BASFとVW、第4回「サイエンスアワードエレクトロケミストリー」の受賞式典を開催


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ドイツ南西部のルートヴィヒスハーフェン・アム・ラインに本社を置く世界最大の総合化学メーカーBASF SE(※1)と、フォルクスワーゲンAG(※2)は10月28日、東京都内に於いて、第4回目となる「サイエンスアワード エレクトロケミストリー(Science Award for Electrochemistry)」賞の授与式を開催した。

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(※1)、本社: 独ラインラント=プファルツ州ルートヴィッヒスハーフェン、取締役会会長兼CEO:クルト ボック、以下BASF。
(※2)、本社:独ニーダーザクセン州ウォルフスブルグ、CEO:マティアス・ミュラー、以下VW。

サイエンスアワード エレクトロケミストリーとは
この「サイエンスアワード エレクトロケミストリー」賞は、BASFと、VWの両社が手を携え、去る2012年に創設。

世界中の学術的研究コミュニティの科学者を対象に、毎年1回、国際的な研究成果の公募を行い、エレクトロケミストリー分野の卓越した功績を称え、さらなる成果の促進を促すと共に、ひいては、より高度なエネルギー貯蔵手段を開発するための契機となることを最終目的に据えている。

同賞典に選出された研究者には、新しい実験機器などの設備、科学イベントの開催、または優秀な研究員の増強を可能とする資金として、10万ユーロの総額賞金を提供。最優秀者には、5万ユーロが贈られる。

なお審査にあたっては、BASF並びにVWの他、世界の科学界を代表する専門家で構成される審査委員会の厳正な審査を通して、選出されている。

東京モーターショープレスデー当日の東京で開催
そして今年も、2015年7月24日までの応募期間を設けて研究成果を募り、この10月28日、東京都内開催の授与式に於いて5つの研究対象を選定。

同日・選出された各研究者のプレゼンテーションを経て、今年エレクトロケミストリー分野で、最も卓越した研究足跡を残した最優秀者1名を発表した。

本年度の最優秀者は、米国カリフォルニア州・カリフォルニア大学バークレー校、化学・生体分子工学科の研究者ブライアン・マクロスキー氏(Dr.Bryan McCloskey)が選ばれ、さらなる研究成果の発展を期待し、5万ユーロの資金が贈られた。

授賞式では、BASF取締役会会長兼CEOのDr.クルト・ボック氏と、フォルクスワーゲンAGの取締役兼フォルクスワーゲン乗用車ブランド取締役会会長Dr.ヘルベルト・ディース氏が、同賞典授与式の栄えあるプレゼンター役を務めた。

エレクトロモビリティは、未来の交通手段の鍵となる要素
授賞式に於いて、BASFのDr.クルト・ボック氏は、「当社BASFは正極材、電解液といった高性能電池材料のさらなる開発を目指しています。

これを、より高い次元で成功させるためには、電気化学分野における更なる技術革新が必要不可欠です。

具体的には、電池のエネルギー密度をさらに改善するため、研究開発現場に於ける躍進がまだまだ必要と考えています。

そこで私たちは、電気化学環境でのエネルギー変換および貯蔵分野における卓越した基礎研究を対象とし、今回4回目を迎えた同賞で、卓越した科学分野の研究成果を称える活動を続けて来ました。

と云うのは、それこそがエレクトロモビリティを成功へと導くであろう、革新を推し進める鍵になると考えているからです。

エレクトロモビリティは、将来の交通手段のため、欠くことの出来ない重要な要素なのです」と述べた。

モビリティ社会の未来をさらに推し進めていく
また、フォルクスワーゲンAGのDr.ヘルベルト・ディース氏は、「フォルクスワーゲンは、e-モビリティのこれからの躍進を確信しています。

実は先にフォルクスワーゲン乗用車ブランドの取締役会は、e-モビリティ促進計画をちょうど決定したところです。

そんな私たちの目標は、“電気自動車の民衆化”であり、その計画の実現は大容量バッテリーに懸かっています。

次世代、そしてさらに次々世代へと紡いで行く電気化学の進歩。そしてそれに伴う新たなバッテリーを目指す研究開発は、世界にとっても極めて重要なテーマと云えるでしょう。

貯蔵システムとして大容量バッテリーの更なる最適化を図ることにより、自動車の航続距離をより大きく伸ばし、モビリティ社会の未来をさらに推し進めなければならないのです。

