富士重工業 産業機器カンパニーをスバル自動車部門へ統合し、経営資源を集中


産業機器事業の開発案件を停止することで、経営資源を集中。自動車部門の競争力強化を目指す

富士重工業株式会社(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:吉永泰之)は5月12日、今後の持続的成長の実現を目指して、経営資源をより有効・柔軟に活用していくことを目指す。

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具体的には、事業の中核である自動車部門のさらなる競争力強化を図るために、2016年10月1日より、産業機器カンパニーをスバル自動車部門(スバル・オートモーティブビジネス)に統合することを、同日の臨時取締役会にて決定した。

この事業統合により、産業機器カンパニーは社内カンパニーから、スバル自動車部門の一部となる。

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産業機器事業の既存製品の製造・販売・サービスは当面継続するものの、開発案件を停止することで、いわゆる「選択と集中」を実行。開発人員などの経営資源を順次、スバル自動車部門へ投入していく計画。

同社は、2014年5月に発表した中期経営ビジョン「際立とう 2020」にて、「スバルブランドを磨く」ことを重点取り組みとして掲げてきた。

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この取り組みをさらに加速させるには、自動車部門の開発リソースの増強が重点課題のひとつであると同社に於いては認識していると述べ、全社的な経営資源の配分の最適化の観点から、今回の決定に至ったとしている。

なお今後の具体的な計画の詳細については今後検討を進めていくとし、現段階では明確な指針・方向性・施策等の示唆は明言していない。

ちなみに同社産業機器カンパニーとは、埼玉県北本市にある富士重工業埼玉製作所で、建設機械や産業機械に搭載する汎用エンジンを始め、スノーモービルやバギーなどのエンジン、またエンジン駆動の発電機、投光機、ポンプなどの製品を開発・生産している部門。

一般市場に於いて、最も有名なのは黄色いカラーの『ロビン』ブランドで知られる汎用エンジンだろう。同製品は1951年のM6型発売以来、世界各国であらゆる用途、使用環境の中で使われるタフな動力源として高い信頼を得てきた。

現在は2000種以上のラインアップが用意されており、輸出先は90カ国を超え、世界各国で信頼できるブランドとして愛用されている同社の隠れたベストセラーと云える。

またスノーモービルやバギーなどのエンジン開発では、去る2013年に資本提携を解消したが、米国のポラリス・インダストリーズ等へのエンジン供給で、北米地域を中心に技術分野に関わるイメージ浸透で、高いブランド力を確立してきた。

実際、当地のATV(全地形対応車)並びにスノーモービルレースの人気は、我々日本人が想像している以上にとてつもなく高く、北米に於けるスバル人気の背景で、下支え要素のひとつとなってきた。

これらに関わる技術者達は、筆者も過去に技術者取材を通した知見を持っているが、同社の自動車部門に関わる人員に負けず劣らずの厚い人的資源を抱えており、航空領域を背景にする同社ゆえに流体力学を筆頭とする専任技術者が育っている。今回の方針により、そうした人員の自動車部門への参画が進むことになる。(坂上 賢治)