マツダ、国内ビジネス構造変革の方針を公表

ブランド価値を高める経営を軸に、選ばれ続けるブランドに

マツダ(本社所在地:広島県安芸郡府中町、代表取締役社長兼CEO:毛籠 勝弘)は6月19日、報道陣を募り日本市場に於いてビジネス基盤の強化と再成長を図る「国内ビジネス構造変革の方針」を公表した。

自動車業界を取り巻く環境が急速に変化する中で、多様化する顧客ニーズに対し、柔軟かつスピード感を以て対応することが求められている。

マツダは、予てより自社が提供する製品価値を、広くステークホルダーに共感して貰い、その感情的な繋がりを通して長く繫がっていくことでブランド価値を向上させることに注力。

ひいてはそれが企業価値を高めるという経営哲学「ブランド価値経営」の実践を通じて、米国市場を筆頭に各地に於いて自らのビジネスを成長させてきた。

例えば米国市場では、逸早く「MOVE AND BE MOVED」を打ち出してきている。2025年1月3日当時、2024年に米国当地で大幅な売上記録を達成したマツダ・ノースアメリカン・オペレーションズ( MNAO )社長兼CEOのトム・ドネリー氏は好業績の背景について、「記録的な業績を達成できたのは、MNAOとディーラーパートナーの皆様の努力の賜物です。

2024年には、CX-70とCX-50ハイブリッドの発売により商品ポートフォリオを拡充し、人と人との繋がりを重視する新しいブランドプラットフォーム『Move and Be Moved』を立ち上げ、ディーラーデザイン進化プログラム『Retail Evolution』を拡大しました。

これらの努力は、MNAOの記録的な業績の要因であり、新年以降もこの成長を継続できると確信しています」と語っている。

ちなみに、この新しいブランド訴求戦略「Move and Be Moved」は昨年の9月に、マツダ104年の歴史上に於ける重要なブランド変革の始まりを示すものとして北米に於いて訴求を開始したもの。

MNAOは、体験、製品、マーケティング活動を通じて自らのブランドを再構築するべく『Move and Be Moved』を掲げたプロモーションを掲げ、9月12日のAmazonプライムのサーズデーナイトフットボールで『Choose to Be Moved』と題した以下のローンチフィルムを配信した。

配信した映像は、シアトル・ストームのWNBA新人選手のニカ・ミュール氏、生物学者でプロサーファーのクリフ・カポノ氏、MX-5カップレーサーのエリオ・メサ氏など、いずれも意志を持って様々な世界で活躍する人達をフィーチャーしたものとなっている。

このプロモーションについて、マツダ北米事業部でマーケティング責任者を担うブラッド・オーデット氏は、「情報や体験、製品など、様々なものが溢れ返る現代社会で、人々は、誰のものでもない自身の人生を切り拓く時、押し寄せる多くの選択肢に出逢います。

私達は、それらの選択を安易に選び続ける人生ではなく、感動を与える人々、感動を得られる場所、心が動かされるモノに出逢うことで、初めて前進できるだと信じています。

『Choose to Be Moved』は、マツダの新しいクリエイティブメッセージを通じて、意志を持った選択を行い、自らの独自の人生を愉しむドライバーに焦点を当てることで、その意味を伝えたいのです」と語っていた。

さて、ここで一旦翻って、マツダの過去を振り返ってみると、かつてのマツダ自身の「ものづくり」に賭ける哲学は一貫していたものの、販売戦略面では、より多くの製品を販売してマス・マーケットの拡大を狙っていた2011年以前に於ける反省を経て、2011年以降は、モデル毎の製品力を高める「商品力主導」へと変化させてきた歴史がある。

この結果、マツダのブランド力が市場へ強く浸透するようになり、「選ばれるブランド」になっていった。従って今後も、日本市場に於いてもブランド価値経営を軸に、ビジネス構造変革の実現を加速させていきたい考えだ。

そんな今後のビジネス構造変革のための自社ビジネスの3本柱を、「(1)ブランド育成に向けた成長投資」「(2)優先地域の特定(都市圈戦略)」「(3)店舗体験の向上に向けた現場支援の徹底」とし、それらを具現化するための4つの重点施策を定めて、今後はこれを着実に推進していく。

