日産のローランド、今季のフォーミュラEドライバーズタイトルを獲得

オリバー・ローランド選手(日産 フォーミュラEチーム)は7月13日、ハンコック・ベルリンE-Prix第14戦に於いて力強い走りを披露し4位でフィニッシュラインを潜ったことで、宿敵のパスカル・ヴェアライン選手(タグ・ホイヤー ポルシェ フォーミュラEチーム)との激しい首位争いを下し、2024/25年ABB FIAフォーミュラE世界選手権のドライバーズタイトルを獲得した。

同じくベルリンで開催されたE-Prix第14戦で、ヴェアライン選手は日曜日の第14戦でポールポジションを獲得。優勝候補の最右翼としてレースに挑んだ。そうした始まったレーススタートの序盤から、ポルシェ勢がレースを支配する兆しを見せるなか、ヴェアライン選手は全41周のレースの大半でトップを快走。

チームメイトのアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ選手に加え、カスタマーチームのクプラ・キロから参戦するダン・ティクタム選手とデビッド・ベックマン選手のサポートも受け、盤石な体制で首位を維持し続けた。

しかしレース序盤が消化されて以降、アタックモードの使用が始まると、状況は一変。チャンピオン争いのプレッシャーが高まるなかで、ローランド選手は持ち前の果敢なドライビングと大胆な判断力を発揮し、徐々にポジションを上げ続ける。

そうした重圧に耐え続けたヴェアライン選手は、レース追うごとに集団に呑まれて順位を落としてポイント圏外へと後退。これがローランド選手にとっては、千載一遇のチャンスが訪れた瞬間となった。

レース中盤、ローランド選手はトップ10圏内で冷静にポジションを維持。そして30周目、アタックモードを活用してロビン・フラインス選手(エンヴィジョン・レーシング)とミッチ・エヴァンス選手(ジャガーTCSレーシング)をオーバーテイクし、一時的に首位へと浮上。

更に34周目には2回目のアタックモードを発動し、9位の状態から僅か1周で先頭グループへと返り咲いた。

この時点でヴェアライン選手は既にポイント圏外に沈んでおり、ローランド選手は、4位でのフィニッシュがタイトル獲得に充分な状況となっていた。

そしてレース終盤には、エネルギーに余裕を残したニック・キャシディ選手(ジャガーTCSレーシング)が20番手スタートから怒涛の追い上げを見せ、ジャン-エリック・ベルニュ選手(DSペンスキー)、ジェイク・デニス選手(アンドレッテイ フォーミュラEチーム)と共にローランドにアタックを仕掛ける。

対してローランド選手は、この動きを無理に抑えることなく、ステディな走りを披露して4位の座を守り抜いた。

更にその背後でも激しいバトルが繰り広げられたが、ローランド選手は冷静に対応。最後まで自身のポジションのキープすることに徹した。

結果、最終スティントでキャシディ選手が優勝を決めたことで、ジャガーは今週末2勝目を獲得。続いて、2位にジャン-エリック・ベルニュ選手(DSペンスキー)、3位にジェイク・デニス選手(アンドレッティ フォーミュラEチーム)、これに続く4位にローランド選手が入ったことで、遺憾なく自身の実力を発揮して自らでチャンピオン獲得を引き寄せた。

ヴェアライン選手は16位でチェッカーフラッグを受け、タイトル争いから脱落。ライバルがトップ10から外れたことで、ローランド選手とのポイント差は59点に拡大した。

2020年にアントニオ・フェリックス・ダ・コスタ選手がベルリンで王座を決めて以来、最も早く決着したFIAドライバーズタイトル選手権となった。

なおFIAチーム選手権では、日産(204ポイント)がポルシェ(226ポイント)とのポイント差を大きく縮めた。その一方で、FIAマニュファクチャラー選手権では、ポルシェ(342ポイント)が首位を維持しており、日産(335ポイント)は僅差で2位という位置に付けている。

さて今季のABB FIAフォーミュラE世界選手権は、7月26日(土)・27日(日)にロンドンで開催される第15戦・第16戦のダブルヘッダーを以てシーズン最終戦を迎える。

