国土交通省は、これまでの日中韓物流大臣会合における合意に基づき、中国交通運輸部と協力し、日中両国のシャーシ(動力を持たない被牽引車両)の相互通行に係る共同研究に取り組んできた。
上記経緯から10月2日、日本・中国両国の車両安全基準を満たしたシャーシ完成(1台)に伴い、日本での自動車検査登録を実施。今後は完成したシャーシによるトライアル走行の運用に入る。
1.経緯
過去の日中韓物流大臣会合(直近では平成26年8月25日)に於いて、日中両国相互の貨物輸送分野での「パイロットプロジェクトの実施可能性について共同研究を行う」ことに関し、日中両国が合意に達した。
この政府間決定を受けて、九州地方整備局、九州運輸局等では、日中両国の車両安全基準の差異等に係る調査や、その対応策について検討を重ねてきた。
そして今年9月。日本通運株式会社(本社:東京都港区東新橋1丁目9番3号、代表取締役社長:渡邉健二、以下、日本通運)が中国で製造され、自動車登録を受けたシャーシを輸入。平成27年10月2日に、同車両の日本に於ける自動車検査登録が完了した。
これにより、日中両国で自動車検査登録を完了し、両国内で走行可能なシャーシの完成に至った。なお同シャーシの日本国内走行については、関係する現行法令を適用していく。
2.今後
今回完成したシャーシを利用し、博多―上海港航路(上海スーパーエクスプレスを利用予定)にてトライアル走行を予定。※事業者:日本通運
上記を踏まえ、日本通運は10月8日、日中両国の公道を走行できる「ダブルライセンス」を取得したシャーシの自動車検査登録を行ったと発表した。
シャーシの仕様は、日本と中国のシャーシを牽引する車両(トラクタヘッド)の仕様に応じて、シャーシ後部の反射板が自動的に切り替わる仕組みを導入し、改造・修理などの手間なしで、両国の公道を走行可能とした。
というのは、中国式の反射板が赤白表示が規定となっているためで、同仕様は日本の運行時には違法となる。
このため日本運行用のトラクタヘッドの電源を接続した際、自動的に後部の反射板が裏返り、赤白部分が隠れる仕組みを導入している。
このシャーシの導入により、海上コンテナでの輸送に必要な積み下ろし作業が不要になり、輸送時間の短縮が可能になるばかりではなく、コンテナ積み替え時の衝撃が無くなるため、荷物へのダメージが軽減される。
なお、両国の車両安全基準に適合させた車両は日本フルハーフが手掛け、関係官庁と協議・調整を繰り返した末に完成した。
今後、日通に於いてはトライアル輸送を経て、できるだけ早い時期に本格運用を開始する予定としており、当面は、自動車部品輸送業務が想定されている。
■車両の特徴・規格は以下の通り。
【特長】
– 日本と中国のシャーシを牽引する車両(「トラクタヘッド」)の仕様に応じて、シャーシ後部の反射板が自動的に切り替わる仕組みを導入。
– 改造・修理などの手間無しで、日本、中国両国内の公道を走行可能。
– 海上コンテナでの輸送に比べ、積み下ろし作業が不要なため輸送時間の短縮が可能。また、コンテナ積替え時の衝撃が無く、荷物へのダメージが軽減される。
【車両の規格】
様式:エアサスペンション、ウィングトレーラー
全長:12.925m
全幅:2.495m
全高:3.765m
2台目以降の制作については未定。