株式会社神戸製鋼所(本社:兵庫県神戸市、代表取締役社長:山口 貢、以下、コベルコ)は加古川製鉄所薄板工場で、自動車用超ハイテン鋼板の需要拡大に対応していく。
具体的には、新たに薄鋼板の連続焼鈍設備を中心とした設備投資を決定。2021年2月の稼働開始を目指して、設備建設を進めていくという。
その新設備の概要は、投資額がおよそ約500億円。新設を目指すのは、連続焼鈍設備・リコイラー・その他付帯設備。さらにPTCM設備(酸洗及び冷間圧延の連続ライン)・構内物流設備に投資していく。これにより生産能力を年間24万トンに拡大させる。なお稼働開始は2021年2月を照準に据えている。
より具体的な設備概要としては、連続焼鈍設備と溶融亜鉛めっき・合金化設備を併せ持つ「冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板兼用製造ライン(冷延鋼板と溶融亜鉛めっき鋼板など製造する品種によって、通過工程を切り替えるライン設備。冷延鋼板製造時は連続焼鈍設備にて熱処理を実施。また溶融亜鉛めっき鋼板製造時は連続焼鈍の後、めっき設備にてめっき処理を実施する)」の増強を図っていく。
これら新設する連続焼鈍設備は、最新鋭の熱処理機能を有しているもので、冷延鋼板および溶融亜鉛めっき鋼板の製品化で顧客ニーズに即した「高加工性超ハイテン鋼板(超ハイテン鋼板:強度(TS)≧780MPaの高加工性超ハイテン鋼板で超ハイテン鋼板の内、加工性に優れた薄鋼板のことを指す)」の生産が可能となる。
加えて設備新設に伴い、既存の生産設備や構内物流設備の能力増強も併せて実施する。
同設備投資に重点的に注力していく理由は、自動車メーカー各社に於いて燃費規制と衝突安全規制への対応のため「車体の軽量化と高強度化」が課題に浮上しているため。
自動車用ハイテン鋼板の需要拡大を見据えた生産能力の拡大と生産性向上、将来的な更なる高強度化、高加工性ニーズへの対応を目的として意思決定した。
なお神戸製鋼所は基より、自動車用ハイテン鋼板の生産拠点として日本(加古川製鉄所)、米国(プロテック社・米国United States Steel Corporationと当社の合弁企業であるPRO-TEC Coating Company。北米におけるハイテン鋼板生産拠点)、中国(鞍鋼神鋼冷延高張力自動車鋼板有限公司・鞍山鋼鉄集団公司の有力子会社である鞍鋼股份有限公司と当社の合弁会社。中国におけるハイテン鋼板生産拠点)と、日米中3極での「ハイテン鋼板のグローバル生産体制」を整えてきた。
今後は、この取り組みを推し進めることで、加古川製鉄所は高加工性超ハイテン鋼板の生産拡大が可能となり、現在プロテック社で建設中の新溶融亜鉛めっきラインと合わせ、日米での高加工性超ハイテン鋼板の同時生産を実現する。
神戸製鋼所では「当社は、今後も品質に優れたハイテン鋼板の製造、供給を通じて、燃費向上やCO2削減に繋がる自動車の軽量化、及び安全性に優れた自動車の高強度化に貢献して参ります」と述べている。