ダカール14日、サインツ通算4度目のリタイヤ。王座獲得へ向けて、ペテランセル慎重姿勢崩さず
ダカール2016は1月14日を迎えた。この日は全車リエゾン(移動区間) 281km+SS(競技区間)431kmの合計712kmを走る。
SSはアルゼンチンのラ・リオハからサン・ファンの山間地で431㎞のSSで実施され、タフな競技者は競技日程が残り3日となったことから、果敢にアタックするも、SSの距離は実に431kmと長い。
しかも高い気温による酷暑と埃の中、堅い岩盤質の路面と表層に溜まった沈殿土がパウダー状に堆積したフェシフェシが延々と続くため、車両がオーバーヒートするなど、この日もタフな戦いとなった。
注目の4輪部門は、昨日のスタート時で総合首位の座にあったカルロス・サインツ選手(プジョー2008DKR16)のマシンが復旧せず、やむなくチームは協議続行は不可能と判断してリタイアを発表。通算29回もステージ優勝を果たしながらも、2013年から数えて通算4度目のリタイアとなってしまった。
スタート時間は、今日も降雨の影響を受けて1時間遅れとなった。
レースは逆転優勝を狙っているナッサー・アル-アティヤー選手(ミニ・オール4レーシング)が快走して2度目のステージ優勝を飾る。
その一方で、総合首位となったペテランセル選手は、通算12回目の総合優勝を目指して慎重に走り、ステージ首位からは約8分遅れの4位でゴールラインを潜った。
そしてこの日のステージ2位となったのは、プジョーのセバスチャン・ローブ選手、総合順位は前日同様の9位となっている。総合3位争いは、トヨタのジニール・ドゥビィリエ選手がリード。MINIのミッコ・ヒルボネン選手は総合4位となった。
一方、四輪市販車部門で3連覇に挑む日本のチームランドクルーザー・トヨタオートボデーは、前日にクラス首位へ浮上したニコラ・ジボン/ジャン・ピエール・ギャルサン組が、ステージの186.3km地点で大きな岩にヒットして横転する。
幸い大事には至らず、以降はペースを抑えつつゴールして、クラス3番手、クラス首位の座を守った。チームメイトの三浦昂/ローラン・リシトロイシター組は、終盤のチェックポイントを前に、原因不明のエンジンストップに見舞われ、牽引された状態でゴールに到着した。
トラック部門のステージ優勝は、Kamazのエドワルド・ニコラエフ選手、2番手はMANのピーテル・フェルスルイス選手、3番手はIVECOのトン・ファン・ヘヌフテン選手。
総合順位では、SS6位のジェラルド・デ・ローイ選手(IVECO)、アイラット・マルデーブ選手(Kamaz)は1時間9分差で2位 、3位はフェデリコ・ヴィジャグラ選手(IVECO)で1時間45分の差となった。
日本期待の日野チーム・スガワラ勢は、菅原照仁/杉浦博之組が総合14番手、菅原義正/高橋貢組528号車は総合31番手につけている。
2輪部門はKTMのトビー・プライス選手が総合首位を守る。総合2位はKTMのステファン・ソヴィツコ選手。同じくKTMに乗るアントワーヌ・メオ選手はステージ優勝を果たし、総合順位で3位に浮上した。
一方、ホンダのパウロ・ゴンサルヴェス選手は、ゴール目前の60km手前でクラッシュを喫してメディカル・カーで移送。結局、サン・フアンの病院へと空路で向かうことになる。これにより、ゴンサルヴェス選手はラリーを去ることになった。
バギー部門は、南アのブライアン・バラガナット選手(Yamaha)を、パトロネッリ兄弟が抑え、兄アレヒャンドロ・パトロネッリ選手がステージ優勝、3位に弟マルコス選手が入る。
総合順位は、マルコス・パトロネッリ選手(Yamaha)が首位。これを兄アレヒャンドロが後を追う展開。総合3位はブライアン・バラガナット選手(Yamaha)となっている。
明日のデイ13は、サンフアン〜ビージャ・カルロス・パス間931km(SS距離481km)で行われる。
ダカール15日、ヒルボネン初のステージ優勝。ペテランセル、いよいよ王座目前
ダカールラリー2016は1月15日を迎えた。この日はサン・ファンから最終ビバーク地のヴィラ・カルロス・パスへの行程で、267㎞のSS(競技区間)が行われた。
SSの舞台は、コルドバ近郊の山間地でツイスティな山岳路が中心。4輪・2輪・バギーは、リエゾン(移動区間) 450km+SS(競技区間)481kmの合計931kmの設定。
