2016年スーパーフォーミュラ、ホンダはトヨタの3年連続タイトル獲得を阻めるか


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すべてが刷新されて3年目を迎えた国内最高峰トップフォーミュラ

全日本スーパーフォーミュラ選手権は、2014年にイタリアのレーシングコンストラクターが手掛けたダッラーラ(Dallara)SF14型のシャシーに、新型エンジンを搭載するパッケージに一新、国内最高峰のトップフォーミュラとして生まれ変わってから、今季で3年目を迎えた。

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トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、社長:豊田章男、以下、トヨタ)傘下のTOYOTA GAZOO Racingは、このスーパーフォーミュラ選手権の参戦チームに「トヨタRI4A」エンジンを供給。2年連続でタイトルを獲得しているが、今年も6チーム11台にオリジナルエンジンを供給。3年連続でのタイトル獲得を目指している。

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全日本スーパーフォーミュラ選手権は、こうした日本独自の「NRE規定」に沿って開発された直列4気筒2リッター直噴ターボエンジンと新シャシーとの組み合わせによる選手権シリーズだ。

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トヨタ、ホンダの2強によるエンジンコンストラクターの激突が続く

供給されるエンジンは、本田技研工業株式会社(本社:東京都港区、社長:八郷隆弘、以下、ホンダ)が供給する「Honda HR-414E」との2強による激突が続いており、世界レベルのトップドライバーを介して、丸2年間、過酷な両メーカーのバトルが繰り広げられてきた。

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いずれも共通の規格で開発されているこの2リッター直列4気筒は、現行の市販車エンジンに近い仕様となっており、トヨタ、ホンダ共に市販車に直結する近未来の技術開発を狙っている。

また、2リッター直列4気筒のレース用エンジンブロックを開発することで、これを将来、他のカテゴリーにも低い製造コストで幅広く利用できることも念頭に入れている。

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パッケージの大刷新で、F1をも凌ぐコーナリングパフォーマンスを手中に

ちなみに2013年までは、自然吸気3,4リッターV型8気筒エンジンが搭載されてきたが、この期に2リッター直列4気筒ターボエンジンに変更された理由は、製造コスト、重さ、サイズとも全てで縮小できることが基礎研究段階の試算でわかっていたことにある。

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またさらに、F1やインディカーのようにV型6気筒ターボにした場合、コストと重量でV8 エンジンを上回ってしまうことも試算で出ていたことから、2リッター直列4気筒ターボの形式が選ばれた。

この選択により、エンジン本体が小型軽量化され、SF14の車体の重心位置に近いところに搭載できた上に、低いエンジン高から低重心となり、マシンの運動性を高められている。

併せて小型でスリムなエンジンとなったことで、ボディのリヤ周りもスリムにでき、空力性能の向上にもつながった。

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スーパーフォーミュラは、ダウンサイジングターボの先駆けとなった走る実験室でもある

なお直噴ターボが選ばれたのは、もうひとつ理由がある。それは最近になってヨーロッパを中心にターボエンジンがあらたな視点で注目され普及しはじめていることにある。

それはダウンサイジングターボと呼ばれ、小型のエンジンにターボを搭載することで、普段は小型エンジンとして使い、加速や高速道路走行のようなパワーが必要なときはターボでパワーを得る仕組みだ。

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さらにこのダウンサイジングターボの技術では、ターボを使うことでよりうまく燃料を燃やすのと共に、シリンダー内部に直接ガソリンを噴射する直噴方式を組み合わせることで、より少ない燃料を、より多くの空気と混ぜて燃やして、ムダなく燃料のなかにあるエネルギーをより多く取り出すという思想に裏付けられている。

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ムダなく燃料からパワーを取り出せるということは、より少ない燃料でより大きなパワーを出せることになり、より少ない燃料ということは排気ガスもより薄く、環境負荷もより小さくできる。しかも、燃費も良くなるので燃料代の出費も減らせることにもなる。

つまりスーパーフォーミュラのNREは、このダウンサイジングターボエンジンの技術をより高め、ひいては究極のレベルまで追求しようとするものになっているのである。

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開幕の舞台は、世界屈指の難コースでもある伝統の鈴鹿サーキット

さてそんなトヨタとホンダエンジンの激突が今年も、4月22日(金)から24日(日)に掛けて、三重県鈴鹿市の鈴鹿サーキットを舞台に行われる「鈴鹿2&4レース」でいよいよ開幕する。