それに欠かせないのは、エレクトロケミストリー分野へのチャレンジを惜しまない研究者との密接な協力にあります。私たちは、そうした未来を担う卓越した研究成果に対して、今後もバックアップを惜しみません」と語った。

2015年、卓越した功績を印した5人のファイナリスト
今年、最終選考に残った5人のファイナリストは、下記写真左から以下の通り。(写真左、BASFのDr.クルト・ボック氏の隣から順に)basf-and-vw-will-be-held-the-award-ceremony-of-the-4th-science-award-electro-chemistry20151029-6

  • 粉末冶金・新素材国際先端研究センター(インド チェンナイ)
    サティヤ・マリヤッパン氏
    (Dr.Sathiya Mariyappan)
    – 研究テーマ:商業正極材料をねらった、様々なリチウムイオン電池電極材料の開発。及びナトリウムイオン電池電極材料の研究。
  • スペイン国家研究評議会(スペイン バルセロナ)
    アレクサンドレ・ポンルーチ氏
    (Dr.Alexandre Ponrouch)
    – 研究テーマ:次世代電池技術の負極として利用可能な金属リチウム、ナトリウム、マグネシウム及びカルシウムの被膜/剥離メカニズムに関する研究。
  • 京都大学(日本 京都市)
    折笠有基氏
    (Dr.Yuki Orikasa)
    – 研究テーマ:空間・時間的階層構造オペランド解析による電気化学デバイスの高性能化。

(間にフォルクスワーゲンAG取締役 乗用車ブランド 取締役会会長 Dr.ヘルベルト・ディース氏を置いて右隣)

  • 【最優秀者】カリフォルニア大学バークレー校(米 カリフォルニア州)
    ブライアン・マクロスキー氏
    (Dr.Bryan McCloskey)
    – 研究テーマ:非水系リチウム空気電池の基本的な限界を解明するための電気化学プロセスの研究。
  • カリフォルニア スタンフォード大学(米 カリフォルニア州)イー・チュイ(Dr.Yi Cui)氏
    – 研究テーマ:エネルギー密度をさらに増大させる次世代電池技術のためのナノスケール材料。

(以降右隣、フォルクスワーゲン グループ リサーチ専務 Prof.ユルゲン・レオホルド氏、並びにBASF 取締役会副会長 兼 最高技術責任者CTO Dr.マーティン・ブルーダーミュラー氏)

サイエンスアワード エレクトロケミストリー賞、詳細情報
http://www.science-award.com

■BASFについて
BASF(ビーエーエスエフ)は、2015年に創立150周年を迎えた。同社の製品ラインは、化学品、プラスチック、高性能製品、農業関連製品、石油・ガスと多岐に亘る。

また同社は、世界をリードする化学会社として経済的な成功、社会的責任、そして環境保護を同時に実現し、科学とイノベーションを通して現代社会や将来のニーズを提示しながら、広域に於ける産業を広く支援し続けて来た。

BASFの製品とソリューションは、資源の確保に貢献し、栄養価の高い食品を提供するなど、国際環境に於ける生活の質の向上に寄与。「私たちは持続可能な将来のために、化学でいい関係をつくります」を企業スローガンとして掲げている。

2014年の売上は、約740億ユーロで、従業員数は約11万3000人。BASF詳細情報 http://www.basf.com (英語)、 http://newsroom.basf.com (英語)、 http://www.japan.basf.com (日本語)

■フォルクスワーゲンについて
フォルクスワーゲングループは、世界有数の自動車メーカーとして欧州最大の規模を持つ。

同社グループは、欧州7カ国の12ブランド(フォルクスワーゲン、アウディ、セアト、シュコダ、ベントレー、ブガッティ、ランボルギーニ、ポルシェ、ドゥカティ、フォルクスワーゲン商用車、スカニア、MAN)で構成され、各ブランドは独立採算性を基礎に据えて事業展開を重ねている。

世界153カ国で販売される同社の製品ラインアップは、オートバイや低燃費の小型車、さらには高級車に至るまで幅広い。

中でも商用車部門では、ピックアップトラックから、バス、大型トラックまでを網羅。グループ全体で欧州20カ国に加え、南北アメリカ、アジア、アフリカの11カ国に119カ所の生産拠点(2015年5月26日現在)を擁する。

全世界の1営業日あたりの自動車生産台数は、約4万1千台。592,586人の従業員が生産業務や自動車関連のサービス、その他の業務部門に関わる。

同社グループでは、競争が激化する各市場に於いて、それぞれのクラスの世界標準を打ち立てるべく、安全かつ環境に配慮した自動車の提供を目指している。