北極圏の氷上で充分なパフォーマンスを検証
JLR傘下で日本のRANGE ROVERブランドは5月1日(スウェーデン・アリエプローグ発表・4月25日時点)、ブランド初の電動プロトタイプ「RANGE ROVER ELECTRIC」による北極圏の極寒環境下での開発テストを完了させたことを明らかにした。
凍結した湖や陸地のコースを走行する今回のテストは、累計45,000マイルを走破。この冬季シーズンでは同車の熱管理システム「ThermAssist」を過酷なスケジュール下で検証した。
凍結湖上でシングルペダルドライビング機能やスイッチャブル・ツインチャンバー・エアサスペンションなど、ダイナミクス性能に関する貴重なテストも実施できたという。
もとより今シーズンは、スウェーデンのアリエプローグで行われた最新の開発フェーズから新たな熱管理システムの検証に取り組んできましたが、これは暖房のエネルギー消費量を最大40%削減し、マイナス10℃という低温環境に於いても熱を回収し、それを推進システムや車内を暖めることを目的に利用するというもの。
これらの装置を搭載していることで「RANGE ROVER ELECTRIC」は極寒の気温下でも航続距離の最適化を実現させることができるとしている。
極寒でもオールラウンドなパフォーマンスを実証
また極端な低気温による充電性能への影響を最小限に抑え、充電能力を一定水準に維持できるようにする。また仮に外気が冷え込んでいても車内では暖かい状態が保たれるため、乗員の快適性の確保にもプラスとなる。
JLRでプロダクト・エンジニアリング担当エグゼクティブ・ディレクターを務めるトーマス・ミューラー氏は、「アリエプローグのような過酷で予測不能な環境に於いて厳格なテストを行うことは、『RANGE ROVER ELECTRIC』の実用的な信頼性と耐久性を確保するうえで不可欠です。
北極圏に於ける2回目の冬季シーズンは、当社のThermAssist技術を試す絶好の機会となり、そのパフォーマンスは期待を大きく上回るものでした。
このテクノロジーは、『RANGE ROVER ELECTRIC』の航続距離を最適化させると共に、必要に応じて充電速度を維持するのにも役立ちます」と話している。
ちなみに搭載されている800Vの高電圧バッテリーは、JLRで初めて自社設計・製造したもので、エネルギー密度、航続距離、充電時間を最適化できる機能を併せ持っているという。
過酷な環境下をシングルペダルドライビングで走破
この電動ラグジュアリーSUVは、既存のモジュールを組み合わせを廃して、セルの組み合わせをそのままパックとして車両に搭載するCell-to-Pack(セルトゥパック)方式を新採用している。
より具体的には117kWhバッテリーを344個のプリズム型セルを2層に積み重ねたレイアウトで完全に密閉してパッケージングされている。今回は、同パッケージングで歴代最高のパフォーマンスが発揮できるようになる。
併せてシングルペダルドライビングでは、車両を完全に停止させて、ヒルホールド(上り坂で車が後退しないようサポートする機能)を起動できることからブレーキを踏むことなく再発進することができる。
結果、過酷な地形でもシングルペダルドライビングが常時活用できるようになることから、今回の北極圏のテスト施設に於いて、28℃と17℃のスプリットμ路でパフォーマンスを検証した。
JLRで車両エンジニアリング・ディレクターを務めるマット・ベッカー氏は、「『RANGE ROVER』のドライビングキャラクターを実現するためには、走破性能と洗練性をシームレスに融合させる必要があります。
しかしEVにおいて、他の性能を損なうことなく両方を実現することは極めて困難でした。
先進技術が航続距離の最適化と充電能力の維持を実現
今回、ねじり剛性を高め、応答性を改善することで、『RANGE ROVER』のドライビングエクスペリエンスを維持することができました。私たちは、『RANGE ROVER』における必須要素と最新の先進技術を組み合わせることで、この目的が達成できたのです」と語った。
「RANGE ROVER ELECTRIC」は、本物の「RANGE ROVER」として求められる安定性をどのような状況であっても維持する必要がある。そのためにEVモデル特有の重量配分によって生じる車体の動きを管理するために、スイッチャブル・ツインチャンバー・エアサスペンションの開発にも腐心したのだとしている。
そうした様々な課題わ乗り越えた「RANGE ROVER ELECTRIC」は、内燃機関(ICE)よりも精密なトルク伝達を機能させることができたため、後輪のトルク配分を100%から0%まで調整してトラクションロスを防止する。
またトラクション・コントロールと連動することで安定性を維持し、モーターの回転速度を50ミリ秒以内に制御することにより、ICE車両の同等モデルに比べて最大100倍速くスリップを制御する。しかし本格的な車両提供のフェーズに入るためには、更なる厳格なテストと開発プログラムまの消化が必要だと結んでいる。
ランドローバーコール(フリーダイヤル)0120-18-5568(9:00-18:00、土日祝日を除く)
RANGE ROVERウェブサイト: https://www.rangerover.com/ja-jp/index.html
TikTok:https://www.tiktok.com/@rangerover
Facebook:https://www.facebook.com/rangerover
X:https://x.com/rangerover
Instagram:http://instagram.com/rangerover
YouTube:http://www.youtube.com/LandRover