 

鈴鹿サーキットは言わずと知れた日本を代表する国際サーキットの一つ。世界でも珍しい立体交差構造を持ち、チャレンジングでタフな同コースは世界屈指のドライバー達にも人気が高く、F1日本グランプリや二輪の8時間耐久レース開催など、長い伝統を持つ。

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スーパーフォーミュラ選手権シリーズにおける鈴鹿戦は、開幕戦と最終戦の年2回開催されており、これまでも数々の名勝負が行われてきた。

8の字状に周回する同コースは、前半がS字コーナーなどのテクニカルセクション、後半はバックストレートから超高速コーナーの130Rへと続くハイスピードセクションとを併せ持ち、1周5.807kmは、日本のサーキットでは最長である。

しかも国内のサーキットでは珍しく、比較的市街地の近くに位置し、自家用車でも、公共交通機関でもアクセスは容易。特に公共交通機関では、近鉄名古屋線の白子駅から路線バスが出ている他、伊勢鉄道ではその名も鈴鹿サーキット稲生駅があり、徒歩でもアクセス可能だ。

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新チャンピオン石浦が、世界最高峰のドライバー達を迎え撃つ展開に

昨年のスーパーフォーミュラは、毎戦、予選から100分の1秒単位での僅差の争いが繰り広げられてきたが、昨年のトヨタ勢は速さで1歩抜きん出ており、全7戦8レース中7レースを制した。

中でも、第2戦でトップフォーミュラ初勝利を飾った石浦宏明(P.MU/CERUMO・INGING)は、第4戦で2勝目を挙げると、最終戦までもつれ込んだタイトル争いを見事制し、悲願のシリーズチャンピオンを獲得した。

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新チャンピオンとなった石浦が、過去のシリーズチャンピオンであり、世界でも活躍する中嶋 一貴(VANTELIN TEAM TOM’S)やアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)らを迎え撃つ今シーズンは、更に興味深い戦いが期待される。

今季、トヨタ勢の体制では、ほとんどドライバーに変更はないが、唯一、ITOCHU ENEX TEAM IMPULに関口雄飛が加入した。

近年、関口はGT500クラスでの活躍が目立つも、元々はフォーミュラ出身であり、石浦らとほぼ同世代。2011年には全日本F3選手権でチャンピオンを獲得、同年のマカオGPでも4位フィニッシュを果たすなど、フォーミュラでの速さにも定評がある。

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F1バーレンGPでマクラーレン・ホンダ陣営を入賞に導いたストフェル・バンドーンも参戦

昨年も1勝を挙げ、やはりタイトル候補のひとりであるジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ (ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)のチームメイトとして、ついにトップフォーミュラのシートを射止めた関口がどこまで速さを見せるかが選手権シリーズの行方を大きく左右する鍵になりそうだ。

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一方、ホンダエンジンのユーザーでは、先のF1バーレーンGPで10位入賞を果たし、2015年のGP2シリーズ王者でもあるストフェル・バンドーン(ドコモ・チーム・ダンディライアン・レーシング)が日本でどんな走りを見せるかに注目が集まっている。

また、今季より、シリーズで使用されるタイヤメーカーが変更となった。これまで長きにわたって使用されてきたブリヂストンに変わり、今季からはヨコハマタイヤが使用される。これまでとはセッティングや走り方も変わる可能性があり、勢力図に変化がありそうだ。

加えて、今季からは、金曜日にも1時間の練習走行時間が設けられることとなった。これにより、昨年以上にセッティングを詰めることが可能になるほか、コースに不慣れなドライバーも習熟の時間を取ることが出来るようになる。

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このコース習熟という点では、昨年、ほとんど走ったことの無いコースで、やや苦戦を強いられた小林可夢偉(SUNOCO TEAM LEMANS)も、2年目の今シーズンは全コースでその速さを発揮してくるだろう。

なお昨年、鈴鹿で行われたスーパーフォーミュラでは、開幕戦並び第7戦の第1レースをロッテラーが制した。3月に行われた鈴鹿のテストでは、ウェットの初日にロッテラーがトップタイムをマークするも、ドライでのトヨタ勢最高位には小林がつけている。

ただ石浦、ロッテラーを含むトップ4のタイムは0.1秒以内と極めて小さく、開幕戦も僅差のバトルとなるだろう。