ジャガー・ランドローバー、英国初の自動運転車開発を目指して公道テストを開始


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投資したのは、英国初・公道上のコネクテッド・コースを利用する「リビング・ラボラトリー」プロジェクト

ジャガー・ランドローバー(Jaguar Land Rover Automotive PLC、本社:英国・コベントリー、CEO:ラルフ・スペッツ<Ralf Speth>)は、次世代のコネクテッド/自動運転車両(CAV:Connected Autonomous Vehicle)に関わる技術開発の進展を目的に、英国内の公道で行われる「リビング・ラボラトリー」プロジェクトに投資した。

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同プロジェクトをより具体的に解説すると、英国内のコヴェントリー(※1)とソリハル周辺に「CAVテストコース」として41マイル(約66km)の道路を整備。

ここで運転技術に関わる新システムを積極運用し、現実に極めて近い環境下に於ける自動走行と検証を重ねていくものだ。

(※1)コヴェントリーは、英国ウェスト・ミッドランズ州に所在。同国内に於ける自動車産業の集積地であり、イングランドで8番目に人口が多い都市でもある。

約550万ポンド(約8億9,650万円)を投じて公道を整備、次世代のコネクテッド/自動運転技術の開発とテストを実施

この計画は、投資規模550万ポンド(約8億9,650万円)を投じて、4GベースのLTE(Long Term Evolution)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、LTE-V(より高度なLTE)、およびローカルWi-Fiホットスポットの4種類の主なコネクティビティ技術を多角的にテストしていく。

当地では、「UK-CITE(UK Connected Intelligent Transport Environment ※2)」プロジェクトと呼ばれており、今回、英国の一般公道に於いて「車両と車両」、そして「車両とインフラ」をつなげるシステムの両方の実証実験ができる初のテストコースとして整備されることになった。

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同プロジェクトは今後3年間、丁寧に実施が重ねられ、テストコース沿いで新たに設置された通信機器に見守られながら、5台のジャガー・ランドローバーの研究用車両を含む最大100台のコネクテッド・カーや自動運転車両が、日常的にテストされていく見込みだ。

なおこれらの車両は、交通信号や頭上の道路情報掲示板などの情報を、車両同士、および車両と道路インフラ間で共有できる、さまざまな高速通信技術*の検証にも使用・検証されていく。

(※2)「UK-CITE」コンソーシアムのメンバーは、ジャガー・ランドローバー、ビステオン、シーメンス、コベントリー市議会、WMG、ウォーリック大学、HORIBA MIRA、コベントリー大学、ボーダフォンからなる。

「スマート」なコネクテッド/自動運転技術の研究用車両で、車両が相互に通信する新しいシステムを検証

この施策の実行にあたり、英国ビジネス・イノベーション・技能省次官であるサジッド・ジェイビッド下院議員より、「UK-CITE」プロジェクトに対する英国政府の支援として、英国のイノベーション推進機関である「Innovate UK」から341万ポンド(約5億5,583万円)の助成が行われた。

結果、同共同研究に対する財政支援は、英国政府の総額1億ポンド(約163億円)のコネクテッド/自動運転車両基金から活用されていく見込みとなっている。

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これを受けて、ジャガー・ランドローバーのリサーチ&テクノロジー担当ディレクターであるウルフガング・エップル博士は、「この実生活上での自動運転の研究プロジェクトが実現すれば、ジャガー・ランドローバーの調査チームとプロジェクト・パートナーは、5種類の道路と交差点で、全く新しいコネクテッド/自動運転車両技術の実証テストができるようになります」と述べた。

車両間の通信と「視野外の兆候」を伝える注意喚起システムにより、ドライビング・エクスペリエンス向上と、交通渋滞の発生防止を目指す

また同ウルフガング・エップル博士は、「同様の研究用テストコースはすでに、欧州の他の地域で存在してはいますが、今回テストコースは、まさに英国が世界と競合するために必要とされるイノベーションを育むためのインフラとなるものです。

