コンチネンタルのフラッグシップタイヤ「SPORTS CONTACT 6」登場


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リム径19~23インチの41サイズがリリース

コンチネンタルタイヤ(本社:ドイツ、ハノーバー市、CEO:エルマー・デゲンハート)は9月18日、同社タイヤブランドの頂点に立つハイパフォーマンスタイヤシリーズ「Conti Sport Contact 5P」の系譜を引き継ぐ新たなフラッグシップタイヤ「SPORTS CONTACT 6」を発売した。

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ホンダ・シビックタイプRの純正タイヤとして、ニュルブルクリンクの北コースで最速のラップタイムを打ち立てている

ニュー「SPORTS CONTACT6」は、高いレベルのオールラウンド性能をもつ先行モデル「ContiSportContact5P」から、さらに大幅な性能向上を達成した。

具体的には、ステアリング精度で14%の向上を達成。ドライ路面でのハンドリング性能は11%向上している。

加えて、レーストラック走行におけるグリップレベルを4%向上させるとともに、ウェットグリップ性能は「ContiSportContact5P」が本来持っていた高い水準値から、さらに2%底上げ。また耐摩耗性能および快適性能は7%向上した。

このコンチネンタル社の技術の粋を集めて開発された同製品は、ハノーバーの開発部門から生まれ、リム径19~23インチの41サイズがリリースされる。

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「SPORTS CONTACT 6」は、アウディR8や、ポルシェ911といったピュアスポーツカーだけでなく、BMW 5シリーズや、メルセデスAMGなどのラグジュアリースポーツにも対応したタイヤも用意されている。またさらに電気自動車 テスラ・モデルSの適合サイズもラインアップした。

シビックタイプRでニュルブルクリンク最速ラップタイムを記録

コンチネンタルでは、今後中短期のなかでハイパフォーマンスタイヤのセグメントが、自動車マーケットでより高い支持を得ていくと見込んでおり、新タイヤ「SPORTS CONTACT 6」が、ラインナップ全体の市場成長率を年間10%弱高めていくと予測している。

「SPORTS CONTACT6」は、ハイパフォーマンス車向けタイヤであるため、タイヤ本来の基本性能が高く、従来のモデルから大きく向上したハンドリング性能、ステアリング精度、高速走行時の操縦安定性が特徴だ。

トレッド部のコンパウンドパターンは、タイヤの構造を徹底的に刷新し性能を図った。同タイヤは、ホンダのシビックタイプRの純正タイヤとしても既に承認されており、自動車ファンは既知の通りだが、ニュルブルクリンクの北コースに於いて、最速のラップタイムを打ち立てている。

限界域においても最大限のアドヒージョン(粘着力)を発揮

そんなSPORTS CONTACT6の性能をさらに向上させるため、コンチネンタルタイヤ技術陣のケミカルスペシャリストが採用したのが「ブラックチリ」と呼ばれるトレッドコンパウンドである。

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新しいSPORTS CONTACT6は、ラバーコンパウンドが路面の凹凸にぴったり噛みあうように設計されており、かつ同時にタイヤのコンパウンドと路面間に生じる一時的な原子的結合が、ナノスケールで吸着盤のような効果を果たして、高いグリップ性が実現している。

こうした要素が、限界域においても最大限のアドヒージョン(粘着力)を発揮し、ドライ、ウェットのいずれの路面でも、あらゆる方向に対して、有効なブレーキング性能、コーナリングパワー、加速力を生み出すという。

ステアリング特性を高める3つの異なるトレッド要素

併せて、正確無比なハンドリングと俊敏なステアリング性能を実現する為に、全く新しい「フォースベクタリング技術」を採用している。

continentals-flagship-tire-sports-contact-6-appearance20150919-1この技術では、タイヤのインサイド、アウトサイド、センター部に異なるトレッド要素を配置している。
3本または4本が配されたセンターリブ(タイヤサイズによって異なる)と、接地面内側のショルダー部が横力に対する操舵力を最大限に引き出し、正確にステアリングコマンドをアスファルトに伝達する。

コーナリングでは、タイヤの内側よりも外側に大きな力が加わるため、リブ側面は非対称に設計されており、これによってトレッド部の安定性が向上し、より大きい動力伝達が可能になっている。

一方、外側のショルダー部は、異なるブロック要素が組み合わされて1つのユニットとなっており、外側の大きなトレッドブロックが2列目のブロックと連結する。これによって高速のコーナリング時にもトレッドブロックが相互に支え合い、横方向の動力を最適に伝達する仕組みだという。

