株式会社Hacobu(ハコブ、本社:東京都港区、代表取締役社長 佐々木太郎)と豊田通商株式会社(本社:愛知県名古屋市、取締役社長 加留部淳)は2月19日、タイ国内で遊休中のトラック車両によるシェアリング実験の実施で合意した。
この両社協業によるオンライン物流求車プラットフォームの実証実験は、2018年前半中に開始することを決定している。
豊田通商グループは、タイ国内で企業間物流の豊富な実績があり、協業参加するHacobuは今回、豊田通商グループと連携しながら同社が予てより掲げているミッション「運ぶを最適化する」の実現を目指すとしている。
ちなみにこの実証実件の取り組みにあたっては、Hacobuが日本国内で展開しているオンライン求車プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」をベースとしたソリューション事業の知見を利用する。
具体的な実証の流れは、まず第1段階でHacobuが、MOVOをベースとしたクラウドベースのオンライン求車機能の国際対応版をタイ国にて提供する。
続く第2段階では、豊田通商のタイ国連結法人であるTTK Asia Transport (Thailand) Co., LTD.(以下「TTKAT」)が運用するトラックを、上記プラットフォームに登録。これを踏まえ第3にバンコク地域周辺のメーカー、物流事業者等を荷主としてプラットフォームに登録。
そして第4段階では荷主が配送案件を登録し、TTKATの空きトラック、及び関連するビジネスパートナーのトラックとマッチングさせ、実際に荷物を運ぶという流れだ。
両社が取り組むタイ国内の物流市場規模は、2014年に717億ドルであったが、来る2019年には、日本の2015年度の市場規模20兆1,755億円(矢野経済研究所、2017年)の半分程度の規模である965億ドルに達するという観測が出ている(Frost & Sullivan、2016年)。
加えてタイ国政府は、今後国内を大メコン圏の貿易・サービスの中心として位置づける方針であり、その中でも特にミャンマー、カンボジア、ラオス等と絡めたクロスボーダー的な存在感が必然的に高まっていく可能性が高い。
ちなみにHacobuは冒頭の通りで「運ぶを最適化する」をミッションとして、企業間物流の最適化を目指し、IoTとクラウドを統合した物流情報統合プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」を開発・運営する会社である。
同社は、創業時より輸配送の課題にテクノロジーを活用して解決することを得手としており、オンライン求車(スポット車両をHacobuの車両ネットワークを活用して調達)、オンライン受発注(3PL等が既に保有している自社の傭車ネットワークをオンライン化)、車両のリアルタイム動態管理、納品車両・バース管理ソリューション等を、クラウド上で月額課金ベースで提供してきた。
社業としては2015年の創業後、もっぱら日本で営業してきたのだが、海外での事業展開を常に検討。また海外でのプロジェクト推進経験を持つメンバーも平素より重点的に採用してきた(米国・英国・シンガポール・インドネシア等)経緯があり、今回ようやくタイに於ける実証実験に漕ぎ着けた。
このような経緯からHacobuは、今実証実験を成功させてタイを起点として、豊田通商グループと共に物流情報プラットフォームをASEAN全域に拡大していくことを企図している。
また提供していこうとするサービスの範囲も、今回実証実験を開始するオンライン求車(配送マッチング)だけに留まらず、日本でHacobuが提供しているサービスの横展開や、ASEAN地域を対象とした新たなサービスの開発も柔軟に行っていきたい考えだ。
一方、豊田通商グループは、トヨタグループの総合商社としてグローバルにおける強力なネットワークを保有しているが、タイ国でもグローバル製造業各社と商流上の深い繋がりを持っていることから、今回の実証実験に参加する事となった。