ホンダ、2019年度・第1四半期連結決算の会見を実施


為替影響、四輪事業、二輪事業の減少で減収減益に、営業利益15・7%減

ホンダが8月2日発表した2019年度第1四半期(2019年4~6月)連結決算は、四輪事業、二輪事業の縮小や為替影響などにより減収減益となった。本社で決算発表会見した倉石誠司副社長は米国やインドでの四輪車販売台数減少などにより減益だったが、「為替や一過性の影響、品質関連費用を除くと実質、前年同期に比べ108億円の増益だ」と述べた。(佃モビリティ総研・松下 次男)

また2020年3月期通期見通しは融資引締め継続によるインド市場の減速などを背景に、売上高を15兆6500億円、当期純利益を6450億円へとそれぞれ下方修正した。営業利益は期初予想を据え置いた。

為替影響や一過性影響、品質関連費用を除くと、実質的に前期比108億円の増益

第1四半期の連結業績は売上高が3兆9962億円で前年同期比0・7%減、営業利益が2524億円で同15・7%減、当期純利益が1723億円で同29・5%減となった。グループ販売台数は四輪車が132万1千台と同1・2%増、二輪車が492万1千台と同8・1%減となった。
四輪車は日本や中国で伸ばしたものの、北米、インドなどで減少した。

一方、2019年度の四輪車販売見通しでは中国で市場は前年を若干下回ると予想するものの、新型車Envixの投入などによりホンダブランドは過去最高の販売台数を目指す。米国でも市場は1700万台を少し下回ると予想するものの、ライトトラックの販売を増やし、前年越えを目指す。
収益面でも生産調整、在庫調整を進めるとともに、インセンティブ(販売奨励金)競争を避けることなどにより、改善を進める。

2020年3月期は売上高、当期純利益を下方修正、インドでの悪化を見込む

唯一、今年度の四輪車販売見通しで計画を大きく下回ると予想するのがインド市場。融資引締め継続などが影響しているためで、これにより通期のグローバル販売台数についても期初予想から5万台引き下げ511万台へ下方修正した。二輪車はベトナムなどで好調なことから逆に10万台上積みし2035万台へ販売台数計画を上方修正した。

こうしたことを織り込んだ結果、2019年度の連結業績見通しで売上高を期初予想から500億円、当期利益を200億円それぞれ下方修正した。営業利益については二輪車事業や金融事業の増加を図ることを目指し、期初予想の7700億円を据え置いた。修正後の業績見通しは前期に比べ減収増益予想だ。

第1四半期決算の減益に影響した為替について、トヨタが通期見通しで1ドル106円へと円高へ修正したのと対照的に、ホンダは「上げ下げの変動が大きく、先行きも不透明」(竹内弘平専務取締役)として1ドル110円の見通しを据え置いた。これらの動きも今後、収益面への影響を左右することになるだろう。

松下次男
1975年日刊自動車新聞社入社。編集局記者として国会担当を皮切りに自動車販売・部品産業など幅広く取材。その後、長野支局長、編集局総合デスク、自動車ビジネス誌MOBI21編集長、出版局長を経て2010年論説委員。2011年から特別編集委員。自動車産業を取り巻く経済展望、環境政策、自動運転等の次世代自動車技術を取材。2016年独立し自動車産業政策を中心に取材・執筆活動中。