ＰＳＡ・プジョーシトロエン（PSA Peugeot Citroen、本社：フランス・パリ、ＣＥＯ：カルロス・タバレス、仏略称：Groupe PSA)は、近年、化学技術に加え、蓄電池ソリューションなども手掛けているBollore Group< http://www.bollore.com/ >が開発した４人乗りのコンバーチブル型ＥＶ「Bluesummer（ブルーサマー）」を、今後フランス国内のシトロエン・ディーラーネットワークを介して、販売していく体制を整えていくと発表した。
Bluesummerは、見ての通りの風光明媚なホテル専用のリゾート仕様車のようないでたちではあるが、1回の充電で200km走行可能。動力性能は最高速度で110km。車格は張り出したフェンダー周りのため横方向に些かボリュームはあるが、全長3.69x全幅1.71x全高1.61メートル、車重1,285kgというAセグメントカテゴリーに近いサイズのクルマである。
搭載バッテリーはもちろん自前のもので、3,000回の充電または40万キロの走行に耐えることができるとされており、ＥＶ単体のハードウェアとしても時代に見合うだけの性能を保有している。
ここのところBollore Groupでは、レンタカー企業とのコラボによるBluesummerの認知度拡大のほか、同車を用いて欧州内の女性誌をプロモーションターゲットの中心に据え、積極的なメディア戦略なども展開していたのが、これが功を奏して、その愛くるしいルックスと、その独特のスタイルが目論見通りにターゲット層に浸透。
性能がどうだとか、機能がどうだとかの男性脳が求めがちなクルマそのものの価値と云うよりも、Bluesummerのパッケージング自体が、身を以て訴求する余りに自由過ぎるライフスタイルが受け入れられて、なかなかの人気者になっている。
イメージ的には、時代が全く異なるため、クルマ造りの洗練度が、かなり違うかも知れないが、かつて1970年代の日本で存在したオープンタイプの軽トラック、初代「バモスホンダ」や、ダイハツの「フェローバギー」に似たコンセプトのクルマであろう。
実際には、当時の日本に於いてバモスホンダのようなクルマは、思うようには受け入れられず、ホンダの場合も当初、月産台数で2,000台を見込んでいたにも関わらず、わずか2,500台余りの生産台数で終止符を打ってしまった。
Bluesummerについては、フランス以外での販売計画等のリリースがまだないが、日本国内に於いても充電設備が整い始めた今日だからこそ、既存のガソリン自動車と「同じ使い道を追うクルマ」とは別に、これまでの概念とは異なる、全く「新しい乗りモノ」としてのＥＶが、そろそろ登場してもいい頃のように思える。
それは必ずしも航続距離やスピードなどと云う切り口ではないのだろう。そのひとつは、先に登場した新規参入メーカー、日本エレクトライクの3輪EV「エレクトライク」のような道もある。
一方で、独ナノフローセル社が開発するフロー電池(2種類の電解液による還元反応で電気を発生させる）によって、新たな次元を切り拓くクルマがあってもいい。いずれにしても、Bluesummerのようなライフスタイル訴求型のクルマが、そろそろ日本にも必要かも知れないと気付かされるクルマが登場したようだ。
車両紹介サイト http://www.bluesummer.fr/
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