パイオニア
(本社:東京都文京区、代表取締役 兼 社長執行役員:矢原史朗)は6月 26日、台湾・鴻海精密工業系列企業からの買収を受け入れた。
より具体的には、液晶ディスプレイ事業を担うイノラックス コーポレーション(群創光電股份有限公司)傘下のカーユーエックス ホールディングス(CarUX Holding Limited)が同日、スウェーデンの投資会社EQT保有のパイオニア株を全量を約1600億円で取得することで合意した。
当該株式譲渡は、所定の条件及び関係当局の承認を経て、2025年第4四半期(2025年10月-12月)までに完了する見込み。
加えてEQTのリード財務アドバイザーはドイツ証券、共同財務アドバイザーはBofA証券が務め、法律顧問はモリソン・フォスター法律事務所、ホワイト&ケース法律事務所、長島・大野・常松法律事務所が務めた。
ちなみにパイオニアは、2019年3月に香港の投資会社ベアリング・プライベート・エクイティ・アジア(BPEA)による株式取得に伴い上場を廃止。その3年後の2022年にEQTがBPEAを買収したことでパイオニアの株式も手中にしていた。
今回のEQTからカーユーエックスへの一連の株式譲渡が完了次第、パイオニアはイノラックス・コーポレーショングループの新メンバーとなって国際市場を舞台とした成長を目指す。
そのためにパイオニアと台湾・カーユーエックスは、各国の自動車産業界からの多様なニーズに応えるべく、統合型コックピット(サウンドソリューションを含む)およびハード&ソフトウェア製品で協業。新たな顧客体験を提供する新市場向けソリューションの提案を目指すという。
パイオニアで取締役会長を務めるサンジェイ・ダワン氏は、「自動車業界は現在、かつてない規模のデジタル変革のただ中にあり、車両に於けるデジタルコンテンツの比率は約27%から約40%へと拡大。ソフトウェアは、クルマの中核的な構成要素として、その重要性を一層高めています。
当社はEQTの支援のもと、パイオニアは変革の道を歩み始め、“ソフトウェアが定義するモビリティの時代”に於いてリーディングカンパニーとなるべく、積極的にイノベーションを取り入れ、顧客・従業員・株主をはじめとする全てのステークホルダーの皆様に対し、確かな価値を創出し続けており、今後もその取り組みを、より大きく拡張させていきます」と述べた。
またパイオニアで代表取締役社長 兼 社長執行役員を務める矢原史朗氏は、「“未来の移動体験を創ります”という当社のビジョンを推進していくにあたり、CarUXが新たな株主になることを大変喜ばしく思います。
CarUXは、車載向けスマートコックピットディスプレイおよびソリューションに関するグローバルな知見と実績を有しています。
今後もCarUXと共に、業界に前例のない統合型の価値製品を提供できると信じています。また、これまでのEQTのパートナーシップに感謝するとともに、今後はInnoluxグループのチームと協業してさらなる成長を実現してまいります」と話している。
なおEQTプライベート・キャピタルのパートナーのシェーン・プリディーク氏は、「日本を代表するブランドのひとつであるパイオニアの再生と、長期的な成功への道筋を支援できたことを誇りに思います。
CarUXおよびその親会社であるInnoluxとの間には大きなシナジーがあり、今後の事業成長と将来の可能性に大きく貢献すると確信しています。
EQTは、企業の責任あるオーナーとして、築き上げたモメンタムを次の成長フェーズへと繋げられる新たなオーナーへとバトンを渡すことを重視しています。
今回の取引は、日本に於けるEQTのプレゼンス拡大と、よりグローバルに競争力のある企業に向けた成長の支援という戦略の進展を示すものです」と語った。
最後にイノラックス・コーポレーションで会長 兼 CEOを務め、かつカーユーエックスの会長でもあるジム・ホング氏は、「この戦略的な買収は、カーユーエックスの製品と技術的な能力を拡大するだけでなく、イノラックス自身が、自動車ディスプレイ製品を超えた統合型スマートコックピット企業への移行を象徴するものです。
カーユーエックスとパイオニアの双方の強みを組み合わせることで、イノベーションを推進させ、全く新しい顧客価値の創造を担っていくものと確信しています」と結んだ。