ABボルボ傘下のボルボ・トラックス(本社:スウェーデン・ヨーテボリ、CEO:ロジャー・アルム)は6月10日、自社製品の安全性能を高めるべく、事前に設定された地理的エリア内に於いて、自動的に速度制限を作動させるジオフェンシング(Geo Fencing)機能「セーフティ・ゾーン」を新たに導入した。
そんな新デジタルサービス「セーフティ・ゾーン」を今回、導入する主な目的は、車両運行上での安全性向上にある。
それは混雑した市街地に於けるトラック交通の安全性向上のため。またはトラックデポ内での事故の減少のため。ドライバーにとって予め速度制限がかけられているエリア通過する際に、速度超過を誤らないようにする不要なストレスを軽減させるため。
これら運行環境時に対する配慮が、ボルボ・トラックの新しいデジタルサービス「セーフティ・ゾーン」を取り入れる主なメリットだという。なおボルボ・トラックは、この種のサービスを逸早く導入したトラックメーカーのひとつだともいう。
この「セーフティ・ゾーン」を利用することで、運送会社は、支社のトラックが事前に定義された地理的エリアに入る際に、あらかじめ速度制限を設定できる。
これが同技術を名前を「ジオフェンシング」と呼ぶ所以だ。ジオフェンシングとは、GPSやWi-Fiなどの位置情報を利用し特定のエリアに仮想的な境界(ジオフェンス)を事前に設定。対象車がその境界内に入った時や境界から出た時に、アプリやソフトウェアで所定のアクションを実行する仕組みのことを指す。
トラックが「セーフティ・ゾーン」内で運行されている場合、ゾーン制限速度を超える加速はエンジンによって制限される。またゾーンに高速で進入した場合、トラックはゾーン内で制限速度に達するように自動的にブレーキを掛ける。
この機能についてボルボ・トラックスでプロダクトマネージャーを務めるヨハン・ルンドバーグ氏は、「このサービスにより、運送会社は車両の速度を低く抑えることができます。
例えば、港湾や物流センター、あるいは繁華街や学校周辺など、人や交通量の多い場所などです。このサービスの目的は、交通環境をより安全にし、ドライバーのストレスを軽減することです。
ボルボでは、ボルボトラックスによる事故ゼロという長期ビジョンの実現に向けて、安全システムを継続的に開発しています。
フリートマネージャーはデジタルマップ上で地理的ゾーンを定義し、許容速度制限を設定し、各トラックがどのゾーンを使用するかを完全に制御します。
ドライバーは、メーターディスプレイで速度制限ゾーンにいるかどうか、そして最高速度を確認できます」とその仕組みの背景について説明した。
同機能は、ボルボ・トラックの全顧客向けデジタルサービスインターフェースであるボルボ・コネクト(Volvo Connect)の一部として提供されるサブスクリプションサービスだ。
より具体的には、トラックスに搭載されたテレマティクス ユニットがGPSからの位置情報を受け取って把握。そうした得た車両の位置情報と地図上の特定のゾーンに於けるルールとを付き合わせる。
速度制限の幅は20km/h以上の範囲で、トラック1台あたり最大300のゾーンをアクティブ化できる。
設定した車両が特定のセーフティーゾーンに入ると、トラックは設定された速度制限に達するまで自動的にブレーキを掛けると共にドライバー対してディスプレイ上に、その旨を通知する。
ドライバーは緊急事態の発生などの安全確保のため、アクセルペダルをキックダウンすることで速度制限を無視することもできる。但しこの際、クルーズコントロールを使用している場合は、ゾーン制限を超える速度を設定することはできない。
またトラックがゾーンに出入りする度に、またドライバーが最高速度を違反した場合、進入、離脱、オーバーライド、速度違反などを犯した場合、フリートマネージャーに、当該ドライバーが違反したという通知が届ける。
この新しいサービスは、ボルボの大型トラックであるボルボFH、FM、FMX(ユーロ6適合)および電動ドライブライン搭載車で利用可能。これには、特に市街地の交通に適した電動ドライブラインのみを搭載した新型ボルボFMローエントリートラックも含まれる。
なお新車トラックへのサービス導入は2025年6月から、既存車トラックについては今年9月から利用することが可能になると結んでいる。