日本グッドイヤー、都内で2017年の成長戦略を発表。「ICE NAVI6」の後継リリースも予定


日本グッドイヤー株式会社(本社:東京都港区赤坂、代表取締役社長:金原雄次郎)は2017年2月16日、東京都港区赤坂に国内報道陣を集めて該当年度の戦略発表会を開催し、消費財向けタイヤ業界の動向を動向を見据えた日本国内市場に於ける業績目標や、注力分野並びに製品などの戦略概要を発表した。

この席上で、ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー(Goodyear Tire and Rubber Company・本社:米オハイオ州アクロン、CEO:リチャード・J・クレイマー、以下グッドイヤー)のアジア太平洋地区・消費財(乗用車)担当副社長のマイク・リトコスキー氏が登壇し、「2016年の国際市場では、前年比で過去最高の30%以上影響利益増を達成しました。

なかでもアジア・太平洋市場での営業利益率の高さが際だった1年となりました。

特に中国とインド市場では、利益還元率の高い高付加価値製品が伸張した事により、2桁成長を達成することができました。

一方、今年度は国際的な資源価格の上昇に伴い、タイヤ生産に伴う原材料費も高騰しており、タイヤメーカーとしては各地域マーケットへの製品投入の戦略構築に関して難しい時期を迎えています。

具体的には、当社製品をお客様へ提供するにあたり、ほぼ7割が原材料費を占める現状を見据えて、より収益性を高めるための新たな戦略を実施致します。

幸い当社では、米国市場並びにアジア・太平洋地域は乗用車用タイヤ事業の伸張により、右上がりの利益推移を保っています。

しかし個別の製品販売総数に関しては、商用トラック用タイヤ市場の軟調により欧米地域に於ける価格競争が激化。これによる値引き競争の影響などで販売価格が下落しています。

写真向かって左から「日本グッドイヤー、金原雄次郎社長」、「ザ・グッドイヤー・アジア・パシフィック地区、マイク・リトコスキー消費財担当副社長」

結果、2016年の製品販売実績では2015年度比で2%減の4110万本。その中身は、新車装着用製品出荷で7%減。補修用製品の出荷数は1%の減少に転じています。

こうした世界情勢を踏まえ、日本国内に於ける2017年度では『高付加価値セグメントへの注力』などにより『独自の消費者体験』並びに『より良質な顧客サービスの醸成』に集中していきたいと考えています。

アジア・太平洋地域のなかでも日本市場は、健全な成長を見せており、今後も大きな収益増を見込める魅力的なマーケットとなっています。

そうした地域であり時期ゆえに2015年以降、日本国内環境下で独自の船を漕ぎ出したグッドイヤーブランドの価値を、今後、どこまで高められるかに成否の行方が掛かっています。

しかしグッドイヤーには、そうした中にあって着実な成長を担保できる資質があります。それは市場に於けるタイヤ購買プロセス全域で、お客様に訴求出来る製品価値が複雑化していることが幸いしているからです。

当社は『世界規模のブランド力』、『独自の技術力』を背景にした高い競争力により、我々が本年度に据えている業績目標に、必ずや到達できるものと確信しています」と述べた。

そんな同社が掲げる日本国内の戦略概要は以下の通り。
– 調整済み純利益で21%増を達成した2016年通期決算を踏まえ、新たな後継スタッドレスタイヤを今夏発売する。
– 履き替え不要のオールシーズンタイヤ発売40周年のメモリアルイヤーを迎えた今年、さらなる拡販強化を図る。

日本グッドイヤー、金原雄次郎社長

これに続き、日本グッドイヤー代表取締役社長の金原雄次郎氏は、「日本国内市場に於いては、現時点ではブランド認知浸透を目指す『知ってもらう・学んでもらう・選んでもらう(製品・販売網・販売拠点)』という段階にあります。

