EV化と自動運転実現の鍵は電脳化。クルマ社会はサイバー空間の一部になる


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ネットワーク化は、クルマの運転方法にも革命をもたらす

2010年も半ばを迎えた今、自動車のネットワーク化が急加速している。未来の自動車は、インターネットから得た有益な情報を活用することで、安全かつ快適に、そして効率的に目的地へ到達するだけでは終わらない。

近未来の自動車には、モノをインターネット化するサイバーなテクノロジーが組み込まれ、そう時を経ず近しい明日には、様々な車両関連サービスの扉が開かれる。

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ボッシュで、IoT分野に取り組む同社取締役会メンバーのディルク・ホーアイゼル氏は、「ネットワーク化は、私たちのクルマの運転方法にも革命をもたらします。

そのためにボッシュは、必要なハードウェアとソフトウェアを素早く提供する準備を進めているのに加え、今日考えられるありとあらゆる魅力的なサービスを開発しています。

ボッシュはこうした戦略を介して、自動車ネットワークのビジネスチャンスを確実に広げています。

これについては、モノのインターネット化に関するこれまでの研究でも明らかにされている通り、特にモビリティ分野には、巨大な市場の可能性があります。それにつれ、我々の提供するサービスの数も著しく増える見込みです」と述べた。

ヒトに移動の自由をもたらしたクルマが新たな次元に突入する

自動車エレクトロニクスに関わる包括的な専門知識と、際限なく多数のIoT製品を有するボッシュは、丁度、今から100年前。ヒトに移動の自由をもたらしたクルマの、更なる潜在的可能性を引き出す方向に進んでいる。

またボッシュは、世界のテクノロジー企業の一角として、センサー、モノのインターネット化、ソフトウェアやさまざまなサービスを通じて、小型の電子タグから高級乗用車1台分に至るまで、あらゆるレベルのインターネット化に取り組んでいる。

これはボッシュのモビリティ事業だけに止まらず、他のすべて事業セクターについても同様だ。

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例えば、ボッシュはほんの数週間前に、逆走車が接近している場合に備え、その鼻先と遭遇する10秒以内にドライバーに警告するクラウドベースの警報システムを発表した。

2016年に生産開始される予定の、同警報システムは、まさに「ネットワーク化」の真価を発揮する救命システムと云えるだろう。

そのほか、ボッシュは2012年に、数社の自動車メーカー向けの拡張版eCallサービスと、モバイル情報サービスの運用を開始した。そのサービス内容は、事故アシスタンスだけでなく、その他様々な問題も幅広くカバーする。

また法人ユーザーの中には、ボッシュが2014年に市場へ導入したコネクテッドフリート管理ソリューションを既に利用しているユーザーも存在する。

ボッシュのテクノロジーで自動車は常にオンラインに

今後、クルマをインターネットに接続する手段として、ボッシュが進めているアプローチは主に2つある。

1つ目は、ドライバーが携帯しているスマートフォンを活用すること。統合型ソリューション「mySPIN」があれば、ドライバーはAndroidとiOSベースのデバイスを車両のインフォテインメントシステムに接続することができ、選択したアプリを車両のセントラルディスプレイから手軽に操作できるようになる。

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このテクノロジーは2014年以降、ジャガーとランドローバーのモデルに装備された。また、アジアでの普及も進んでおり、中国の自動車メーカー2社との契約、そして中国のインターネット会社であるTencent社との提携がその原動力となっている。

クルマをインターネットに接続するためのボッシュの2つ目のアプローチは、コネクティビティコントロールユニット(CCU)の様に通信機能を持ったハードウェアを車両に搭載することだ。

やがては自動車間が独自で情報交換する時代がやってくる

例えば、CCUは、SIMカードに組み込まれた無線モジュールを利用して情報の送受信を行い、必要に応じてGPSを使って車両の現在位置を特定することもできる。

ボッシュは、乗用車、商用車、二輪車だけでなく、オフハイウェイ車両(農建機)や鉄道車両に至るまで、その車両に合わせたデバイスを幅広く提供することができる。

その成功例の1つとして、ボッシュは数週間前に、スイスの鉄道貨物会社であるSBB Cargoの物流管理プロセスを最適化するための契約を獲得している。

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OBDインターフェースを経由して、車両の電気系統のシステムと接続されるCCUは、直納(OE)および後付けソリューションのどちらでも提供することができるため、フリート運用者による既存車両への取り付けも可能である。

