ルノー・日産アライアンス、年間シナジー目標を1年前倒しで達成


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両社の2015年度のシナジーは43億ユーロに。購買、開発、生産分野が大きく貢献、2018年度のシナジーは55億ユーロの見通し

ルノー・日産アライアンスは7月5日、2015年度のアライアンスのシナジーが、前年から13%増の43億ユーロとなり、目標を1年前倒しで達成したと発表した。シナジーの増加には、購買、開発、生産分野が大きく貢献した。

ルノーと日産は共にコスト削減、支出の回避、さらに売上の増大に取り組むことでシナジーを創出している。

同社は、毎年シナジーの取りまとめについて、新たなシナジーのみを計上しており、これらシナジーは、ルノーと日産双方の業績目標達成に貢献し、顧客に価値のあるクルマを提供することにつながるとしている。

グローバルで販売されるクルマの10台に1台を販売しているルノーと日産は、2014年に、研究・開発、生産技術・物流、購買、人事の4機能を統合した。両社は別会社でありながら、各機能は、両社共通のアライアンス副社長が統括している。

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ルノー・日産アライアンスの会長兼CEOのカルロス ゴーン氏は、「4つの重要な機能の統合によるコスト削減と支出の回避は、売上増につながり、その結果、価値が創出されました。機能統合により、アライアンスは2018年度、少なくとも55億ユーロのシナジーを創出する見通しです」と述べた。

またこれらの統合効果を果たした鍵は、「コモン・モジュール・ファミリー」、「相互生産」、「電気自動車、自動運転、コネクティビティにおける協業」にあると云う。それらの概要と効果は以下通り。

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コモン・モジュール・ファミリー
コモン・モジュール・ファミリー(CMF)とは、アライアンスが独自に開発したモジュール・アーキテクチャーであり、シナジーを増大させるモノのひとつだ。

アライアンスは、日産が北米で発売した「ローグ」、欧州に投入した「キャシュカイ」、そして日本と中国で販売している「エクストレイル」によって、すでにCMFで成果を生んでいる。

ルノーも、CMF-C/Dを適用した新型「エスパス」、「カジャール」、新型「メガーヌ」、「タリスマン」を発売している。

2015年、ルノーは、インドで「クウィッド」を発売、2016年半ばには、ダットサンの「redi-Go」が発売された。

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2車種はいずれも、一番小さく手ごろな価格の車両に適用されるCMF-Aアーキテクチャーをベースとしたモデルで、インド・チェンナイにあるアライアンスの工場で生産されている。

ルノー・日産B.V.およびアライアンスCEOオフィスを統括するアライアンスSVPのアルノー ドゥブフ氏は、「インドでは、現地のお客さまの、トレンドに合った手ごろな価格のクルマに対するニーズに応えることができた自動車メーカーが少ない。

このような市場において、ルノー・日産アライアンスは、CMF-A適用車両の投入によって、十分に戦える力があるということを証明しています」とコメントしている。

またアライアンスは、今後2020年までに、車両の70%をCMFアーキテクチャーで開発した車両にする予定となっている。

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相互生産
車両の相互生産は、今後も生産分野におけるシナジーの創出に大きく貢献している。

相互生産では、ルノーと日産共通の生産管理方式であるアライアンス生産方式(APW: Alliance Production Way)を活用している。APWは、ルノーと日産双方の生産におけるベンチマークを利用し確立された生産方式である。

2016年初頭、ルノーは、フランスのサンドゥビル工場で、日産のバン「NV300」の次期型を生産することを発表した。「NV300」は、ルノーの新型「トラフィック」と同じラインで生産される予定である。

また、パリ近郊にあるルノーのフラン工場では、2016年中に、日産の新型「マイクラ」の生産が開始される予定。

それら相互生産拠点のひとつであるロシア・トリアッティのアフトワズの工場は、100万台近くの年間生産能力を持つアライアンス最大の生産拠点である。

トリアッティ工場では、ラーダ、ルノー、ニッサン、ダットサンの4ブランド向けに車両を生産している。アライアンスは、ロシア最大の自動車メーカーであるアフトワズの経営権を持つ合弁会社の株式の過半数を保有している。

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電気自動車、自動運転、コネクティビティにおける協業
ルノー・日産アライアンスは、2020年までに自動運転技術を搭載した10車種を発売する予定であると発表している。

両社によるとこれは、技術革新に取り組み、「ゼロ・エミッション」と「ゼロ・フェイタリティ」という2つの目標へ重点を置いていくアライアンスの方針に沿ったものどあると云う。

ルノー・日産アライアンスは、すでに電気自動車の分野でグローバルリーダーとなっており、2010年以降、34万台以上のゼロ・エミッション車を販売している。

ルノーと日産では、量販向け主力車種のための自動運転、コネクティビティ、その他の次世代技術の開発に一体となって取り組んでおり、先進技術の研究・開発において協力することで、コストを減らしてより効率的に取り組むことが出来るとする。

このアライアンスの年間の研究開発予算は約45億ユーロ。アライアンスの研究開発拠点は、厚木、フランス・ギュイヤンクール、米国ミシガン州ファーミントンヒルズ、米国カリフォルニア州サニーベール、インド、ブラジル、ルーマニア、トルコ、中国など複数拠点がある。

今年1月、アライアンスは、アライアンスの全ブランドの顧客向けのコネクティビティ機能を、より迅速に導入するため、共同のコネクテッド・カー/モビリティサービスチームを設置した。同チームは、アライアンスとして、新しいモビリティサービスも導入していく予定としている。