以下は上位で潜り抜けた選手達のコメントとなる。

オリバー・ローランド(No. 23/日産 フォーミュラEチーム)
「正直、レース前はロンドンに向けてあまりダメージを受けずに終えられればと思っていましたので、信じられない、本当に言葉が出ません。意外な結末が転がり込んできた。そんな気分です。

そもそも最初は、無理せず走ろうと思っていたのですが、他のドライバーたち果敢に攻めてきたので、途中からは自分も腹を括って本気でいきました。それが結果、トラブルも避けられる結果になったのかも知れません。今は本当にこの成果自体が信じられない気持ちです。」

ニック・キャシディ(No. 37/ ジャガーTCSレーシング)
「本当に最高のレースでした。まず、正直なところ、今日という瞬間はオリ(ローランド)と日産のチームのものだと思っています。

2戦を残して世界チャンピオンになるなんて、すごい偉業です。オリバー、おめでとう。彼は今シーズンずっと素晴らしいパフォーマンスを見せ続けてきました。

僕たちのチームも、今日のレースに向けて完璧な判断をしてくれました。マシンの仕上がりも非常によく、予選でのミスは悔しかったですが、レースでのパフォーマンスは抜群で、本当に楽しいレースでした。これでベルリンでは3勝目になります。

以前はこのコースと相性が悪かったのですが、ここ3年連続で素晴らしい結果を出せていて、自分にとって特別な場所になっています。今年のジャガーはシーズンを通して着実に進化してきました。チームの将来は非常に明るいと思いますし、この数戦を見ればそれは明らかです。今日のマシンは本当に素晴らしかったです。」

ジェイク・デニス(No. 27/アンドレッティ フォーミュラEチーム)
「今日はマシンの仕上がりが本当に良く、戦略も完璧に実行されました。優勝できるチャンスは十分にありましたし、実際かなり接戦でした。

ここ最近は不運が続いていたので、この2位という結果でチームに少しでも報いることができて嬉しいです。ロンドンでのホームレースに向けて、良い流れをつかめたと思います。

今シーズンのチャンピオンの座を既に手にしたオリバーには心からおめでとうと言いたいです。彼は僕の良き友人でもあるので、すごく嬉しいです。」

ジャン-エリック・ベルニュ(No. 25/ DSペンスキー)
「序盤は少し慎重に入りましたが、昨日の不運を思えば今日の表彰台はとても嬉しいです。昨日も表彰台を狙えた内容だったと思いますし、週末を通して良い流れがありました。チームにとっても努力が報われる形となり、僕としても満足しています。良いレースでした。」

ハンコックE-Prixにおけるサステナビリティ推進の取り組み
FIA Girls on Track:120人の若年女性を対象に、ワークショップ、ゲーム体験、キャリアトーク、ピットレーンウォークなどのプログラムを通じて、エンパワーメントと教育の推進が行われた。

フォーミュラEは、シリーズの地域社会貢献および社会的サステナビリティ戦略の一環として、「ベター・フューチャーズ・ファンド」を通じてAWO Berlin-MitteおよびRückenwindを支援。テンペルホーフ空港に居住する難民を含む地域支援プログラムに、2万5,000ユーロの寄付を行った。

選手権関連する今週のその他のニュース
Feastables:人気YouTuberのMrBeastが創設した「Feastables(フィースタブルズ)」が、ABB FIAフォーミュラE世界選手権の公式スナックパートナーに就任。

デジタルネイティブ世代向けに急成長中のチョコレートブランドと、世界最速加速のモータースポーツとのパートナーシップにより、これまでに累計6億2,100万回以上の視聴を記録するコンテンツを展開している。

またフォーミュラEは、公式クラウドパートナーであるGoogle Cloud、ならびにRNIB(視覚に障がいのある人への情報提供や支援などを行う英国の慈善団体)と協力し、視覚に障がいのあるファンのために、AIを活用した音声レースレポートを提供する新たな取り組みを発表した。

フォーミュラEトップページ:https://www.fiaformulae.com

Tokyo E-Prixサイト:https://www.fiaformulae.com/ja/calendar/tokyo