トラックは、コース幅の狭いところが多いことから途中で分岐して終了する267㎞の設定となった。それでもSSスタートまでのリエゾン(移動区間)自体は414㎞と長く、SS終了後の185㎞を含めた全行程は866㎞とトラック部門では今大会最長となった。
この日は幸い天候に恵まれ、選手達は早々にビバークを出発。午前9時20分から始まったステージ12の競技区間は、481kmと長く厳しい状況が点在することから、後半戦最後の勝負どころとなった。
同日デイ13(第12ステージ)は、4輪部門に於いて2台のトヨタと2台のMINIの競い合いとなった。結果、SSの順位は4台が1分以内の僅差で接戦するという状況。
結果、MINIのミッコ・ヒルボネン選手が今大会初のステージ優勝を果たす。これを追い逆転での総合優勝を狙うナッサー・アル-アティヤー選手(ミニ・オール4レーシング)は9秒差のステージ2番手。
3番手はトヨタのリーロイ・プルター選手、4番手はトヨタのジニール・ドゥビィリエ選手となった。
一方で既に、50分以上のリードを持つに至ったプジョーのペテランセル選手は、この日も慎重にステージを走り切って、ステージ10番手。およそ40分のマージンを保持したまま、明日のファイナルステージを迎える。
最終日前日の総合順位は、首位がペテランセル選手、2位に40分59秒差のアル-アティヤー選手、3位にトップとの差1時間7分16秒のドゥビィリエ選手、4位ヒルボネン選手、5位リーロイ・ポルター選手、6位にホワン・ナニ・ロマ選手、プジョーのセバスチャン・ローブ選手は前日の9位と変わらず。
対して日本のチームランドクルーザー・トヨタオートボデーのニコラ・ジボン/ジャン・ピエール・ギャルサン組は若干、抑えたペースでスタートした。
このため序盤は市販車部門2位のX・フォジ組、トヨタ・ランドクルーザープラドに5分ほど先行されたが、終盤には逆転を果たし、SS総合34位/市販車部門1位でゴール。これにより累積順位で市販車部門首位をキープするとともに、2位とのタイム差を34分22秒に拡大した。
一方、三浦昂/ローラン・リシトロシター組はエンジンが停まるトラブルがリエゾンで再発したものの幸い、SS中に大きな影響を与えることはなく、総合40位/市販車部門3位の成績で走り切った。この結果により累積順位は総合47位とし、市販車部門の4位につけている。
トラック部門は、MANのピーテル・フェルスルイス選手がトップタイムでステージ優勝。総合順位ではジェラルド・デ・ローイ選手(IVECO)が首位。2位はアイラット・マルデーブ選手(Kamaz)、3位のはフェデリコ・ヴィジャグラ選手(IVECO)となっている。
この日のWRCライクなステージは、エンジンの小さい日野チームスガワラが駆る日野レンジャーにとっては、やや不利だったが、結果、菅原照仁/杉浦博之組がSS20位/排気量10リットル未満クラス1位でゴールして総合順位13位。
一方、ベテランの菅原義正と若手の高橋貢の組みはノートラブルでSS35位/クラス3位。総合順位で28位となった。
2輪部門は、ヤマハのエルダー・ロドリゲス選手がステージ優勝して総合4位に浮上。総合順位では、首位KTMのトビー・プライス選手。2位KTMのステファン・ソヴィツコ選手。3位はHusqvarnaのパブロ・キンタニーリャ選手。
総合3位のKTMのアントワン・メオ選手がステージ終盤の転倒によるタイムロスで総合6位にダウンした結果、ホンダのケビン・ベナバイズ選手が総合4位、ヤマハのロドリゲス選手が1秒差で5位へと順位を上げた。
バギー部門は、パトロネッリ兄弟の弟マルコス選手がアタック。最初のウェイ・ポイント(km50)で既にライバル、ブライアン・バラガナット選手(Yamaha)に1分半もの差で通過。
しかしその後スピードを緩め、CP3(km284)では地元アルゼンチンのゴンサレス選手に追い越される。その後パンクでストップしたゴンサレス選手を追い越し、最後マルコス選手が、この日のステージを制した。
総合順位は、トップが弟の方のマルコス・パトロネッリ選手。そして、安全第一の走りの兄のアレヒャンドロ・パトロネッリ選手は総合2位で4’23”の差。3位のセルゲイ・カリヤキン選手とは1時間52分もの差がある。
明日16日は、いよいよロザリオでゴールを迎える。ただ全行程は699㎞と意外に長く、途中の山間地で180㎞の最終競技区間も設定されている。