GM、F1参戦に向けてチームを結成


GM傘下のキャデラック・ブランド、アンドレッティと英国へ新拠点

ゼネラルモーターズ( GM )とアンドレッティ・グローバルは米時間の1月5日、FIAフォーミュラ・ワン世界選手権( F1 )への参戦を目指す事を発表した。( 坂上 賢治 )

GMはキャデラック・ブランドとしてF1に参戦。双方が結成するアンドレッティ・キャデラックチームは米国を拠点にしつつも、欧州が中核となるフォーミュラ・ワンの体制に倣い、英国にサポート施設を設置する予定。

アンドレッティ・グローバルは、アンドレッティ・オートスポーツやアンドレッティ・キャデラック・レーシングなどを展開するアンドレッティ・レーシング・ベンチャーの親会社であり、GMとアンドレッティ・グローバルは、共に自動車産業と、インディ・カーシリーズを筆頭とするモータースポーツ分野で米国当地に於ける2大勢力でもある。

今回の両者が手を携えたF1参戦により、これまでのレースシーンでの実力と実績を、国際舞台へと広げる事になる。加えて近年、F1は米国に於いても人気が高まっており、2023年にはオースティン、マイアミ、ラスベガスでレースが開催される予定だ。

アンドレッティ・キャデラックチームは、今回の表明を受けてFIAが受理に向けて正式な手続きを開始する姿勢を示した際に、自らの関心表明書を提出する心積もりであるという。

加えてチームとして選出され次第、少なくとも1名のアメリカ人ドライバーを起用し、可能な限り早い段階での参戦を果たしたい意向だ。

ただ実際には、世界的な地球環境保全の流れを踏まえ、世界モータースポーツ評議会( WMSC )が規定する2026年以降の新たなF1パワーユニット・レギュレーションが、実際にF1パドックに於いて走り始めて以降に参入となるだろう。

なお新たな車両レギュレーションで、PU(パワーユニット)に関して現段階で判っている範囲では、MGU-Hの廃止に伴い、エネルギー回生システム( ERS )による出力を、現行の約3倍( 120kW )に相当する350kW( 約476馬力 )へと引き上げる。

またICE( 内燃エンジン )は1.6リッターV6のレイアウトはそのままに回転数制限は維持される。その一方で燃料流量は削減される。ただ技術の進化は進むため、PU全体の出力は1000馬力を超える見込みだ。

米国に於けるGMは、キャデラックVシリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権、ピレリ・ワールド・チャレンジなどで成功を収めてきた実績がある。

2017年以降、キャデラックはIMSAで米レースの最前線で戦い、勝利の実績を積み重ねてきた。これを糧にキャデラックは、新型ハイブリッド車「キャデラックV-LMDh」でスポーツカーレースを継続しつつ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権とFIA世界耐久選手権に参戦する予定となっている。

これらF1を含むレース参戦計画についてゼネラルモーターズ社長のマーク・ロイス氏は「ゼネラルモーターズは、レース界に於けるこの歴史的な瞬間に、アンドレッティ・グローバルとチームを組める事を光栄に思っています。

私たちは、モータースポーツとエンジニアリングの革新に於いて長く豊かな歴史を持っており、アンドレッティ・グローバルと組んでアメリカのF1チームを結成する事で、シリーズとスポーツに対する世界的な関心を更に高める事が出来ると思うと胸が高鳴ります。

キャデラックとF1は共にグローバルな魅力を高めています。私たちのブランドは、100年以上にわたるモータースポーツの血統を継承し、独自のアメリカらしいイノベーションとデザインをF1にもたらす機会を得た事を誇りに思います」と述べている。

一方、アンドレッティ・グローバル会長兼CEOのマイケル・アンドレッティ氏は「私たちは、アンドレッティ・グローバルとそのレーシングチーム・ファミリーを成長させると共に、常に次の展開を視野に入れています。

私たちはF1の新チームとして相応しく、シリーズとパートナーに価値をもたらし、ファンに興奮を与える事が出来ると強く感じています。この目標を達成するために、GMとキャデラックが、私たちと共にいる事を誇りに思います。

GMとアンドレッティは、レースへの愛から生まれた伝統を共有しています。私たちは今、モータースポーツへの情熱と革新への献身を結集し、真のアメリカのF1チームを構築する機会を得たのです。

FIAの評価プロセスに於いて我々は、FIAが提示した手順とステップに引き続き従っていきます。その一方で、私達は、アンドレッティ・キャデラックのF1参戦が正式に承認されるという幸運に恵まれた場合に備えて、前向きな準備を続けていきます」と結んでいる。