中米での3月12日(日)、2017年FIA世界ラリー選手権(WRC)第3戦ラリー・メキシコの競技最終日が行われ、シトロエンC3 WRCを駆るクリス・ミーク/ポール・ナゲル組が初優勝を果たした。
この日のラリー。最終日に設定されたのは La Calera(32.96km)と、Derramadero Power Stage (21.94km)の 2SS のみ。
これに挑戦したシトロエン・トタル・アブダビ WRTのミーク/ナゲル組は、最終SSのパワーステージに於いて、フィニッシュ手前数コーナーというところでコースアウトし、あわやリタイヤするかと思われる場面があったものの、結果は、2 位に13.8秒差をつけて優勝を決めた。
同日最終日なったディ4は、クルーがサービスパークを出発する際、小雨が降り始め、この様子を観察していたシトロエン・トタル・アブダビWRTのクルー達はタイヤ選択を変更した。
各々ミーク/ナゲル組は、ミシュラン LTX フォースのソフトコンパウンド 4 本とハードコンパウンド 2 本を。対してチームメイトのステファン・ルフェーブル/ギャビン・モロー組はソフト 6 本を選択して最終日に望んだ。
そして2台のシトロエンC3 WRCが迎えた最初のSSで、ミークが今大会5回目のステージウィンを獲得。ライバルのセバスチャン・オジエに対して、リードをさらに6.3 秒広げる走りを披露。これに続き、ルフェーブルもサードベストタイムを刻んだ。
その後、ライブ中継が行われた最終 SS のパワーステージのフィニッシュライン近く。ここの右コーナーでミークのシトロエン C3 WRCがはコースを外れ、観客用駐車場に飛び込むというアクシデントが発生。
しかしミークは冷静さを保ち、駐車場に止まっている車両の合間を抜けながらコースに戻り、タイムロスを数秒に保ったままゴールラインを潜った。
これによってミークとナゲルは、2015 年アルゼンチン、2016 年ポルトガルとフィンランドに続くWRC4 勝目を挙げた。またシトロエンにとっては、通算97回目のWRCの勝利を獲得した。
【シトロエン・トタル・アブダビ WRTのコメントは以下の通り】
イブ・マトン(シトロエン・レーシング チーム代表)
「パワーステージでの出来事は、まったく信じがたいことです。アクシデントが発生した時は、何が起きたのか分からず、チームも混乱していました。
オンボード映像では大きなアクシデントのようにも見えましたが、GPS トラッキングシステムはまだ走行を続けていることを示していました。マシンがフィニッシュラインを超えた時には、我々は抱き合って喜びました。
すべての緊張とドラマから解放されたのです! グラベルラリーでの初勝利によって、シトロエン C3 WRC の基礎が非常に堅実であり、開発段階におけるシトロエン・レーシングの見事な仕事が証明されました。
我々の方向性が正しいことが分かり、ここからは向上することだけを目指し開発を続けていくことができます」
クリス・ミーク
「きっと、この話は何百回とされるのでしょうね。最終ステージでミスをした時は、自分自身にいら立ちました。
大きなバンプの後にマシンが横にスライドしてしまったのです。大きなダメージもなく、とてもラッキーでした。タイム差があったため、まだ勝てると分かっていたので、すぐにコースに戻ることを考えました。
なによりも大切なことは、初勝利によってシトロエン C3 WRC のポテンシャルの高さを証明できたことです。チームのみんなのためにも、とても誇らしく思いますし、うれしいです。このリザルトは、チーム全員で勝ち獲ったものです」
ステファン・ルフェーブル
「この週末は、非常に多くの経験ができました。最終日の今日は、グリップが上位陣とほぼ同じという状況のなかで走ったので、そういったコンディションでマシンがどのような動きをするのかを身に付けることができました。
クリスとポール、そしてチームの戦いぶりは見事でした。この勝利は、シトロエン・レーシングにとって特別な瞬間です」
世界ラリー選手権(WRC) 第 3 戦メキシコ 最終結果
1_クリス・ミーク/ポール・ナゲル
・シトロエン:C3 WRC_3:22:04.6(優勝タイム)
2_セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア:
・フォード・フィエスタ WRC_トップに+13.8
3_ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルスール:
・ヒュンダイ i20 クーペ WRC_トップに+59.7
4_オット・タナク/マルティン・ヤルベオヤ:
・フォード・フィエスタ WRC_トップに+2:18.3
5_ヘイデン・パッドン/ジョン・ケナード:
・ヒュンダイ i20 クーペ WRC_トップに+3:32.9
6_ ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ:
・トヨタ・ヤリス WRC_トップに+4:40.3
7_ユホ・ハンニネン/カイ・リンドストローム:
・トヨタ・ヤリス WRC_トップに+5:06.2
8_ダニ・ソルド/マルク・マルティ:
・ヒュンダイ i20 クーペ WRC_トップに+5:22.7
9_エルフィン・エバンス/ダニエル・バリット:
・フォード・フィエスタ WRC_トップに+8:41.8
15_ステファン・ルフェーブル/ギャビン・モロー:
・シトロエン C3 WRC_トップに+51:35.9
FIA チームズ スタンディングス
1_M スポーツ・ワールドラリーチーム_103P
2_トヨタ・ガズー・レーシング WRT_67P
3_ヒュンダイ・モータースポーツ_65P
4_シトロエン・トタル・アブダビ WRT_55P