研究対象となるコネクテッド/自動運転車両の機能は、道路の安全性を高め、ドライビング・エクスペリエンスをより良くし、渋滞発生の可能性を低減して交通の流れをスムーズにします。

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そしてこれらの技術は、運転中の通信サービスに対するお客様からの需要の高まりに対応するためにも役立ちます」とコメントを付け加えた。

視野外での兆候を捉えて警告。将来は頭上の道路情報掲示板に表示されている警告表示がシステムに取って代わる

こうしたコネクテッド技術は、将来の高度道路交通システムを実現するための鍵となり、各交通機関がすべてのコネクテッド・カーから収集したデータを活用して交通の流れをモニター、管理し、ドライバーや自動運転車両に最適な道程を案内できるようになるだろう。

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併せて車両自身のインテリジェント化も大きく進み、交通の流れをスムーズにするためにも、コネクテッド・カー同士が積極的に連携・協力し合うことで、より効率的かつ安全に、車線変更をしたり、交差点を抜けたりするようになるとも云う。

これらの技術群は、同プロジェクトに於いてコーペラティブ・アダプティブ・クルーズ・コントロール(CACC:Cooperative Adaptive Cruise Control)と呼ばれており、同技術により車両が密接しながら互いに追従して自動走行する、いわゆる隊列走行が行えるようになる。

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ひいてはそれがドライバーや乗員の安全性を高め、道路上の空間を、これまでよりも効率的に利用できるようになっていくとしている。

車両間の通信により、救急車や消防車、パトカーが接近してきていることを、ドライバーに警告

そうした自動運転車が走る未来の道路環境下に於いて、大きく見た目の印象を変えていくもののひとつに「道路標識」がある。

現在、道路の頭上には道路情報掲示板に表示されているが、これらの指示・警告表示に関わる情報は、将来的にはダッシュボードに直接送られ、必要に応じて適切に変更されたり、繰り返し表示されるようになると予測されている。

そもそも今日、頭上に置かれている現在の道路情報掲示板には、設置費用が、およそ100万ポンド(約1億6,300万円)掛かる為、いずれは、この掲示ものものが同技術へと完全に取って代わられる可能性もあるだろう。

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上記を踏まえ、ジャガー・ランドローバーの研究チームは、さまざまな視野外の兆候を捉えた注意換気システムをテスト運用していく。

それはドライバーに対してだけでなく、刻々と変更される危険の発生要因などの交通状況に対して、自動車自身が能動的にそうした環境要因に対応させていくことも含まれる。

緊急時にもドライバーに一切のストレスを与えず、車両を安全かつスムーズに移動させていく夢の交通社会実現を目指して

これについて先のエップル博士は、「今日に於いても走行車両の前後を含め、より多くの交通情報を得ているドライバーは、安全に自動車を運行する事ができます。

同じように自動運転車両も、前もって、できるだけ多くの運転環境に関する情報を受信する必要があります。

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車両同士や周辺機器と通信するスマートなコネクティビティ車両は、渋滞や急カーブに差し掛かった際に、急ブレーキや停止を行うことを車両側から警告してくれるため、自動運転車両が状況に応じて対応することができます。

この際ドライバーには、視野外で他の車両が危険を引き起こしている、またはその兆候があることを知らせる警告メッセージが表示され、警告音が鳴ります。

また、緊急車両の接近は、しばしばドライバーにストレスを与えますが、緊急車両が接近するよりも早く、ドライバーや自動運転車両に通知できれば、緊急車両に道を譲るために車両を安全かつスムーズに移動させるための最適な判断ができるようになるのです」と語る。

ジャガー・ランドローバーの「緊急車両警告」システムは、通信機能を備えた救急車、消防車、パトカーの接近を、車両間の通信を通じて特定。その後、赤色灯の光が見えたり、サイレンが聞こえたりする前に、ドライバーに対して警告や適切な指示が発せられるようになっていくのだと云う。※本記事のコスト表記は、1ポンド=163円にて換算している(2016年2月12日現在)

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ランドローバーコール(フリーダイヤル)0120-18-5568
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