ロバート・ボッシュGmbH(本社:シュトゥットガルト・ゲーリンゲン、代表取締役社長:Dr.rer.nat.Volkmar Denner <フォルクマル・デナー>、以下、ボッシュ)は、車載ナビゲーションシステムをより便利にするために、衛星写真を使って地図の高低差をリアルに表示するナビゲーションソフトウェアを開発した。
これにより高層ビルが立ち並ぶ中でも、ドライバーは自車の現在位置をより簡単に把握しやすくなる。
これは、新たに設けられたナビゲーションデータ規格(NDS)に適合したデータを3Dレンダリングモジュールで処理し、非常に美しい映像マップを造り上げるナビゲーションソフトウェアにより可能になったもの。
なおこのシステムは、常時オンライン接続されていないナビゲーションシステムでも機能する。今後将来的には、例えば最新の気象情報や走行ルート沿いにあるガソリンスタンドの燃料価格などをナビゲーションのマップに表示できるようになると云う。
パワフルな3Dマップエンジンが連続ズームを可能に
この新しいナビゲーションソフトウェアの中核を担うのが、OpenSceneGraphをベースとした3Dマップエンジンである。
このシステムでは、ビルなどの立体的要素を半透明して、ディスプレイに複数重ねる「スーパーインポーズ」を用いて、視界を遮る建物など障害物の向こう側に延びる道路をマップ上で視認できる。
また、表示されたマップは、最大の詳細レベルからマップ全体の俯瞰まで、非常にスムーズに拡大/縮小表示することができる。
さらに、このソフトウェアはNDSデータに含まれる地形情報を利用し、土地の高低を表示できるほか、マップの地平線側の部分を人工的に上方に曲げ、画面を最大限に活用し、ルートを表示することもできる。
この新しいソフトウェアは3D artMap機能をサポートしているため、建物のエッジに丸みを付け、適度に着色し、周囲の風景を水彩画風に表示させることも可能。
システムの操作方法は、音声入力、マルチタッチ、手書き認識の3種類から選択することができる。
また、この3Dマップエンジンは、センターコンソールのディスプレイやインストルメントクラスターのディスプレイなど、複数のスクリーンに異なるエリアのマップを同時に表示することもできる。
表示の精細度も、インフォテインメントシステムの演算処理能力とメモリ容量に合わせて調整できる。
このように、このナビゲーションソフトウェアは、自動車メーカーが個々のニーズに合わせて設定を変更できるようになっており、アップデートもUSBメディアやスマートフォンを接続して簡単に行える。
ダイナミックデータを用いて交通情報以外の情報も表示可能に
現在、交通渋滞をリアルタイムでマップに表示可能できるが、将来、インフォテインメントシステムがインターネットに接続されている状況下では、それ以外の情報もマップに重ねて表示できるようになる。
例えばボッシュのコネクテッドホライズンを利用すると、クラウドに蓄積された道路状況のデータをリアルタイムで呼び出せる。
それを3Dマップエンジンが視覚情報に変換し、たとえば降雨の激しい地域や、路面凍結の恐れのある地域を、色を変えて表示できるようになる。
この時に画面上で指先でなぞって円を描けば、システムはそのエリア内を通る代替ルートを計算してくれる。
また、地域ごとの気温や嵐の予想進路も表示でき、米国の竜巻がよく起きる地域ではこの機能は非常に役立つ。さらに、電気自動車にこのシステムを搭載すると、現在のバッテリー残量でどこまで走れるかという航続距離情報が、半透明で重複表示されるようになる。
これらのナビゲーションデータ規格(NDS)は、自動車メーカー、自動車機器サプライヤーとマッププロバイダーが合同で開発した規格。
フォーマットを標準化することにより、製造元の異なるナビゲーションシステム間でも容易にマップデータを交換できるようになるほか、標準化によってバリエーション数が減少し、マップのアップデートも簡単に行えるようになると云う。
NDSの詳細(英語) < http://www.nds-association.org >