東レ株式会社(本社:東京都中央区、社長:日覺 昭廣、以下「東レ」)は、環境配慮型製品向け素材開発強化の一環として、次世代を担う高性能炭素繊維の国内開発を加速させる。
このため炭素繊維の国内主要研究・開発・生産工場である東レ愛媛工場(愛媛県松前町)の敷地内に新設建屋を設置し、革新プロセス開発設備の導入を決定した。
なおこの設備は、2019年はじめから稼働を開始する計画であるとしている。
今回導入する設備を介して開発した炭素繊維は今後、航空機だけでなく、自動車や圧力容器、風力・水素エネルギー関連を中心とした産業用途向けにも幅広く用途探索を進めていき、高付加価値製品の市場拡大に向けた展開を図っていく。
そもそも軽量かつ、高強度という優れた性能を持つ炭素繊維は、機能性向上や燃費改善が求められている航空・宇宙用途のハイエンド向けを中心に、更なる高性能化へのニーズが高まってきている。
また一方で、自動車用途をはじめとした高性能かつコストパフォーマンスが求められる産業用途向けでも、地球環境問題や資源・エネルギー問題へ対応する電気自動車の需要増加や、燃料電池車の拡大などにより、急速な拡大が続いている。
このような背景から、炭素繊維世界市場全体として、度東レでは今後も年率約10%以上での伸長を見込んでいる。
東レはグループ全体で、炭素繊維の旺盛な需要に対応するため、日本をはじめ欧州、米州やアジアの各拠点でも継続的に生産能力の増強を進めており、これによって世界No.1の炭素繊維サプライヤーとして強固な供給体制を構築してきた。
今回の日本国内に於ける開発設備では、T800Sの次世代グレードの創出と共に、T1100G(強度7GPa)から、更なる高強度化を図った世界最高強度糸の開発や、革新的な生産性改善技術を開発。
これらの取り組みを介して、来るべき循環型社会・水素社会に向け、環境配慮型製品向け素材として炭素繊維の普及拡大を目指し、更なる高性能化とコストバランスの両立へ取り組んでいく構えだ。
ちなみに東レ自身は、今年4月にスタートさせた新中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”のなかで、複合材料事業の重要課題として「トレカ事業の市場拡大」を掲げている。
同社では、「今後も商品の高度化に向けた開発体制を強化することで、旺盛な需要を取り込み、複合材料事業の更なる拡大を目指します」と述べている。