ソフトバンクと滴滴出行、タクシー配車サービスの合弁会社設立


タクシー配車プラットフォームをトライアルとして秋から無償提供へ

世界最大級の交通プラットフォームを目指す中国の滴滴出行(Didi Chuxing、ディディチューシン、以下「DiDi」)と、独自の群戦略によって300年企業を目指すソフトバンク株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼 CEO:宮内 謙)は7月19日、国内で次世代のタクシー配車サービスを提供することを目的にDiDiモビリティジャパン株式会社を設立した。

DiDiモビリティジャパン(所在地:東京都港区東新橋1丁目9番1号、2017年12月11日に「みなとA株式会社」として初期法人登録、2018年05月10日からDiDiモビリティジャパンに変更された)は、DiDiの革新的な人工知能(AI)とデータ分析技術を活用して、全てのタクシー事業者が利用できるオープンなタクシープラットフォームを提供する。

具体的には2018年の秋から順次、大阪、京都、福岡、沖縄、東京やその他の主要都市でトライアルとして無償で提供を開始していくのだと云う。

またタクシープラットフォームとは、全てのタクシー事業者が利用できるオープンな利用環境のことで、タクシー事業者向けの管理コンソール、ドライバーと乗客向けのアプリケーションから構成される形になるとした。

また両社によると日本では、先進的なモバイルインターネット基盤と、高品質なことで世界的にも評判の高い国内のタクシーサービスが整っていることから、オンラインのタクシー配車サービスの国内市場には大きな可能性が広がっている。

一方で、都市部やその他の各地域では、より利便性の高い交通サービス需要へのニーズと期待も高まりつつあると見ているようだ。

そこでDiDiモビリティジャパンのプラットフォームの開発に関しては、機械学習をベースにした技術がスマート配車システムの需要予測に活用されるものとする意向で、タクシー配車サービスのさらなる最適化と乗客の利便性向上をサポートする。

そのプラットフォームは、下記の需要に対応することを目的にしていると定義した。

1. 主要都市と地方における需要
DiDiモビリティジャパンのプラットフォームは、日本の主要都市や地方におけるタクシーサービスの需要を喚起することができる。

乗客は、DiDiモビリティジャパンのアプリケーションをスマートフォンにダウンロードするだけで、効率的なタクシー配車サービスを日本全国で利用することが可能となる。

タクシー事業者はこのプラットフォームを活用することで、交通の不便やドライバーの高齢化などの課題を抱える地方においてきめ細やかなサービスを提供でき、地域経済の活性化にもつながることを期待できる。

2. 外国人旅行者による需要
DiDiモビリティジャパンのプラットフォームは、外国人旅行者による公共交通サービスの需要増加への対応に役立つ。

同社調査による日本政府観光局の意向では、日本における外国人旅行者は年々増加しており、中国からの旅行者がこの大部分を占めている。

これを踏まえDiDiモビリティジャパンでは、主に中国などで合計5.5億人が登録するDiDiの乗客用アプリケーションを、日本で提供するプラットフォームと連携させ、ローミング機能で日本でもそのまま利用できるようにする。このため、中国人旅行者によるタクシーサービスの需要の拡大に対応することが可能だと云う。

DiDiモビリティジャパンが、日本国内に於いて提供開始するプラットフォームの主な特長は下記の通り。

タクシー事業者向けサービスの特長
– タクシー事業者向けの管理コンソールとドライバー向けのアプリケーションを簡単に導入できる。
– 管理コンソールにより、配車状況やドライバーの稼働状況などの管理が可能。
– 乗客からのドライバー評価を管理コンソールで確認でき、サービスの向上に役立てることができる。
– ドライバー向けのアプリケーション上で、乗客との自動翻訳(日本語と中国語間)コミュニケーション機能が提供される。

乗客向けサービスの特長
– 乗客用アプリケーション(iOSとAndroid™ 版)をスマートフォンにインストールすることで、簡単にタクシーの配車サービスを利用することができる。
– アプリケーション上で、乗車場所へのドライバーの到着予測時刻が確認可能。
– アプリケーション上で決済を完了させる場合、主要なクレジットカードで支払いが可能。加えて、中国版のDiDiアプリケーションの利用者は、日本国内でAlipayまたはWeChat Payを選択することができる。
– ドライバーとの自動翻訳(日本語と中国語間)コミュニケーション機能が提供される。

こうしたサービスの仕様と取り組みについて、ソフトバンク株式会社の代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮内 謙氏は、「この合弁会社を通して、DiDiの最先端の交通プラットフォームサービスを日本市場に提供できることを大変うれしく思います。

DiDiの卓越した技術革新力と、ソフトバンクの最先端の通信インフラを含む強固な事業基盤を融合させることで、日本の消費者とタクシー業界の方々へ新しい価値を提供できると確信しています」と話している。

一方、Didi ChuxingのPresidentであるJean Liu氏は、「DiDiは、AIをベースにしたイノベーションがタクシーと公共交通産業の新たな成長に貢献できると考えています。

日本とアジアにおけるスマートシティ化プログラムを推進するために、業界関係者と幅広く協業することを楽しみにしています」とコメントした。

またDidi ChuxingのVice Presidentであり、DiDiモビリティジャパンの代表取締役社長であるStephen Zhu氏は、「DiDiモビリティジャパンの新しいプラットフォームは、日本のタクシー事業者が配車効率と顧客満足度を向上させ、より幅広い需要の創出をサポートすることを目的としています」と語り、日本国内に於ける事業社向けプラットフォームの成長と絶対的なシェア獲得に自信を覗かせている。

そんなDiDiモビリティジャパン株式会社は、先の通りで日本国内でタクシー事業者や関係省庁などと連携し、革新的なタクシー配車プラットフォームサービスを提供することを目的にDidi Chuxingとソフトバンク株式会社からの出資により2018年6月に設立された。

なお既にお馴染みであると思うが、Didi Chuxingは世界最大級の交通プラットフォームを手掛ける企業で、アプリケーションを通じて5億5,000万人以上の利用者に「DiDi Taxi」「DiDi Express」「DiDi Premier」「DiDi Luxe」「DiDi Hitch」「DiDi Bus」「DiDi Minibus」「DiDi Designated Driving」「DiDi Enterprise Solutions」のほか、バイクシェアリング、カーシェアリング、フードデリバリーなどの幅広い交通手段を提供してきた。

1日当たりの乗車数は3千万件に達しており、3千万人を超えるドライバーと車両オーナーがDiDiのプラットフォーム上でフレキシブルに収入を得ているとする。

DiDiは、スマートトランスポーテーションにおけるイノベーションを通じて、交通、環境、雇用の課題を解決することを目指して、各都市やタクシー業界、関連団体と協業することを表明。また自動車を活用したソリューションとオペレーションプラットフォームの構築を目的に、ますます広がりを見せる自動車産業従事者によるアライアンスと手を組んでいくとしている。

ちなみにDiDiは、ライドシェアのグローバル企業であるGrab、Lyft、Ola、Uber、99、Taxify、Careemと提携し、これらのネットワークは世界の全人口の80%以上、また1,000以上の都市を網羅。

同社は2018年にメキシコとオーストラリアでDiDiブランドのモビリティーサービスを開始。先の2月にタクシーの配車サービスを日本で提供するための合弁会社をソフトバンク株式会社と設立へと動いた。

またソフトバンクは、究極のゴーイングコンサーンである300年企業を目指し、常に時代、時代のトップ組織と群れとなって世界市場をリードして未来を勝ち残っていく「群戦略」を、今日7月19日に都内で開いた「SoftBank World 2018」の壇上で打ち出している。