日産自動車と仏ルノーのアライアンスは1月30日、両社が予てより進めていた資本関係の見直しで同交渉が最終合意の段階にあるとの声明を発表した。( 坂上 賢治 )
それによると両社は、ルノーの日産への出資比率を約43%から引き下げて、双方共に15%ずつに揃えるべく協議を重ねているという。
また併せてルノーが新設予定のEV専業会社に日産が出資する事も検討する。これらは合意後、各々の取締役会で正式決定する必要があり、双方による承認後速やかにその内容を公表する予定だ。
両社は昨年10月を皮切りに、アライアンスの新たなパートナーシップの形を定めるべく、これまで数か月間に亘り建設的な協議を重ねてきた。その新たなアライアンスの形は以下連次の3領域で構成されている。
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■高い価値を生むプロジェクトによる、パートナーシップの再構築
- ▷ラテンアメリカ、インドおよび欧州に於いて、市場、自動車、技術のつの視点で展開される主要プロジェクトの推進。
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■パートナーが参加可能な新しい取り組みによる、戦略的な機敏性の向上
- ▷ルノーグループが設立するEV及びソフトウエアに特化したアンペア社の戦略的な株主になるべく、日産による同社への出資。
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■バランスのとれたガバナンスと株式の相互保有による、事業効率の向上
- ▷日産とルノーグループは、ロックアップおよびスタンドスティル義務を伴う15%の株式を相互に保有。両社とも、同保有株に付随する議決権を15%まで自由に行使可能。
- ▷ルノーグループは、日産の株式28.4%をフランスの信託会社に信託。ほとんどの議案に関する議決権は 「中立化」 されるが、株式が売却されるまでの間、ルノーが保有する経済的な権利(配当金と売却代金)は維持。
- ▷ルノーグループは、同社にとって商慣習上合理的な場合、協調的で秩序あるプロセスにて信託会社に信託した日産株式の売却を指示するが、特定の期間内に売却する義務は負わない。
- ▷アライアンス オペレーティング ボード(AOB)は、各社の調整の場として存続。
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ちなみにルノー側は、昨年中の協議合意を求めていたが、日産が保有する特許等の知的財産の取扱いで折り合いがつかず交渉は暗礁に乗り上げていた。しかしルノー側からの新たな提案を受け、今年に入って進展を見せつつあった。
いずれにしても最終合意に向けた協議は引き続き行われている事から、最終発表に至る迄、更なる猶予が必要としており、先の通り日産側としては社内承認を得た後、速やかに詳細を公表する予定だと話している。