インディ500、ルーキーのロバート・シュワルツマンがPP獲得

第109回「インディ500」の公式予選結果が5月18日(米国・インディアナ州発)に発表され、インディアナポリス・モーター・スピードウェイの歴史に新たなエピソードが刻まれた。

その結果は、まさに〝おとぎ話が現実のもの〟になったようなものだった。

というのは、ファイアストン・ファスト・シックスで初めてのオーバルレースに参戦していたルーキードライバーのロバート・シュワルツマン選手(プレマ・レーシング・83号車)が4周平均時速232.790マイル(約372.790キロ)を記録し、ポールポジションを獲得したからだ。

この新たな金字塔を打ち立てたロバート・シュワルツマン選手は、「これは夢に違いないと、と思いました。正直(この結果については)、何と言っていいのか分かりません。

でもマシンの感触は最高でした。プレマとシボレーには本当に感謝してもしきれません。初めてのオーバルレースで、まさかこんな順位につけるとは思ってもいませんでした。今でも信じられない気持ちです。

(この結果を受けて)改めてエンジニアたちに心から感謝したい。彼らは素晴らしい仕事をしてくれた。着実に一歩一歩、マシンを改良し、新しいことに挑戦してくれた。

僕らが行ったポールポジション獲得までのステップは、着実に一歩一歩、改善作業を行ってきたからで、それによってマシンは本当に良い状態になったから」と語った。

イスラエル テルアビブ出身のシュワルツマン選手は、1983年のテオ・ファビ選手以来、新人ドライバーとしてポールポジションを獲得した選手となった。

また彼は、インディアナポリス・モーター・スピードウェイに於いてポールポジションを獲得した歴代3人目の新人となった。

ヨーロッパに於ける実績を糧に、今シーズンからNTTインディカー・シリーズに参戦したプレマ選手は、かつて1984年にメイヤー・モーター・レーシングがトム・スネバ選手をポールポジションに導いて以来、しかも初挑戦でインディ500のポールポジションを獲得したチームとなった。

この結果シュワルツマン選手は、インディアナポリス500で2度の優勝経験を持つ佐藤琢磨選手とパト・オワード選手と元に、5月25日(日)午前10時(東部時間)にスタートするインディ500のフロントローに並ぶ。

琢磨選手は、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの75号車アマダ・ホンダで予選2位に。オワード選手は5号車アロー・マクラーレン・シボレーのステアリングを握って3位からスタートする。

ファイアストン・ファスト・シックスに参戦したセカンドロー以下に並ぶドライバーは、2008年の優勝者スコット・ディクソン選手(PNCバンク・チップ・ガナッシ・レーシング・ホンダのNo.9)、マイヤー・シャンク・レーシングのフェリックス・ローゼンクヴィスト選手(No.60シリウスXMホンダ)、予選初日にトップポジションを獲得していた現在ポイントリーダーのアレックス・パロウ選手(No.10 DHLチップ・ガナッシ・レーシング・ホンダ)が続く。

ちなみにこの結果は、パドックの関係者にとつて予想外のことだった。というのはシュワルツマン選手とチームメイトのカラム・アイロット選手を配するプレマ・レーシングは、5月13日火曜日の練習初日に、初のオーバルレースに向けた準備が遅れて僅か22周しか走行できなかったからだ。

こうした経緯から、シュワルツマン選手は初日に34人のドライバー中33位のブービーポジションだったのだが、水曜日には28位まで順位を上げたものの、翌木曜日には32位まで後退した。

そして土曜日に行われた予選初日、シュワルツマン選手はトップ12を6位で進出。更にトップ12の予選セッションで3位までタイムを押し上げた後、遂にポールポジション獲得を獲得した。

その他の予選結果では、マルコ・アンドレッティ選手、マーカス・アームストロング選手、リヌス・ヴィーケイ選手の3人が、ラストチャンス予選で最後の3枠を獲得した。

1969年インディ500優勝者マリオ・アンドレッティの孫であるアンドレッティ選手は、アンドレッティ・ハータ(マルコ&カーブ=アガジャニアン)所属の98号車MAPEI/カーブ・ホンダで31番手からスタートする。

アームストロング選手は土曜日の激しいクラッシュから立ち直り、マイヤー・シャンク・レーシング(カーブ=アガジャニアン)所属の66号車シリウスXM/ルート・インシュアランス・ホンダ32番手で予選を通過した。

デイル・コイン・レーシングのヴィーケイ選手(18号車askROIホンダ)は33台の中団枠の中で最後に出場権を獲得したドライバーとなった。