輸入車試乗会2019、ボルボ V60 T5インスクリプション


日本自動車輸入組合(JAIA)が2月5日に実施した「第39回 輸入車試乗会」にて、ボルボの新型ステーションワゴン「V60 T5 インスクリプション(V60 T5 Inscription)」に試乗した。

セダンモデル「S60」のステーションワゴン版として2018年に登場したのが「V60」。今回試乗したのは、2.0L直列4気筒ターボを搭載するFF車のT5に、専用デザインの18インチアルミホイールやクロームトリムなどをあしらったラグジュアリー仕様のV60 T5インスクリプションだ。日本ではボルボ・カー・ジャパンで販売している。

ラインナップには他にも、FF車ベーシック仕様のV60 T5モーメンタム(V60 T5 Momentum)や、2.0L直4にターボとスーパーチャジャーを採用したプラグインハイブリッドモデルのT6ツインエンジンAWDインスクリプション(T6 Twin Engune AWD Inscription)と、T8ツインエンジンAWDインスクリプション(T8 Twin Engune AWD Inscription)がある。

V60 T5インスクリプションに試乗して、最も印象的だったのが「普通に乗れるクルマ」であること。
全長4760mm、全幅1850mm、全高1435mmのボディサイズは、同社フラッグシップステーションワゴンのV90より全長で-175mm、全幅で-30mmと全体的に一回り小さい。デザイン的には同様のコンセプトを持つ2モデルだが、V60にはV90ほどの威圧感がなく、日本の道路では道幅などを考えるとちょうどいいサイズだと感じる。

乗り味も、あまり気負わずに気持ちのいいドライビングが楽しめる特性だ。ゼロ発進からアクセルを踏み込んだ分だけリニアにパワーとトルクが出てくる感じで、エキセントリックな加速感こそないものの、安心感のある上質な走りが体感できる。

電子制御式8速ATも車速に対しナチュラルなシフトフィールで、ストレスなく加速していく。
今回の試乗会で乗った欧州車の多くがパドルシフトを採用するが、同モデルには装備がなく、マニュアル変速はシフトレバーを横に動かしモードを変え、レバーを前後に動かし変速を行うタイプだ。
クイックな変速こそできないものの、ギア比が絶妙なのか加・減速時に変速のタイムラグなども感じないため、「そういうクルマ」だと割り切れば、逆に余裕を持った走りが楽しめる。この点でも、前述の通り、気負わず「普通に乗れる」モデルだといえる。

ハンドリングは、ステーションワゴンとしては軽快で、タイトターンや切り返しでも車体がハンドルの切り角に対し素直に反応し、キビキビと曲がってくれる。
高速道路での直進安定性も抜群で、路面の凹凸などでもサスペンションがうまく衝撃を吸収する。特に、リアのインテグラル式サスペンションは、荷物を積むことを考慮したステーションワゴンとしては硬すぎる感じがなく、逆に柔らかすぎてフワフワした感じもない。適度なダンパー特性が、快適なクルージングを提供してくれる。

ダッシュボードに配した9インチのタッチスクリーン式センターディスプレイやメーター類も見やすく、操作性も良好。また、インスクリプション専用のレーザーシートもホールド感がよく、座り心地は満点。スウェーデンの伝統を受け継ぐというドリフト・ウッド・パネルも高級感を演出している。

内外装から走りまで、全体的に特に派手さはないものの、全てにおいて上質で落ち着いた雰囲気を生み出している。価格(税込)はV60 T5 インスクリプションで599万円。