トヨタ自動車、クラウドと車載機を組み合わせたハイブリッドナビゲーションを開発


ルート探索や施設検索の「ナビ機能&音声認識機能」を状況に応じて自動的にクラウド処理と車載機処理に切り替える

トヨタ自動車株式会社(本社:愛知県豊田市、代表取締役社長:豊田 章男、以下トヨタ)は、同社独自のコネクティッド戦略を活かし、クラウド上のナビ機能と、車載ナビ機の搭載機能を融合したハイブリッド型サービスを開発した。

この独自機能を備えた製品は、トヨタの車両保有オーナーに向けて新たな価値を提供できる新型ナビとして、今秋以降、国内で発売する車両に対して、「新世代ナビゲーションシステム(メーカーオプション)」として順次展開していく構えだと云う。

ちなみに、同機能が実現する切っ掛けとなったのは、同社が自社ブランドの車両に車載通信機であるDCM(データ・コミュニケーション・モジュール)を標準搭載する「コネクティッド戦略」を推し進めたことによる。

この次世代型ハイブリッド・ナビゲーションシステムの強みは、既存の車載ナビとは比較にならない膨大なルート選択肢から、より自由度の高い目的地検索ができるようになることにある。

また、これまでは多くの環境下では画面操作を介してナビゲーションルートを設定するしかなかったものが、クラウド環境を使うことで、発話による自由度の高いルート検索が可能にもなる。

この仕組みは、日本全国を走る多くのトヨタ車から収集する移動情報と、クラウド上に置かれたデータベースを組み合わせて、ルート探索・施設検索処理を実施した上で、個々の車載機に配信することで実現する。

一方、もしも万が一通信圏外や、リルートなど速い応答性が要求される場合には、自動的に車載機での処理に切り替えて対応することも可能だ。※(図1)参照

(図1:ハイブリッドナビ機能)クラウド環境上からのルート探索では、各道路に対する通過時間のヒストグラム(確率分布)を蓄積した所要時間データベースを利用する。この際は、到着地までの所要時間の平均値だけでなく、そこに至る走行環境毎のばらつきも考慮してルート探索を行う。

(図2: 通過時間のばらつきを考慮)車毎の環境下で微妙に異なる通過時間のばらつきにも考慮し、平均通過所要時間の短さのみでなく、ばらつきが少ないルートを選ぶことで到着予想時刻の精度向上を可能にする。

例えば、ルートAは平均時間は長いが、ばらつきが小さい。一方でルートBは平均時間は短いが、ばらつきが大きい。

また、区間が同一であっても、その進入方向や退出方向(直進・右左折)によって所要時間に差異が発生するため、区間当たりの所要時間に進入・退出を組み合わせた複数の時間データを考慮することで、ルートの所要時間をより正確に算出することができる。

(図3 : 区間に対する進入・退出の組合せ)より最適ルートの算出を目指し、「区間への進入リンク」「区間リンク」「区間からの退出リンク」の3リンクの組合せも算出する。

例えば右図の場合、「区間リンクd」の所要時間としては「進入リンクa、b、cの3種類」×「退出リンクe、f、gの3種類」の9種類の組み合わせとなる。

これらにクラウド処理を組み合わせることで、ユーザーが車両を購入した後も、より効率的なルート種別を増やすことが可能な「拡張ルート」機能を世界初で実現する。

新しいルートは、クラウド環境上からダウンロードすることで追加可能であり、その具体的な第1弾としては、今後「関東ETC2.0料金割引優先ルート」を提供する予定であると云う。

(図4:自然な発話で各操作を可能にする)なお施設検索では、キーワードを用いた曖昧検索や複数の単語を組み合わせた複合検索にも対応する。
例えば姫路城では、「しらさぎじょう」の別称、「しろさぎじょう」の読み違いでも検索可能。「銀座 寿司」、「赤坂 フレンチ」のような複合検索も可能とした。

加えて音声認識機能では、自然な発話が認識できるクラウドの強みに加え、音声認識の速さという強みを持つ車載機という双方の利点を活かし、より快適な音声操作を可能とした。

その他、「駐車場のある蕎麦屋を探す」、「エアコンの風量を最大にする」等、その場その場で使いたい機能を、意識することのない自由な言葉で操作することも可能にする。