そうしたなか当社の認知度並びに評価は着実に浸透しており、これに伴い、当社が主力製品に据えた『Vector 4 Seasons Hybrid(ベクター・フォーシーズンズ・ハイブリッド)』を指名買いするお客様が着実に伸び始めています。

また今年刷新したオフィシャルウェブサイトへの来訪者数も拡大しています。

これを踏まえ、日本国内に於ける2017年の経営戦略については、当社が長期目標として掲げている『持続可能な利益成長』と、『存在価値あるブランド強化』を目指す戦略実施に沿う形で、『お客様がお求め易い製品の投入』『複雑化しているお客様ニーズへの細やかな対応』を柱にステークホルダーに信頼される会社を目指すべくさらなる成長を目指してまいります」と語った。

日本グッドイヤー、マーケティング部 有田俊介マーケティング本部長

具体的には、Facebook等を利用したWeb戦略を介した拡販。報道ステーションなど地上波に於けるTVCMに見られるマス向けプロモーションの引き続きの続投。

ウルトラパフォーマンスタイヤ『Eagle F1 Asymmetric 3(イーグル・エフワン・アシメトリック・スリー)』などの高付加価値を持つ独自性の高い製品投入などの製品を投入しながら、さらなるブランド認知の拡大・製品価値の高さを市場浸透を目指すとしている。

また、今年は東京モーターショーの開催年でもあり、消費市場に於けるさらなるブランド浸透を目指し、積極的な出展攻勢も実施致してまいりますとも述べている。

なお、先の製品原材料価格の高騰を踏まえ、国内外タイヤメーカー各社も行いつつある製品価格上昇の流れについては、日本国内の市場動向を考慮し、製造・流通コストの見直しを含めて製品価格の値上げについては慎重な姿勢を見せていた。

日本グッドイヤー、松崎洋明技術本部長

なお同社の今後の製品戦略では、2017年1月30日に「Eagle F1 Asymmetric 3(イーグル エフワン アシメトリック スリー)」を発表した訳だが、今後も、日本市場に向けて新たなウルトラハイパフォーマンスタイヤの投入。

さらに今期冬に向け新たなスタッドレスタイヤとして「アイスナビ シックス(ICE NAVI6)」の後継モデルとなる新製品のリリースも予定している。

加えて同社のオールシーズンタイヤシリーズが、今年で丁度40周年を迎えることを踏まえ、日本国内に於いても米国内の乗用車市場で8割のシェアを占めるオールシーズンタイヤの販拡なども行っていくと云う。

実際、オールシーズンタイヤについては、先の昨年2016年8月に投入した『Vector 4 Seasons Hybrid(ベクター・フォーシーズンズ・ハイブリッド)』が関東・東海エリアの都市部を中心に例年よりも早い降雪があった11月以降に大きく販売が伸びていると語っている。

自動車保有で面倒な作業TOP3は、「車検」「洗車」「タイヤの交換」。タイヤ交換に大きな世代格差があり、20代男性の72.0%が「タイヤの交換が面倒」との結果が出ている(日本グッドイヤー調べ)。

併せて日本グッドイヤーの市場調査によると、日本国内に於いてオールシーズンタイヤを認知している消費者は、全体の半分に留まっており、シーズン毎のタイヤ交換が煩わしいと考える層が数多く存在しているなか、同マーケットにはさならるポテンシャルがあると見ているようである。

ちなみに日本グッドイヤー株式会社は1952年創立。国産および輸入品のグッドイヤーブランドのタイヤ製品を、補修用および新車装着用タイヤ市場で販売してきた。

現在、日本グッドイヤーは乗用車向けを中核とする消費財製品の販売を行っており、同社関連会社の日本ジャイアントタイヤ株式会社は、土木建築車両用・重機用オフロードタイヤを、兵庫県たつの市の工場で生産している。

なおグッドイヤーは<日本に於いて航空機用タイヤのマーケティングと販売も行っている。
日本グッドイヤーWebサイト:http://www.goodyear.co.jp/