先の1月15日、国土交通省の承認を得て販売済の現行「モデルS」用に、日本国内デモ自動運転機能を含むソフトウエアの配信を開始した米テスラモーターズ(本社:米国カリフォルニア州パロアルト、会長兼CEO:イーロン マスク、以下テスラ)。
同社テスラの電池システムの技術部門を率いるカート・ケルティ氏(Kurt Kelty)は、2016年1月13~15日に東京ビッグサイトで開催した「オートモーティブワールド2016」の基調講演の壇上にて、1017年までに発売予定とされる次期電気自動車「モデル3」の価格を、3万5000ドル(1ドル=117円換算で410万円)に抑え、年間販売台数を50万台に拡大すると述べた。
上記「モデル3」の価格と内容については、既に昨年2015年の9月2日(米国中央時間)に、テスラCEOのイーロン・マスク氏がTwitterで公表していたものと同様だが、日本国内に於ける発表は初。
これまで同社の主力車種と云えば、高級セダンのモデルS。同車の米国内に於ける販売価格は7万6070米ドルから。日本国内ではおよそ800万円台からで、このクルマの2015年に於ける販売台数は約5万台であった。
壇上に立ったケルティ氏は、「今後、電気自動車の普及には、車両の低コスト化が重要になるが、創業当初から今日に掛けてリチウムイオン電池の生産コストは6割低減できている。
当社は、米国ネバダ州に世界最大級の電池工場、ギガファクトリーを建設中で、同施設の本格稼働によって、このコストをさらに3割減らす計画だ。
当初、ギガファクトリーの稼働開始は、2017年を予定していたのだが、早ければ2016年の後半に稼働が開始される見込み。
また、ここで生産する電池は、電気自動車用途のみに限定せず、先に発表済の家庭・施設向けの蓄電池としても利用していく」という。
電気自動車の低価格化には、大きな価格要素を占めるリチウムイオン電池のコスト削減が大きな鍵だ。
例えば、モデルSの場合、パナソニック製の18650型電池セル(※)を用いて60kWhと85kWhの2種類の電池ユニットが並列で積まれている。
この配置は、電池セルをラジエターと同じ水冷方式で充分に冷却できるように、電池セル間のスペースを大きく取るよう配慮しているなど、技術革新に伴うコスト削減要素は、まだまだ可能性がありそうだ。(※)< http://industrial.panasonic.com/jp/products/batteries/secondary-batteries/lithium-ion/cylindrical-type/NCR18650 >
パナソニックも参画するギガファクトリーが、当初フル稼働に入るのは2020年頃とされていたが、同社は電池セルの共用化でさらに量産効果を高め、フル稼働に入る期間を短縮していくことで莫大な量産効果を得ていく構えだ。
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