旭化成、米国の自動車内装材メーカーを791億円で買収


旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、社長:小堀 秀毅)は、米国の自動車内装材メーカーであるSage Automotive Interiors, Inc.(本社:米国サウスカロライナ州、CEO:Dirk R. Pieper、以下「Sage(セージ)社」)を現金約700百万米ドル(約791億円・1米ドル=113円で換算)で買収することを決定しした。

この大型買収はSage社を100%保有するClearlake Sage Holdings, LLC(本社:米国デラウェア州)との間で合意したもの。

その目的は、旭化成の中期経営計画「Cs for Tomorrow 2018」に於いて、マテリアル領域の重点分野の1つとして自動車分野向け事業の拡大を図っていることにある。このため領域内横断で「自動車メーカーおよび部品メーカーとのコネクト(関係)強化」「グローバル拠点の確立」等に取り組んできた。

また社外環境では自動車産業で「CASE」(Connected:コネクテッドカー、Autonomous:自動運転、Shared:シェアリング、Electric:電動化)に代表される新たなトレンドによる変革が起きており、自動車分野向け事業に大きな成長機会が生まれていることもひとつの要因であるとする。

そうした流れの中で、モビリティ車両の車室空間にはこれまでにない快適性やデザイン性が求められており、内装市場の中長期的な拡大が見込まれている。

一方で、旭化成は予てよりスエード調人工皮革「ラムース」をSage社に販売しており、両社は従来より良好な関係を構築・維持してきた。

Sage社このような素材の調達を介して、自動車内装材に用いる各種繊維製品の開発・製造・販売を手掛けており、シートファブリック市場ではグローバルNo.1シェアを保持している。

つまり同社は内装材に関する総合提案力、高いデザイン力、加工技術等により、自動車メーカーおよび部品メーカーに対し高いプレゼンスを有している訳だ。

この動きや活動実績を見て来た旭化成は、自動車分野向け事業の拡大を加速させるためにSage社の事業を取り込むことを検討してきたのだが、昨年10月よりその協議が本格化。今回の買収合意に至った。

旭化成が想定している買収の狙いとしては、今後、大きく成長する自動車内装市場でのポジションを強化し、自動車分野向け事業の拡大実現を目指すことにある。

そんな今買収によって旭化成が求めている具体的な効果は以下の通りだ。

– 自動車メーカーおよび部品メーカーに対するアクセスを強化し、自動車市場の動向やニーズを迅速かつ的確に把握。
– Sage社の有するマーケティング力・デザイン力と、当社の有する繊維製品、樹脂製品、センサ等のさまざまな製品・技術を組み合わせて、車室空間に関する総合的なデザイン、ソリューションを提案・提供。
– Sage社の営業・製造・マーケティング拠点を、当社のグローバル展開にあたっての経営インフラ・リソースとして活用。

なお買収の対価と今後の流れについては、まず取得価額約700百万米ドルは、クロージング時点での現預金・借入金の残高や運転資金の増減等により変更となる見込み。なお取得価額にSage社の純有利子負債を加えて算出した現段階の買収価格は1,060百万米ドルとなっている。

同買収自体は、各国競争法当局への届出や、当局からの認可取得等の必要な手続きを経てクロージングに至る予定。

Sage社の概要は以下の通り
(1)名称 Sage Automotive Interiors, Inc.
(2)所在地 米国サウスカロライナ州グリーンビル市
(3 Research Dr. Suite 300, Greenville, South Carolina)
(3)代表者の役職・氏名 CEO:Dirk R. Pieper
(4)事業内容 自動車内装材に用いる各種繊維製品の開発・製造・販売
(5)資本金 82.5百万米ドル(連結:2017年12月31日現在)
(6)設立 2009年に米国の繊維・化学品メーカーであるMilliken&Companyからスピンオフ
(7)生産拠点 米国、イタリア、ポーランド、ルーマニア、ブラジル、中国
(8)従業員数 約2,200名(2018年3月31日現在)(連結)
(9)大株主および持株比率 Clearlake Sage Holdings, LLC 100.0%
(10)最近3年間の総資産および売上高
決算期____2015年12月期/2016年12月期/2017年12月期
総資産(百万米ドル)_426.8___474.0___504.7
売上高(百万米ドル)_359.3___415.6___474.9