米ゼネラルモーターズ・カンパニー( GM / 本社:米ミシガン州デトロイト市、CEO:メアリー・T・バーラ )とLGエナジーソリューション( 本社:韓国ソフル市汝矣島、CEO:キム・ドンミョン )は、テネシー州スプリングヒル所在のバッテリーセル製造施設をアップグレードする。
より具体的には、上記両社の合弁会社アルティウムセルズ( Ultium Cells / 本社:米オハイオ州ウォーレン、CEO:キー・ウン )LLCに於いて、先の2021年に発表した23億ドルの大規模投資
に基づき、同拠点のバッテリー製造ラインを改める。
そもそもアルティウムセルズは、GMのゼロエミッション化へ向けた取り組みを後押しするべく、米国内でバッテリーセルを大量生産を目指してきた。それによりGMのEV生産を支えると共に、全米規模でGM外の自動車メーカーの他、鉄道、船舶産業への支援拡大を視野に据えている。
そんな同社の目論みは、今後、より廉価なEV用バッテリーセル生産を国外から輸入することなく米国内で大量生産すること。それには当地に於けるリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーセルの開発・生産技術が鍵となる。
今後アルティウムセルズでは、スプリングヒルのバッテリーセルラインをLFPセル生産へと転換させる刷新計画を今年後半に始動。来たる2027年後半までにLFPセルの本格的な商業生産が整える考えだ。
そんな取り組みについてGMでバッテリー事業を担うカート・ケルティ副社長は、「GMでは、EVのお客様に航続距離、性能、手頃な価格の最高の組み合わせを提供するため、バッテリー技術の革新に取り組んでいます。
スプリングヒルでの今回のアップグレードにより、米国で低コストのLFPセル技術の生産を拡大することができ、高ニッケルおよび将来のリチウムマンガンリッチのソリューションを補完し、成長を続けるEVポートフォリオをさらに多様化することができます。
GMの柔軟なEVプラットフォームは、複数のセル化学とフォームファクターを迅速に統合できるように設計されています。
オハイオ州ウォーレンのアルティウムセル工場は、1回の充電で300マイル以上の航続距離を実現するクロスオーバーシリーズをGMが提供する鍵となっており、ニッケルコバルトマンガンアルミニウム化学を使用した現在のセル生産を継続します。
併せてGMは、LFPバッテリー技術により、現在の高ニッケルバッテリーパックと比較してバッテリーパックのコストを大幅に削減すると同時に、消費者のEVの選択肢を増やすことを目指しています」と述べた。
これを受けてLGエナジーソリューションでエグゼクティブバイスプレジデント兼先進自動車バッテリー部門責任者を務めるウォンジュン・ソ氏は、「今回のアップグレードは、ゼネラルモーターズとのパートナーシップの継続的な強化と、EVバッテリーのイノベーション推進に対する両社の共通のコミットメントを反映しています。
米国でのバッテリ製造に於ける豊富な経験と専門知識をこの合弁施設に持ち込み、EV市場の未充足ニーズを効果的に捉える新たな化学組成とフォームファクターの提供に向けた取り組みを更に加速させます。
スプリングヒル工場では現在約1,300人の従業員が働いています。複数のセル化学組成のバッテリーセルを製造できる能力を持つスプリングヒルは、米国のバッテリーイノベーション、製造、そしてEV市場に於ける消費者の選択肢の拡大に貢献するでしょう」とその抱負を説明した。
同計画に係る一連の流れについてテネシー州で経済地域開発局長を務めるスチュアート・C・マクウォーター氏は、「アルティウム・セルズによるスプリングヒル事業の革新と強化への追加投資とコミットメントは、ゼネラルモーターズから始まり、2021年にはLGエナジーソリューションも加わった、テネシー州と長年に亘る緊密なパートナーシップの証です。私たちは、これらの企業とその合弁事業を今後も支援していく用意があります」と話す。
更にアルティウム・セルズで社長兼CEOを務めるキー・ウン氏は、「EV用バッテリーセル製造に於けるリーダーシップをさらに強化していくなかで、テネシー州から受けてきた継続的なパートナーシップとサポートに感謝しています。
今回の投資により、単一のバッテリーセルケミストリーを超えて、既存のセルに加え、新たなケミストリーを生産することが可能になります。
製品ポートフォリオの拡大により、アルティウム・セルズはバッテリーセルの革新に於いて最前線に立ち続け、地域社会にとって安定した長期的な雇用主となるというコミットメントを維持していくことができます」と結んでいる。