ボルボと吉利、中国でのポールスターブランド浸透に7億5,600万米ドルを投資


ボルボ・カーズ(本社:ヴェストラ・イェータランド県・イエテボリ、CEO:ホーカン·サミュエルソン)と、吉利ホールディングス(浙江吉利控股集団、本社:中国・杭州市浜江区、CEO:李書福)は中国・上海時間の10月17日、両社でポールスターの中国本土に於けるブランド浸透を目指して7億5,600万米ドル(発表時換算で約849億円/50億元)を投資する。

この投資により、先の2015年7月14日(スウェーデン時間)にボルボカーズの子会社となったポールスターブランドを、中国本土に於ける高性能EV企業の代名詞に仕立て上げるべく、その立ち位置を確かなものとしていく構え。

具体的には、上海で開催されたボルボカーズの戦略発表会に於いて、中国の成都に最新鋭設備を揃えたポールスターブランド車の生産施設のプロダクション・センター(Polestar Production Centre)を設立すると発表。

同ブランドからリリースされる新型車ポールスター1(Polestar One)を先兵に中国に於けるボルボ・カーズグループ拡張の新たな章を刻んでいく。

この成都のポールスター・プロダクション・センターは現在建設中であり、来る2018年中頃完成の予定としている。

ここから生まれるポールスターブランド車は、ボルボカーズが、これまで蓄積してきた車両製造技術と、かつてポールスターパフォーマンスとして勝ち得た持ち前の専門知識を組み合わせることで、より大きな利益を得る足掛かりを掴むことになると云う。

ポールスター最高経営責任者(CEO)のトーマス・インゲンラート氏は、「ポールスターワンはボンネットにポールスター(北極星)を飾る初の車です。

最新技術を装備した美しいGTは、新しいポールスターのブランドにとって素晴らしい第一歩です。

ポールスターの未来の車はすべてフル電気駆動で、独立した高性能電気自動車ブランドになるという当ブランドのビジョンを実現するものになります」と語った。

またこうした取り組みは、ポールスター並びにボルボブランド双方の中国に於ける事業戦略上の優位性をもたらすとする。

と云うのは、この取り組みにより両社は、素材や部品調達コストの共有、新型車両や技術の共同開発、経済規模の確保など、いずれも未来の事業戦略上、互いの相乗効果が生み出されることになるからだと両社では述べている。

今後ポールスターブランドは、先の通り、中国に於けるEV市場発展の先兵として中国に於けるボルボブランドの浸透を主導。

一方、ボルボカーズは親会社として、ポールスターを含む電動車ラインナップを牽引し、世界のEVトップブランドとしての地位確立を目指して行く。

さて、そんなポールスターブランドにとって、文字通り世界初披露となった「ポールスター1(Polestar1)」は、600hpの最高出力・1000Nmの最大トルクを誇る2ドア・4人乗りのハイブリッドクーペとして登場した。

ポールスター1はハイブリッド車でありながら、電動モーターのみによる航続走行距離は150kmと長く、またそのシャシーは、先のトーマス・インゲンラート氏によると、「ボルボ・カーズが独自開発した基本骨格『SPAモジュラー・ビークル・アーキテクチャー』に基づいており、そこにポールスターの開発陣のノウハウが注ぎ込まれて完成しました。

そのユニークな操縦感覚や乗り心地は、これまでのプラグインハイブリッド車とは一線を画すものです。

その強みは、ここ中国本土に於いてもボルボ・カーズグループのプレミアムEVブランドとして確かな立ち位置を示すものになるでしょう」と話している。

このポールスター1は、ボルボのスケーラブル・プラットフォーム・アーキテクチャ(SAP:Scalable Platform Architecture)に基づいているが、およそ50%はポールスターのエンジニアが作った新しいカスタムメイド品であると云う。

ポールスターワンは新開発のオーリンズ(Öhlins)連続制御電子サスペンション(CESi:Continuously Controlled Electronic Suspension)を装備。

車体の一部をカーボン・ファイバー化にすることで車両重量を軽量化、ねじり剛性は45%アップさせ、重心を低くした。

さらに、駆動トルクのベクトル化(多角的に配分)を可能にするダブル電動後軸を使用。

これにより各車輪を個々に加速力に転換できるため、ドライバーは路面グリップを最大に保ち、コーナリング時でそのスピードを維持できるようになっている。

さらに両社は来る2019年末迄を目処に、純粋電動車のポールスター2。さらにクロスオーバースタイルのポールスター3のリリースも目前に控えている。

なお、これらのEVの車両供給方法に於いては、いわゆる利用した期間に応じて料金を支払う方式サブスクリプション(Subscription)方式も視野に入れてくる可能性が見えてきている。

これは現在の従来型オーナーシップ・モデルから脱却を意味し、この新たな流通経路に乗った車両は100%オンラインで注文を受け付ける。

そして以降、2から3年のサブスクリプションを前提に提供。デポジットなし、すべて込みのサブスクリプションでは、引き取り、配送サービスやボルボとポールスターの代車貸し出しが追加され、すべてまとめて月払いになる見込みだとする。

この定額サブスクリプションは、ポールスターの車を所有することが手間のかからない顧客体験になることを意味する。

また、これはフォン・アズ・キー(Phone-As-Key)技術で容易になる。このフォン・アズ・キー技術によりオーナーは第三者とバーチャル・キーを共有したり、他の多くのオンデマンド機能にアクセスしたりできるようになる。

この新たなコンシェルジュ・サービスを背景に、車両利用のユーザーは、純粋に運転を楽しむことだけに集中できるとしている。

ちなみに、前出のポールスター2は、今回、新型車両を発表したポールスターブランドのみならず、ボルボ・カーグループが発売するなかでも世界初の完全電気自動車であり、テスラ・モデル3(Tesla Model 3)をめぐる競争に加わることになる。

なお今後の2019年から2021年の間に発売される両社ブランド車の合計5台のうち、最も最初の電動車となる予定が、このポールスター2になるのだと云う。

サブスクリプションによる顧客との商流が完成したあかつきには、ポールスター車の発注を含むコンフィギュレーションはポールスターのアプリかオンライン・ポータルを使ってオンラインで行う。

またポールスターは、これを背景とする世界中でポールスター・スペーシズ(Polestar Spaces)名付けた顧客とのネットワークを開設。

ここで未来のポールスターの顧客は、製品やブランドと関わることができ、ポールスター・スペーシズは、既存のボルボ販売店やショールームとは異なる独立型の施設となる予定である。

最後に最も直近に於いて新たにリリースされるポールスター1の受注は、2017年10月17日に開始される。