車載モータの動きを正確に把握でき、小型ながらレゾルバ方式と同等以上の高精度な回転角度を検出
パナソニック株式会社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:津賀一宏、以下、「パナソニック」)と、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(本社:大阪府門真市、代表取締役社長:伊藤好生)は、車載用モータの回転角度を高精度に検出する角度センサ「A³MR」を開発した。
このセンサは、高い磁界レンジに対応可能なAMR薄膜(磁気センサに用いられる素子の1種で、Anitorpic-Magneto-Resistance・異方性磁気抵抗素子のことを指す)と、360度の角度検出が可能なホール素子(電流と垂直な方向に磁場がかかった場合、電流と磁場の両方に直交する方向に起電力が発生する現象)を内蔵した小型・高精度なセンサである。
車載に要求されるISO26262(機能安全・自動車の電気/電子に関する機能安全についての国際規格で、ある機能・部品が故障した場合でも、システムの安全性を確保できるようにすること) にも対応する。
ちなみに従来型のセンサで、主流のレゾルバ方式(モータの回転軸にコイルを複数個とりつけた構成で、電磁誘導の原理で回転角を検出する方式)は、高精度検出が可能だが、サイズ、重量が大きく、ISO26262に対応する冗長設計(予備機能をバックアップとして配置すること)が困難だった。
GMR(巨大磁気抵抗型)などの磁気センサも使用されているが、小型であるものの、レゾルバ方式と比べると角度精度が劣り、また強い磁界がかかる環境では精度が得られないという課題があった。
市場からは、レゾルバ方式の代替が可能な、強い磁界レンジでも使用できる小型・高精度なセンサが求められていた。
一方同センサは、モータ内の回転部分が何度動いたか(回転角度)を高精度に検出できる。
これによりモータの動きを正確に把握し、モータの回転速度や駆動量を管理することが可能になり、より効率的なモータ制御が実現する。
さらに小型軽量で、磁界が不均一でも高精度検出ができるため、サイドシャフト検出(磁気センサでモータの回転角を測定する場合に、モータの回転軸上ではなく、外周に配置する)が可能で、センサの取付けが容易になった。
例えば、事故などの可能性を事前に検知し、回避するADAS(先進運転支援システム)では、電動パワーステアリングの回転やシフトチェンジなどの操作は、モータの回転角度などによって車両の挙動に反映されており、モータを高精度に制御することでより正確な動きを実現できる。
また、ISGハイブリッドシステム(スターター、ジェネレーター兼用のモータを使用するハイブリッドシステム)の駆動用モータではモータの回転角度を制御することで回転ムラをなくし効率を高め燃費向上を実現することができる。
同センサの特徴は以下の通り。
- 小型・軽量で360度の角度を高精度に検出(角度精度:±0.1度以下、25℃時)
- センサの配置位置の自由度が高く、設計が容易(サイドシャフト検出が可能)
- 高い磁界レンジに対応でき、ノイズ耐性に優れる(磁界レンジ:20mT ~200mT)
同センサの要素技術は以下の通り。
- 磁界が不均一でも高精度に磁界の向きを検出するAMR薄膜の形成技術
- 高精度な360度検出を実現する制御回路技術
【用途】
車載用モータの回転角度検出(電動パワーステアリング用、ISGハイブリッドシステム用、シフトバイワイヤー[11] 用など)
【実用化】
サンプル出荷予定: 2017年5月、 受注開始予定:2019年9月
【商品・技術に関する問合せ先】
オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 デバイスソリューション事業部
https://industrial.panasonic.com/cuif/jp/contact-us?field_contact_group=691&field_contact_lineup=3439?ad=press20170327
【商品の詳細ページ】
https://industrial.panasonic.com/jp/ds/pr/a3mr_sensor?ad=press20170327
【基本仕様】
項目:参考特性
– 検出精度:
全温度範囲:±0.5度以下
補正実施、25℃時:±0.1度以下
– 検出磁界エリア:20mT~200mT
– 印加電圧:4.0~5.5V
– 消費電流:15mA以下
– 出力インターフェイス:SPI,SENT