アルピナ、伝説の創業者へ捧げる限定99台「B8 GT」を発売


ニコル・オートモビルズ( 本社:神奈川県代表川崎市、代表職務執行者 社長:ミヒャエル・ヴィット)は1月16日、アルピナ創業家ボーフェンジーペン家が手掛けるブッフローエ製の最後の独・アルピナ( Alpina Burkard Bovensiepen GmbH&Co KG )の限定モデル「BMW ALPINA B8 GT」を発売した。車両本体価格( 10%の消費税込み )は左ハンドルが34,950,000円、右ハンドルが35,400,000円。

そんなアルピナは、今から60年前の1965年、アルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限合資会社こと「ALPINA」として創設された。創業当初の6人の従業員は、このブランドが世界的に知られる小規模生産のメーカーに成長するとは考えもしなかったという。

以来、アルピナでも多くのことが変わり、様々な出来事もあったが、オーナーのブルカルト・ボーフェンジーペン氏の情熱と哲学は、アルピナ社内で変わることなく一貫して受け継がれてきた。今日もアルピナは、贅沢なインテリア、優れた走行性能、そして控えめながらスポーティな外観を持つ、目の肥えたコニサー(目利き、通人)のための特別な自動車であり続けた。

アルピナが、ただのBMWのチューニングカーだと思っている人々に対して、おそらく遠慮のない物言いで知られたブルカルト・ボーフェンジーペン氏は、こう言うだろう「( わからないのならば )あきらめるしかないね。」

2023年10月12日、ブルカルト・ボーフェンジーペン氏が87歳の生涯を閉じた今日もアルピナは、自動車産業におけるマスマーケティングに対する細やかなアンチテーゼとして輝き続けている。それは単なるリッチなだけの自動車ブランドとしてはなく、公道でもサーキットでも、BMW ALPINAのクルマは何度もセンセーションを巻き起こしてきた。

その理由のひとつには、前後輪に駆動力を配分するトランスファーを最適化。トルクの分配を更にリア寄りとしつつ、これに電子制御ディファレンシャルの改良ソフトウェアを組み合わせて、独特のダイナミックなドライビング体験を堅持してきたことある。

サスペンションのセットアップも、数多くのテスト走行と開発時間をかけて徹底的に最適化された。より具体的には、新たにドームバルクヘッド・ストラットによりフロントエンドの剛性アップが行われ、今日もステアリングレスポンスと精度を向上させ続けている。

エクステリアデザインでも、新たなカーボンパーツの取り込みに独特の巧みさが表現されている。フロントバンパーのエアダクト、サイドダイブプレーン、エアブリーザーのトリムらが新たにリ・デザインされ、より印象的な存在感を放つディフューザーモカーボンファイバーで仕上げられた。

21インチのアルピナ・クラシック鍛造ホイールは、アルミニウムサテン仕上げ。複雑な鍛造工程により繊細で深い光沢を湛えた鏡のような表面を生み出す。ホイールセンターキャップもアルミニウムの無垢材から削り出されており、これらがアルピナの謳う独自のこだわりとなっている。

ステアリングの操舵モードが「COMFORT」、「SPORT」、「SPORT+」の3つから素早く選べる点も同社のこだわりのひとつだ。つまりスポーティでダイレクトなレスポンスか、または適度に抑えの効いた穏やかなフィードバックとするかのいずれかを、その時、その時のドライバーの好みに応じて瞬時に選ぶことができる。そんなドライバーに向けた各部の細やかな配慮が、アルピナが今日も支持され続けている理由となっているのだろう。

但し、そんなアルピナもいよいよ2025年末を以て、その商標権がBMWへ譲渡される。これまで家族経営であり続けたアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限&合資会社は「BOVENSIEPEN 社」となって全く新しいモビリティ企業となる。

つまり現行の車両開発と生産は、2025年末までドイツのブッフローエで継続されるが、ブルカルト・ボーフェンジーペン氏の意思をダイレクトに引き続く現行車の入手という意味では、今年が最後のチャンスとなる可能性がある。

アルピナでは、「BMW ALPINA B8 GTはマスターピースたりえる自動車を創造するという私たちの情熱を体現し、独自のエレガンスと印象的なパフォーマンスを融合させた一台です。それはブルカルト・ボーフェンジーペンへのオマージュです。なお、このグランクーペは、世界で99台限定となっています」と結んでいる。