JFEスチールの新資材が「第12回エコプロダクツ大賞」農林水産大臣賞


JFE(ジェイ エフ イー)スチール株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:柿木厚司)と、国立大学法人広島大学(学長:越智光夫)の産学連携により開発された閉鎖性海域の環境改善に寄与する水・底質浄化資材「マリンストーン」。

自動車素材を筆頭に、多様な製品となる製鉄時の廃スラグから生まれた新資材が、第12回エコプロダクツ大賞(主催:エコプロダクツ大賞推進協議会、後援:財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省)の農林水産大臣賞(大賞)を受賞した。

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(左:丹村洋一 代表取締役副社長、右:佐藤英道 農林水産大臣政務官)

このエコプロダクツ大賞は、2004年に優れたエコプロダクツ(環境負荷の低減に配慮した製品・サービス)を需要者サイドに広く伝えるとともに、企業の取り組みを支援することを目的に創設された。

12月10日から東京ビッグサイト(東京・江東区)で開催されている「エコプロダクツ2015」会場にて表彰式が行われ、JFEグループブースに平口洋環境副大臣や、佐藤英道農林水産大臣政務官も訪問した。

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(左:渡辺圭児 スラグ・耐火物研究部長、右:佐藤英道 農林水産大臣政務官)

1.受賞件名:
閉鎖性海域の環境改善に寄与する水・底質浄化資材:マリンストーン
2.受賞理由:
閉鎖性海域のヘドロ状底質から発生する硫化水素を、化学的に吸着することで、海域の水・底質を改善し、かつ悪臭(硫化水素)の発生を抑制する『マリンストーン』を開発・実用化したことが評価された。

3.『マリンストーン』の概要:
『マリンストーン』は、鉄鋼生産に伴って生成する製鋼スラグを粒度調整して製造される、環境に優しいリサイクル材。主な特徴は下記の通り。

(3−1)ヘドロが堆積して悪化した底質上に散布する(覆砂)ことにより、底質中の硫化水素やリン酸イオンを化学的に吸着する。

これにより、海底からの硫化水素などに起因する悪臭の発生やリンの溶出を抑制し、悪化した底層水や底質を化学的に「改質」することができる。また、硫化水素による酸素の消費を抑えることができ、海底の貧酸素化を防ぐ。

(3−2)『マリンストーン』自身の表面や間隙が海底に生息する生物(底生生物)の付着基盤となり、生物の生息環境を構築する。

特にカキなどの二枚貝やホヤなどは懸濁物をろ過し、水・底質を浄化することが知られており、これらの生物による自浄能力の向上が期待できる。

(3−3)天然砂と比較して大きな粒径を有していることから、波浪などで流失し難く、安定性が高いため、日光が届く浅海域では藻類・海藻類の着生基盤としても機能する。※「マリンストーン®」はJFEスチールの登録商標。

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「福山港港湾海域環境創造工事(内港地区)」の模様

同新資材が使われた具体例では、広島県が実施する「福山港 港湾海域環境創造工事(内港地区)」における底質改善材として『マリンストーン』が採用された事例がある。

これは2015年11月から2016年3月迄の期間で、福山港内港(広島県福山市)の約66,000平方メートルに亘り、延べ38,000トンが敷設される。

敷設の発端は、2010年9月に福山市から福山内港奥部で発生している悪臭に関する相談を受け、悪臭低減方法の検討を開始。

その後、広島大学と共同で、『マリンストーン』を活用した硫化物抑制のフィールド実証試験を行い、硫化水素発生の抑制や底生生物の生息などの底質改善効果を確認。このほど敷設が実行される運びとなった。

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マリンストーン