸化炭素排出量を25%削減する〟ことなどがあります。

そうした目標を目指す我々は、今年2021年春からグリーンシティゾーンへの取り組み開始します。この活動を順次拡大させ、自身の未来を前向きに切り拓いていきます」と結んでいる。