フォルクスワーゲン、完成検査時の調査報告を国交省に報告


フォルクスワーゲン グループ ジャパン 株式会社(代表取締役:ティル シェア、本社:愛知県豊橋市、略称:VGJ)は12月5日、国土交通省からの調査要請「燃費及び排出ガスの抜取検査の不正事案を受けた確認の実施等について」(国自審第 674 号)に基づき、独・フォルクスワーゲンAGの生産工場にて完成検査時に実施する。

同社は燃費・排出ガスの抜取検査に関する調査結果をフォルクスワーゲンAG本社より入手し、12月4日に国土交通省に報告した。

主な報告内容は、以下の通り(以下提出原文のまま記載)。

1.調査結果
A) 燃費及び排出ガス報告データに対する不正な書き換えの事実はありませんでした。
B) 試験室の湿度を除き、試験及び車両条件設定のログデータに、条件逸脱の事実はありません
でした。
C) 一方、試験速度許容誤差範囲の逸脱(トレースエラー)や、試験室湿度条件の範囲逸脱があったために、本来「無効」と判断すべきところを、「有効」として処理していた事案が、計83件確認されました。
いずれの場合も、測定結果は正規に測定された他の数値と同等の範囲内に入っており、燃費・排出ガス値への影響はありませんでした。

2. 発生原因
A) 測定結果を精査した後にデータを手動でシステムに伝送する際、プルダウンメニューで「無効」を意味する「nOK」を選択しなかったために起きた人的ミスが原因でした。
B) 試験レポートについても、複数名でのチェックを実施しておりませんでした。
C) 試験室湿度の許容範囲逸脱については、発生原因は特定できませんでした。

3. 再発防止策
A) 実施済みの暫定プロセス
– 走行ログを含むすべてのデータについて、2名のオペレーターによるチェックを実施し、データベースシステム伝送前の有効・無効選択ミスを防止することとしました(エムデンは本年8月26日の週、ユイテンヘーグは10月29日の週より実施)。
従来は燃費値や排ガス値等の測定データのみを複数のオペレーターでチェックしておりましたが、走行ログを含めたすべてのデータを複数のオペレーターでチェックする仕組みと致しました。
– データ伝送前のシステムにおいては、本年10月29日の週より、モニター上の測定結果判定表示のデフォルト設定を、従来のOK(有効)からnOK(無効)に変更し、無効を有効と取り違えるような選択ミスを未然に防ぐ仕組みを導入しました。
– エムデンの施設においては追加の試験環境設備を導入し、空調を改善しました。
B) 今後のプロセス
– 速度トレースエラーや試験条件の許容範囲逸脱が発生した際に、システム上で測定結果そのものを自動的に無効と判断し、記録する新機能を追加していきます。
– エムデンの試験室に湿度と温度を表示するデジタルディスプレイを新設します。
私共は、今般の不適切事例の発生を真剣に受け止め、ドイツ本社でのプロセスを見直し、このような事態が二度と起こらぬよう、改善活動を開始し、再発防止に努めてまいります。

<補足資料>
燃費及び排出ガス抜取検査に関する調査概要
1. 調査対象工場:
– エムデン工場 (全てのフォルクスワーゲン車両の抜取検査を実施)
– ユイテンヘーグ工場(フォルクスワーゲン ポロ系車両の抜取検査を実施)
2. 調査対象期間:
– エムデン工場 :2014 年式~2018 年式車両
– ユイテンヘーグ工場 :2013 年式~2018 年式車両
3. 調査方法:
– 上記期間に実施した計 1,113 件全ての排ガス抜取検査結果の見直し
– 試験及び車両条件設定のログデータが規定された値かどうかを精査
(油温、試験室温、湿度、シャシーダイナモメーター負荷設定、速度トレースエラー、機器較正記録等)
– 抜取検査データを一括管理する中央データベースにアップロードされた燃費・排ガス値が、管理基準を満たしているかどうかをチェック

調査結果及びその詳細

1. 試験及び車両条件設定のログデータの調査
– 燃費及び排出ガス報告データに対する不正な書き換えの事実はありませんでした。
– 試験室の湿度を除き、試験条件設定及び車両条件設定のログデータに、条件逸脱の事実はありませんでした。(油温、試験室温、湿度、シャシーダイナモメーター負荷設定、機器較正記録等)
– 一方、試験速度許容誤差範囲の逸脱(トレースエラー)や、試験室湿度条件の範囲逸脱があったために、本来「無効」と判断すべきところを、「有効」として処理していた事案が、計 83 件確認されました。
1 回の測定で発生したトレースエラーの累積時間は、最大で11.3 秒でした。
いずれの場合も、測定結果は正規に測定された他の数値と同等の範囲内に入っており、燃費・排出ガス値への影響はありませんでした。

2-1 速度トレースエラー事案発生モデル
2018年式: up! 、ポロ、ザ・ビートル、ゴルフ、ゴルフ ヴァリアント、ゴルフ オールトラック、ゴルフトゥーラン、パサート ヴァリアント
2017年式: up!、ポロ、ザ・ビートル、ゴルフ、シャラン、ティグアン、パサート、パサート ヴァリアント
2016年式: up!、ポロ、ゴルフ、ゴルフトゥーラン
2015年式: up!、ポロ、ザ・ビートル、ザ・ビートル カブリオレ、ゴルフ、ゴルフ ヴァリアント、シャラン、パサート ヴァリアント、
2014年式: ポロ、ゴルフ、シャラン、ティグアン、パサート、パサート ヴァリアント、VW CC、トゥアレグ
2013年式: ポロ

2-2.湿度エラー事案発生モデル
2018 年式: ゴルフ ヴァリアント
2017年式: パサート
2016年式: up!、Cross up!、ポロ、ゴルフ
2015年式: なし
2014年式: なし
2013年式: なし

なお上記の調査期間において、正しく無効として処理した無効な測定結果(試験車両の設定条件が正しくなかったケース等)は計85件ありました。これらは上記調査の合計1,113台の外数としています。

3. トレースエラー及び湿度エラーによる燃費及び排ガス測定への影響
逸脱のあった計83件の測定結果について精査を行いました。
– 全ての燃費値は届出値を上回っており、また正しく測定された他の数値と同等の範囲に入っていました。
– 又、NMHC、CO、NOxの排気ガス測定結果も基準値を下回っており、正しく測定された他の数値と同等の範囲に入っていました。
これらにより、上記エラーがあった場合でも燃費・排出ガスの実測値への影響は無かったと判断します。

発表までの経緯
– 9月28日: 国交省より、各社確認結果が発表される
VWは、これまでの調査範囲において「事案はなし(調査期間等を拡大し、調査を継続する)。」と報告
VWは引き続き、調査範囲を拡大して追加調査を実施
– 10月18日: 追加調査において不適切な取り扱いが判明し、国交省に一報
– 12月 4日: 追加調査内容を含む最終的な報告を提出

以 上