ボッシュ子会社のMobility Mediaでは、このソリューションを「Drivelog Connect」として個人ユーザー向けにも販売している。

このソリューションでは、スマートフォンをCCUに接続すると、車両データを表示させるだけでなく、低燃費運転のためのアドバイスを聞いたり、故障時など必要に応じてけん引サービスや自動車修理工場に直ちに連絡できるようになるのだ。

人間よりも予測運転に長けている「コネクテッドカー」
渋滞や路面の凍結、そして逆走車に関する情報は、今ではクラウドから入手することができる。

これを駐車場や、充電スポットなどのインフラデータと組み合わせると、より広い視点で周囲状況を把握することができる。

それを可能にするのが、ボッシュの「コネクテッドホライズン」である。

先のホーアイゼル氏は、これについて、「ネットワーク化された車両は、次の上り坂の頂点や次のコーナーはもちろん、更にその先まで見通せるようになります。

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未来の自動車は、突然の霧や次のコーナーの先に停止中の車列があることを、ドライバーに前もって警告できるため、運転の安全性が高まります。またネットワーク化は、効率的な運転にもつながります。

たとえば、交通渋滞や前方の道路に関する正確なデータを活用することで、走行ルートに応じたハイブリッド車や電気自動車の最適な充電を可能にします。

さらに、車両が先を予測することにより、渋滞中ではなく、高速道路を出る直前にディーゼル パティキュレート フィルターを再生することができます。

ネットワーク化は自動運転の必要条件であることから、利便性向上にも貢献します。ネットワーク化だけが、工事エリア、交通渋滞や事故現場の手前での慎重なブレーキングを可能にするのです」と語った。

予測診断によりサービスにかかる時間を削減

コネクテッドカーでは、走行データや車両周囲の情報のほか、個々のコンポーネントの操作に関するデータも入手できる。

こうしたデータを高度なアルゴリズムで分析すれば、予防的な診断が可能になる。たとえば部品の残りの寿命を予測するために、インジェクターから収集されたデータをもとに、クラウドや車両の分散アルゴリズムから算出することができ、状況がドライバーやフリート運用者に直ちに伝えられ、事前に余裕を持って修理工場を予約することができるようになる。

これが可能になれば、特に大型商用車の場合などで高額な修理やダウンタイムを回避できることも多くなる見込みだ。

さらにネットワーク化のメリットはクルマそのものだけに止まらず修理工場にも生まれる。

メカニックはクルマから送信されたデータを利用し、より迅速にスペアパーツや作業内容の見積もりを用意することができる。

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さらに、タブレット端末でX線の一種を利用できるようになるというボッシュの拡張現実ソリューションが、将来的に修理に役立つだろう。

これは、メカニックがタブレットを持ち、たとえばエンジンフードの下で構えると、タブレットのカメラが捉えた画像に、ちょうどその部分に該当する広範な追加情報と修理関連の指示が重複表示されるものだ。

メカニックは、その重複表示された対象をタッチパネルで操作し、追加情報を呼び出すことができ、サービスハンドブックを熟読する手間も不要になる。また、ボッシュのサーバーではすべての詳細情報がオンラインで提供されるだろう。

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なおこうしたソリューションの全てはラスベガス(米国ネバダ州)で開催されるCES 2016のボッシュブースにて紹介される。

ボッシュによるCESの開催日程は以下の通りである。

2016年1月5日(火)08:00~08:45(現地時間):フォルクマル・デナー(ボッシュ取締役会会長)による記者会見(マンダレイ・ベイ・ホテル、サウスコンベンションセンター、3F、バンヤンルームA-D)

2016年1月6日(水)~9日(土):
ボッシュのブース:「スマートホーム、スマートシティとIndustry 4.0のためのソリューション」 (スマートホーム マーケットプレイス、サンズエキスポセンター、#71517)+ 「コネクテッドモビリティ」(北ホール、#2302)

なおCES 2016におけるボッシュのハイライトは、ツイッターでもハッシュタグを介して紹介していく。:#BoschCES