東海道新幹線(JR東海/当該同旅客鉄道、本社:名古屋市中村区、代表取締役社長:丹波俊介)は5月30日、昨今の豪雨環境を踏まえて新しい降雨運転規制に掛かる基準を発表した。
同社では、これまで沿線に設置した雨量計を用いて、降雨量が規制値に達した場合に徐行や運転見合わせなどの運転規制を実施し、安全を確保してきた。
しかし昨今の降雨の状況や過去の雨量データ等を基にした検討結果を踏まえ、一層の安全確保を目的に長時間雨量の評価指標として「土壌雨量」を導入すると共に、規制値は過去の経験雨量等を基に雨量計ごとに設定することで、よりきめ細やかな運転規制を行うことを決めたという。
1.従来の運転規制
時雨量・連続降雨量※1・10分間雨量を用いてきた。※2
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・運転見合わせの規制値
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時雨量:60mm 以上
▷連続降雨量※1+時雨量:150㎜以上+40mm 以上
▷連続降雨量※1+10分間雨量:300mm 以上+2mm 以上
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※1 過去24時間あたりの降雨量
※2 土石流により運行に影響を及ぼす恐れのある2箇所については「土壌雨量指数」も用いた。
※3「土壌雨量指数」とは、気象庁が土砂災害警戒情報等の判断基準に用いている指標。
2.新しい運転規制
長時間の雨による影響の指標として、連続降雨量に代えて「土壌雨量」を導入する。
「土壌雨量」は、気象庁が用いている土壌雨量指数と同じ計算モデルを活用しつつ、沿線に設置した当社の雨量計(59箇所)の値を用いて算出する指標となる。
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・新しい運転見合わせの規制値
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時雨量:60mm 以上
規制値:土壌雨量/規制値 過去の経験雨量等を基に雨量計ごとに設定した数値
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・新しい運転規制の効果
(1) 長時間降雨の影響をより適切に評価
これまで用いてきた連続降雨量に比べ、「土壌雨量」は降り始めからの降雨の影響をより長時間にわたって正確に反映することができる。
これにより、昨今増加している24時間以上にわたって強く降り続く雨が設備に与える影響を、より適切に評価することができるようになる。
(2)よりきめ細やかな運転規制の実施
従来は全線で一律の規制値を用いてきたが、今回の「土壌雨量」では、地形や過去の経験雨量等に照らして雨量計ごとに規制値を設定する。これにより、よりきめ細やかな運転規制を行うことができる。
(出典)気象庁「雨が土壌中に貯まっていく様子」を加工して作成< https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/dojoshisu.html >
(出典)気象庁 「土壌雨量指数・表面雨量指数・流域の雨量指数の概要と基準の設定方法について」を加工して作成< https://www.jma.go.jp/jma/kishou/minkan/koushu180228/shiryou1.pdf >
3.開始時期
2025年6月1日
4.今後の取組み
現在進めている降雨時の線路設備のモニタリング(2024 年 5 月 22 日リリース)の結果等に基づき、今後、必要に応じて設備の強化を行いつつ、土壌雨量の規制値を見直していくことで、東海道新幹線の更なる安全・安定輸送に繋げていくと結んでいる。