昭和シェル石油と出光興産、経営統合で基本合意書締結


昭和シェル石油株式会社(東京都港区台場二丁目 3 番 2 号:代表取締役社長グループ CEO:亀岡 剛、以下、昭和シェル)及び、出光興産株式会社(東京都千代田区丸の内三丁目 1 番 1 号:
代表取締役社長:月岡 隆、以下、出光興産)は、11月12日、対等の精神に基づく両社の経営統合に関する基本合意書を締結した。

この経営統合は、昭和シェルがによる2015年7月30日付の「出光興産との経営統合に向けた協議の本格化」並びに「主要株主兼筆頭株主及び関係会社の異動」。

そして同じく同日付で出光興産が公表していた「ロイヤル・ダッチ・シェルからの昭和シェル石油株式会社の株式(33.3%議決権比率)の取得」に沿って、両社の経営統合を進めてきた結果となる。

基本合意の概念showa-shell-sekiyu-kk-and-idemitsu-kosan-basic-agreement-concluded-with-management-integration20151112-3

経営統合の目的並びにその具体策については以下の通り。

1.経営統合の目的等
両社は、日本のエネルギー・セキュリティを支える社会的使命を担っているが、近年、国内の石油業界は、慢性的な供給過剰構造のもと、元売から小売に至るまで、安定的な事業継続さえ、ままならない状態に陥っている。

今後更に、この内需は減少する見通しであり、縮小均衡は業界の健全な発展を見通すことができず、日本のエネルギー・セキュリティを支えるに足る安定的な事業基盤を構築することは困難となる。

そこで両社は、本基本合意書において、両社それぞれの強みを持ち寄り、経営資源を結集することにより、屈指の競争力を有する業界のリーディングカンパニーを作ることで合意した。

(1)両社は将来に渡って、事業を成長させていくパートナーとして、両社が対等の精神に基づいて本経営統合を行い、新しい会社(以下「本統合会社」といいます。)を作り上げていく。

(2)統合会社は、社員に誇りと高い満足感がある企業を目指して、両社の既存のよい文化を尊重しつつも、次の 100 年を見据えた新たな文化(経営理念、コア・バリュー、制度やプロセス、行動規範等)を定義し、本経営統合の初日からそれに依拠して活動していく。

(3)統合会社においては、出身母体にとらわれず、全社員が「本統合会社の社員」であるという認識を持ち業務を行えるような制度と環境を作る。

(4)統合会社は、特約店・販売店やビジネスパートナーとの信頼関係を重視し、戦略を共有の上、強固なサプライチェーンを構築する。

2.統合会社のビジョン・経営理念・価値(コア・バリュー)
両社は、以下に掲げる本統合会社のビジョンの実現に向けて、今後、本経営統合に関する更なる検討を進めていく。

(1)統合会社は、屈指の効率性を有するリーディングカンパニーとして、特約店・販売店及びビジネスパートナーと共に強固なサプライチェーンを構築するとともに、日本のエネルギー・セキュリティを支える。

(2)統合会社は、安定した収益基盤をもとにグローバル展開を積極的に進め両社がこれまで培ってきた経験・ノウハウをもとに日本発の新しいエネルギー企業のモデルを構築し、持続的な成長を実現する。

統合会社の経営理念、価値(コア・バリュー)は、両社がそれぞれの歴史の中で培ってきた理念を尊重しつつ、新たに定める。

同時にこの経営理念、価値は本統合会社が次の 100 年を見据え
てグローバルに新しい未来を切り開いていくに相応しい普遍的価値を体現したものとする。

3.統合会社の基本戦略
統合会社の国内石油下流事業及び石油化学事業に関しては、以下を基本戦略とする。

(1)他社を効率性で凌駕する業界 No.1 の収益力を持つリーディングカンパニーを構築し、国内石油精製販売事業を安定的なキャッシュフローを生み出すビジネスにする。

(2)内需の構造的な減少が避けられない中、両社が持つ資産の統廃合を積極的に進めるとともに、既存資産の有効活用につながる他社とのアライアンスを積極的に進める。

(3)国内石油精製販売事業において事業の競争優位性がある領域においては規律の効いた投資を行う。

(4)系列特約店・販売店との相互信頼関係をベースとした取引の価値を重視しつつ、特約店・販売店を中心としたサプライチェーンを更に強化する。

(5)内需が減少し続ける中で競争力のある製油所のポテンシャルを活かす。プロフィットマックスの観点からフレキシブルな需給調整が可能な体制を構築する。

4.競争優位性がある石油化学事業の拡大を目指す。
統合会社のエネルギーソリューション事業・資源事業及びその他の事業に関しては、以下の方針に基づいて基本戦略を両社にて協議していく。

(1)統合会社のビジョンである「日本発の新しいエネルギー企業」を実現するには、変化する社会のエネルギーニーズを先取りし、常に社会が求めるエネルギーを提供し続けていくことが必要であり、自社に競争優位性のある事業については商機を逃さずに拡大する。

