東海クラリオンの自動運転技術、沖縄・離島交通の実証事案に採択

後のせ自動運転システムヤドカリドライブが地域交通を支援

東海クラリオン(本社:名古屋市中区、代表取締役:安部源太郎)は6月25日、沖縄県の「自動運転交通サービス社会実装推進プロジェクト」の実証実験事業に、同社の自動運転カート(ヤドカリドライブ/後のせ自動運転システムYADOCAR-iドライブ )が正式に採択された。

同プロジェクトは、同県の多良間村において、高齢化・過疎化が進行する離島地域での移動支援を目的に、持続可能な公共交通のあり方を探る取り組み。

より具体的には、国や県の関係者、有識者からの助言を受けながら、プロジェクトの方向性や課題整理を行うもの。また地域の実情に合わせて財政規模の小さな自治体でも導入できるビジネスモデルのあり方も模索する。

今回、沖縄県で同プロジェクトが採択された経緯は、過疎・高齢化の影響で公共交通の維持が困難な離島地域で、財政負担を抑えつつ継続可能な交通サービスの構築が可能かを模索。自動運転技術の進歩と経済性に着目した同県が関連技術の社会実装に向けた取り組みを推し進めている(沖縄県発表の資料へのリンク)ことがある。

そこで今回、東海クラリオンの自動運転カートを採択。東海クラリオンは自社技術を活かし、地域に根ざした低コストで持続可能なモビリティインフラの構築に貢献していきたい考えだ。

技術検証では見通しの悪い道幅やブロック塀を再現して検証した

1.離島環境に適応した自動運転カートの提供
多良間島の道路環境やインフラ事情に対応した専用仕様の自動運転カートを提供する。

採択に先立ち行われた技術検証(令和6年11月実施)では、狭い道や見通しの悪い交差点など、集落の環境を模擬的に再現し、自動運転カートの安全性を事前に確認したことにより、同社の自動運転システムが採用された。

2.地域住民の生活に即した運行ルートの設計・検証
住民の生活導線やニーズを踏まえ、実用性の高いルートを設計し、現地での走行テストを通じて有効性を確認する。

実証実験段階では、運転手が同乗する電動カートを用いて、高齢者などの日常的な移動を支援する実証実験を実施。無人運転に向けた課題の抽出と分析を行う。

3.低コスト・省人化を前提とした運行モデルの提案
限られた予算でも継続可能なサービスとするため、シンプルで効率的な運行方式を検討・提案する。

ハンドル操作やブレーキ制御を自動で行う電動カートを走行させ、技術の有効性と安全性を検証。また同時に行われるEV自動運転バスとの連結により、集落から空港、港への交通アクセスの利便性を高める。

4.住民との対話を重視した協働体制の構築
ワークショップ等を通じて地域の声を反映しながら、移動サービスの共同設計を進め、実装に向けた合意形成を図る。

専門家による検討委員会が開催され、国や県の関係者、有識者からの助言を受けながらプロジェクトの方向性や課題整理を行う。

また、島民と共に運行ルートや頻度、地域協力体制などについて話し合い、地域に根ざしたサービス設計を行う。併せて島内の子供達に向けたロボット教室の開催など、将来を見据えた課題解決教育への貢献も行う予定。

史上最安値の無人運転の実現に向けて実証実験がスタート

こうした取り組みに参画することについて東海クラリオンで代表取締役を務める安部源太郎氏は、「沖縄県多良間村は、「日本で最も美しい村連合」にも加盟している自然豊かな地域です。

私がこちらへ来て驚いたのが、離島ですから決して利便性が良いとは言えないのですが、吸い殻やポイ捨てのようなゴミが全くありません。そして村の人々が、いつも気持ちよく挨拶をしてもらえるような温かさのある村です。

今回の実証実験では、自動運転の障害となる路上駐車をしない、道端の草木を手入れするなど、住民の協力のもと、低廉な自動運転カートが走行できる環境を作り上げていきます。

そして実証成果をもとに、将来的には運転手を必要としない完全自動運転カートの導入を視野に、地元自治体や県、関係機関と連携を深めてまいります。

また、多良間島での成功モデルを他の離島や中山間地域へ展開し、地域に根ざした持続可能な移動サービスの全国展開を目指します。

いまある車を無人走行可能な自動運転を市場最安値で提供ができれば、多くの自治体の課題解決や、市民の方々の生活品質の向上にもつながります。社会の仕組みを変える一助になれるよう、努力を惜しまず取り組んでまいります」と話している。

参画会社の概要
社名:東海クラリオン株式会社
本社:愛知県名古屋市中区正木一丁目14番9号
TEL:052-331-4461(代表)
設立:昭和46年8月
資本金:1億円
代表者:代表取締役 安部 源太郎
事業内容:業務用車載器の企画開発・販売・メンテナンス
URL:https://www.tokai-clarion.co.jp/