要は「マツダに関わる全てのステークホルダー」が誇りを持てる企業ブランドになるという戦略だ。そこで戦略を以下の4つのテーマに定めた。

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•お客様にとってのマツダの価値を鮮明化する
• お客様の声に真摯に耳を傾け、何を要望されているか探求し続ける
• どうすればお客様にとって、なくてはならない存在になれるかを考え抜く
• お客様のために働くことに、従業員も喜びを感じる風土をつくる
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また、これを踏まえた戦術テーマは以下の4つとなる。

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• 店舗がお客様のケアに集中できる
• 仕組みと環境の整備
• ブランド価値経営が浸透している海外の知見/自分の経験を生かす
• 選択と集中、大胆な実行
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これらの取り組みを通じて、マツダがより多くの顧客並びにステークホルダーに選ばれ続けるブランドとなることで、2025年3月期通期の国内販売台数15万2千台を早期に20万台へと積み上げていき、より厚く強いビジネス基盤の構築を図っていきたいという。

■ 3つの柱・4つの重点施策
そうした施策の実施について今年4月に着任した、国内営業本部長の三浦 忠氏(みうら ただし)は、「国内販売の再成長は、当社の中長期的な企業価値向上に直結する重要テーマです。

米国で成果を上げたブランド価値経営に基づくビジネス改革成功のエッセンスを取り入れ、メーカーと販売店が一体となって、聖域なく変革を実行し、魅力的な店舗づくりと質の高いお客さま体験の提供を実現します。そして、お客さまから選ばれ続けるブランドへと取り組みを進めてまいります」と語っている。

重点施策1.販売網再構築
より具体的には、安定的な需要が見込まれる都市圏に於いては、東京や大阪など10都市を重点市場に選定し、自社ブランドを体験して貰えるよう新世代店舗を集中的に展開するべく投資を進めていく。

なかでも特に販売効率を高める重点店舗300店を予め設定し、ブランド体験向上によって店舗あたり年間販売台数400台を目指していくとしている。

次世代店舗

■ 重点施策2.マツダブランドにフォーカスしたマーケティング投資の実行
今後は自社のブランド投資については「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というマツダブランドのPURPOSE(存在意義)に焦点をあて、一貫したブランドコミュニケーションと効果的なマーケティング施策を実践していきたい考え。

それによりマツダの提供価値に共感して貰えるステークホルダーの裾野を広げ、これを基に新たな需要の創出を目指す。

例えば2025年2月にマツダブランドの体感施設として南青山にオープンした「MAZDA TRANS AOYAMA」は、ファンだけでなくブランドに共感して貰える新たな顧客との出会いの場となっており、今後もそうした取り組み策を拡大・推進さていきたいと述べた。

MAZDA TRANS AOYAMA 1F

■ 重点施策3.店舗へのブランド価値浸透の仕組み/体制整備
顧客に満足して貰える“マツダらしいブランド体験”のあり方を規定した「ブランドスタンダード」を策定すると共に、店舗での「ブランドスタンダード」の浸透と定着のための、教育・支援体制を構築し、現場を強力にサポートしていく。

■ 重点施策4.バックヤード機能効率化を担う新会社設立
新会社「マツダビジネスパートナー株式会社」の設立することで、主に販売会社の管理部門で行う間接業務(バックヤード機能)を新会社に集約することで、 店舗および販売会社がカスタマーケアと顧客へのブランド体験の提供に集中できる体制を構築する。

<新会社の概要>
会社名: マツダビジネスパートナー株式会社
所在地: 東京都板橋区
代表者: 代表取締役社長 東堂 一義(とうどう かずよし)*5
事業内容: マツダグループ内リソースを活用したシェアードサービス会社として、グループ内の国内販売会社の間接業務を集約し、業務効率化と品質向上、ガバナンス強化を図る
資本金: 1000万円
株主: マツダ株式会社100%
設立日: 2025年1月30日

最後にマツダは、「今後も〝ひと中心〟の価値観のもと〝走る歓び〟を進化させ続け、お客さまの日常に移動体験の感動を創造し、〝生きる歓び〟をお届けしていくことを目指してまいります」と結んでいる。

<以下参考>

■ マツダの企業理念(PURPOSE/PROMISE/VALUES)
https://www.mazda.com/ja/about/philosophy/

■ MAZDA TRANS AOYAMA サイト:
https://www.mazda.co.jp/experience/mazda_trans_aoyama/

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