(2)両社のうちいずれか一方しか持たない事業ポートフォリオに関しては、相互の理解が深まり次第、改めて本統合会社の成長戦略として、どの事業ドメインにリソースを投入していくかを、その事業の戦略性、自社の競争優位性、経済性等について本統合会社経営陣が透明性のある議論をして決定する。

(3)両社における既存のプロジェクトの継続是非については、本統合会社の経営陣が経済合理性も勘案した上で透明性のある議論を行う。

これまで両社は、製油所の効率化や物流、販売の合理化をはじめとする取組みを通じて、積極的に収益改善を行ってきた。

これに加えて、本統合会社は、精製・供給、物流、販売及び間接
部門等での経費・原材料費削減及び付加価値向上により、統合 5 年目には年間 500 億円程度の統合効果の実現を目指す。

また、統合効果の更なる積み増しの可能性についても、今後両社で検討及び協議を行っていく。

5.経営統合の要旨
(1)本経営統合の方式
本経営統合の方式については、合併によることを基本方針とし、両社の間で今後検討及び協議を進めた上で、正式に決定する。

(2)経営統合の日程
本経営統合の日程に関しては、本基本合意書の締結後、両社による相手方当事者及びその子会社に関するデュー・ディリジェンスを実施した上で、本経営統合の最終的な内容及び条件の詳細を定
める法的拘束力のある正式契約の締結を行う。

さらに両社の株主総会で承認をそれぞれ得た後に、2016 年 10 月から 2017 年 4 月を目途に本統合会社を発足させることを目指して今後協議を進めていく。

但し、独占禁止法その他の競争法上の関係当局の審査等の手続の遅延、統合初日から円滑に業務を開始する為の経営統合準備スケジュールの検証及び進捗の遅延、又はその他の理由により本経営統合のスケジュールの変更の必要が生じた場合には、別途協議の上、これを変更する。

(3)統合検討委員会・分科会
両社は、円滑な本経営統合の実施に向けて、各代表取締役社長を共同委員長とする統合検討委員会、及び、当該各代表取締役社長が各々指名する担当者により組織される分科会において、本経営
統合に係る検討及び協議を進めていく。

6.本経営統合の当事会社の概要
showa-shell-sekiyu-kk-and-idemitsu-kosan-basic-agreement-concluded-with-management-integration201511121showa-shell-sekiyu-kk-and-idemitsu-kosan-basic-agreement-concluded-with-management-integration20151112-2

7.経営統合後の状況
(1)統合会社の商号
統合会社の商号は現時点では未定。今後両社にて協議の上、決定することを予定している。

(2)統合会社の本社所在地
本統合会社の本社所在地は、現時点では未定ながら、発足日、又は統合後できる限り早期に現在の両社の本社所在地ではない新たな場所とすることを予定している。

(3)コーポレート・ガバナンス
本統合会社のコーポレート・ガバナンス体制については、独立した社外取締役を 2 名以上選任する。

さらにコーポレートガバナンス・コードにおいて提示されている考え方を積極的に採用し、取締役会のモニタリング機能を高めることで透明性のある経営を確保する。

加えて執行部への大胆な権限移譲により迅速で果断な企業経営を実施することを基本方針とする。

(4)取締役会の構成
統合会社の取締役会の構成は、両社の間で別途協議の上決定するが、代表取締役及び業務執行取締役については、当面は両社から同数ずつ候補者を指名することを予定している。

(5)統合会社のブランドの取扱い
統合会社のブランドについては、経営統合後一定期間は、両社の既存のブランドを併用する。

経営統合後一定期間経過後は、国内のサービスステーションブランドについて次の 100年に向けて、国内市場で他ブランドとの競争に勝つための求心力になりうる新たなブランドを用いることを積極的に検討し、本統合会社経営陣で協議の上、決定していく。

8.基本合意書の効力
基本合意書は法的拘束力を有するものではなく(注 2)、今後、両社で協議をしたうえ、取締役会決議その他必要な手続を経て、別途法的拘束力のある本最終契約を締結する予定。

(注 2) 昭和シェルにおいては、本基本合意書の締結について、特別委員会(後述)の承認を経るとともに、昭和シェルの取締役のうちダグラス・ウッド、アハメド・エム・アルクネイニ、ナビル・エー・アルヌエイム及びクリストファー・ケー・ガナー以外の全取締役並びに全監査役の同意を得ている。

なお、掛かる特別委員会は、ロイヤル・ダッチ・シェル ピーエルシー及びサウジ・アラビアン・オイル・カンパニーが本経営統合について、一定の利害関係を有するおそれがあることなどから、昭和シェルの本経営統合に係る意思決定のプロセスの透明性や公正性を確保するため、2015 年 2 月 10 日開催の昭和シェルの取締役会において、取締役会の諮問機関として設置したもの。

特別委員会の委員は、昭和シェルの独立役員である増田幸央氏、中村高氏、宮崎緑氏及び山岸憲司氏の 4 名。