新補強素材により最高350km/hまで確保される安全性

なおコンチネンタルの新しいSPORTS CONTACT6は、基本仕様に於いて最高速350km/hでの走行が承認されている。

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これは、このタイヤが完璧なブレーキング性能やハンドリング安定性、方向安定性を提供できるだけでなく、極限の高速とそのスピードに伴う高負荷に耐えられる構造であることを意味する。

コンチネンタルは、同タイヤ開発に際して、掛かる巨大な力を制御するべく「アラロン350」を採用するなど、最大限の走行安全性を約束するタイヤ構造とした。

この「アラロン350」は、2本の強力なアラミド繊維と1本の高弾性ナイロンが密に織り合わされた合成繊維であり、SPORTS CONTACT6のために特別に開発された素材だ。

この繊維は、ゴムに埋め込まれ、スパイラルキャッププライとしてトレッド下に配置されている。この構造により同タイヤは、もう一本のスチールベルトが追加されたような作用を働かせ、350km/hもの超高速域においても、遠心力でタイヤが拡張してしまうことを抑え、優れたコントロール性能を提供するという。

今日のヨーロッパに於ける高性能タイヤ市場

コンチネンタルの場合、同社最初のハイパフォーマンスタイヤは1994年にリリースした「Conti Sport Contact」から始まっている。

この際の製品適合サイズは13〜20インチと、当時の時代を感じさせるラインナップだった。同製品は、欧州地域に於いて、瞬く間にチューナーや自動車メーカーの支持を獲得している。

例えば、アウディ、ポルシェ、BMW、メルセデス、アプト、ハルトゲといったメーカーが自社のトップモデルの純正装着タイヤとして同製品が採用した。

今日のタイヤ業界では、タイヤの研究開発の結果は新製品を通じて最終消費ユーザーに瞬く間に伝わるため、新製品の登場サイクルは、より短いものとなってきている。

そうしたなか次世代製品が登場する7年もの間、「Conti Sport Contact」の人気は永らく維持され続けた。

ウルトラハイパフォーマンス(Ultra High Performance)市場

昨今、「SPORTS CONTACT 6」を含む同製品セグメントは「UHP」ことウルトラハイパフォーマンス(Ultra High Performance)市場と呼ばれ、欧州に於いては、およそ10%の成長率を見せており、同セグメント製品には、さらなる成長の余地が見込まれている。

具体的には、リム径17〜18インチ製品の同セグメントの場合、来る2020年までに年5%の成長が予測されている。タイヤメーカー各社はこれを受けて、同セグメントの市場ボリュームが2020年に3,730万本に到達すると予測する。

次いで19〜23インチ径のタイヤに対する需要はさらに伸びると想定され、年間成長率は平均9%、2020年の販売本数は750万本に達すると見込んでいる。

この予測をさらに詳しく見てみると、タイヤサイズと成長率は正比例しており、19インチの製品の成長率は8%、20インチは10%と予測され、リム径21インチのタイヤは年間14%の伸びを見せるだろうと推測される。

言いかえれば、このセグメントに対する需要は、2020年には2倍に成長することになる。

【コンチネンタル社について】
コンチネンタル社は、「人とモノを運ぶためのインテリジェントテクノロジー」をテーマに掲げて製品開発を行い、「国際的な自動車部品供給業者」、「タイヤメーカー」、および産業パートナーとして、安全、快適、機能等の個々要件を満たす、持続可能かつ経済的なソリューションを提供してきた。

日本国内に於いては、有力が自動車部品サブライヤーが多数存在するため、コンチネンタルは比較的目立たない存在ではあるが、トヨタ自動車の乗用車向け衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense C」を提供するなど、日本国内に於いても存在感を高めてきている。

2014年、同社はシャシー&セーフティ、インテリア、パワートレイン、タイヤ、およびコンチテックの5部門で、約345億ユーロの売上高を記録達成。コンチネンタルは、現在53か国に約20万人の従業員を擁している。

なお、同社のタイヤ製品に対しては、現在、ヨーロッパの自動車メーカーが生産する新車の約3分の1にコンチネンタルのタイヤが装着されており、EUの自動車メーカーからの期待は高い。

今回の「SPORTS CONTACT 6」は、発売に先立ち、既に当地の自動車メーカーから純正タイヤとしての承認を受けており、コンチネンタル・ドイツ本社の技術者達は、タイヤ市場の拡大に関しては楽観的な姿勢を見せているようだ。

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