全日本選手権スーパーフォーミュラ第5戦、オートポリス・プレビュー


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全日本選手権スーパーフォーミュラ第5戦も後半戦に突入する。その皮切りとなる舞台が大分・阿蘇山の麓に横たわるオートポリス・インターナショナルレーシングコースである。

そもそもオートポリスは、当時の日本では、唯一のF1開催サーキットであった鈴鹿の背中を追いかけ、F1開催を目指していた事業体が、元ホンダF1の責任者・桜井淑敏氏を監修に迎えて、1990年に建設したサーキットだ。

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全長4,674mの長さを誇る国際公認コースであり、ホームストレートは902m、高低差は52メートル、最大上り勾配7.2%、下り勾配10%、中高速コーナーが巧みに組み合わされ、アップダウンの激しいテクニカルコースである。

より具体的に、そのコースレイアウトをつぶさに覧ると、まず第1コーナーのカーブが比較的緩やかになっているのがよく判る。このため、ここでの突っ込み勝負が、1番のパッシングポイントとなっているのだ。

さらに第1コーナーから第1ヘアピンまでは下りが続き、小さく回り込む第1へピンを抜けると、第2ヘアピンまではアクセル全開の上りが続く。

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速度が乗っているだけに、この第2ヘアピンの突っ込みは、先の第1コーナーに続く、次のパッシングポイントだ。

ただコーナーの入り口までが上り勾配となっており、後半部に向かうにつれ下りに変化していくため、全開からハーフスロットルに移行するアクセルワークが難しいコーナーでもある。

この第2ヘアピンを抜けると、通称ジェットコースターストレートと呼ばれる急な下り坂となり、下り切った後は60Rの高速コーナーが待っている。

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ここは突っ込む際の速度が高速になるため、思い切りの良さだけではなかなか突っ込めないパートだ。一方、多彩な海外レース経験や、知見を持つドライバー、そしてアグレッシブな走りを得意としているドライバーたちにとっては、絶好のパッシングポイントとなる。

この60Rを抜けると、次は中速コーナーの上りセクションが続く。ここを登り切った所にあるのが、中速で大きく回り込む85Rのスタジアムスタンド前コーナーになる。

比較的単純なコーナーに見えるが、ここは、回り込んだ最後に切り返しの40Rがあるため、ライン取りやアクセレーションで失敗すると、この後続く大事なメインストレートでの加速に影響が及ぶ。

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加えてレースの流れが、40R直前からストレートでの加速勝負に移るため、オーバーテイクシステムが比較的使われるポイントがここだ。

以上のようにコース全域でアクセル踏んでいく区間が多く、まさしくジェットコースターのようにアップダウンも激しいため、加速特性に優れた高出力エンジンに向いたコースだ。

ゆえに過去7戦でのポールポジション数は、トヨタの2回に対して、ホンダは5回と圧倒している。本質的にはホンダエンジンが得意とするサーキットなのである。

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しかし実際の成果を覧ると、優勝はトヨタ5回、ホンダ2回と、華々しいポールポジションを持つホンダが後退し、トップがトヨタにすり替わってしまう。

本来パワー至上主義のコースであるのだが、ライバルと競り合った場合、上り下りの複合性、ハーフスロットでのコントロール性が問われ、現時点ではホンダエンジンのパワーが、結果に結びついていないのである。

もうひとつのオートポリス独自性は、ピットがコースのアウト側にあることだ。よって、ピットから見るとマシンの走行方向が他のサーキットと逆になる。

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このため他のコースでは給油は右側から行うが、ここでは左側からとなる。もちろん、SF14は両側に給油口が用意されている。

ただ緊急の作業時に手間取ったり、思わぬイージーミスを出たりし易いのも事実。従ってピットワークにも注目したい特別なコースなのだ。

なおスーパーフォーミュラ/フォーミュラ・ニッポンのオートポリスに於けるレース開催は、昨年までで7戦。このうち半数近い、3勝を獲得しているのがNo.2 アンドレ・ロッテラー(PETRONAS TOM’S SF14)だ。

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他にはNo.34 小暮卓史(DRAGO CORSE SF14)、No.10 塚越広大(REAL SF14)もそれぞれ1勝を挙げている。対してポールポジションでは、小暮、塚越が2回ずつでアグレッシブ系のドライバーが結果を残している。

そんなオートポリスの大きな攻略ポイントはタイヤにある。アップダウンが激しくアクセルを踏む区間が比較的長いことから、タイヤの消耗はこのコースの宿命ではある。

しかしレース中盤に於けるタイヤ交換前や、レース終盤に図らずもペースダウンをしてしまうドライバーが出てしまうため、タイヤ・マネージメントの知見並び腕が結果を大きく左右する。

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そうした見地では、この領域に長けた中嶋一貴は有利だ。また一方でレースの天候が結果に左右されてしまうコースでもある。というのはコース全域に於いてペースが速く、アクセルコントロールが難しいからである。

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実際、雨のオートポリスではクラッシュが続出する。過去3勝を挙げているロッテラーの秘密がここにある訳だ。

いすれにしてもレース開催まであとわずか。シリーズタイトルの争いも佳境へと向かう中、勝利を収めるのは2015年に完成度を高めてきたトヨタ陣営か、また圧倒的なピークパワーを誇るホンダ陣営が一矢を報いるのか、緊張のレースは、公式予選 9月12日(土) / 決勝レース 9月13日(日)、今週末にスタートを切る。