価値創造と原価低減を両立するサプライチェーンを共創
マツダ( 本社所在地:広島県安芸郡府中町、代表取締役社長兼CEO:毛籠勝弘 )と日本製鉄(本社:東京都千代田区 、代表取締役社長 兼 COO:今井正)は10月23日、従来の完成車メーカーと材料メーカーの関係や領域を超えた成果を記した。
*写真左:マツダ 取締役専務執行役員 向井 武司氏、右:日本製鉄 代表取締役副社長 廣瀨 孝
その「共創活動に伴う成果」とは、マツダが今年7月に世界初公開を果たした新型クロスオーバーSUV 「MAZDA CX -5」に対して、極めて短期間で車体構造開発の最適化に成功・適用させたこと。これが画期的な成果であるという。
翻ると今日、自動車業界に於いて電動化や知能化、環境対策、地政学や各国・地域の政策によるサプライチェーン上のBCP (事業継続計画)、更に素材や部品の価格高騰など様々な要因により、相対的に変化する付加価値、重要性、リスクが変化してきている。
加えて車両のデジタル化やソフトウエア化により、バリューチェーンについても、水平分業を前提とした共創型の「新しいものづくり」の構造にシフトしていく必要もある。
そこでマツダと日本製鉄は、先に公表した2030経営方針で「原価低減とサプライチェーン強靭化」を掲げ、商品原価や製造原価に留まらず、サプライチェーン・バリューチェーンを俯瞰したムリ・ムラ・ムダを構造的に取り除く取り組みを通じて、原価低減力と減産抵抗力を高める強靭なサプライチェーンの構築を目指した。
より具体的には、両社間が同じ志を長期的に共有することを前提に繫がりを保ち、開発初期の段階からサプライチェーン全体で合理的かつ効率的なものづくりを実現させることで、価値創造と原価低減を両立させる「共創活動」を進めている。
そうしたなかでマツダと日本製鉄による当該プロジェクトでは、長年に亘る取引関係をベースに従来以上に自動車開発の初期段階から日本製鉄が参画することで、設計・生産・調達を含むサプライチェーン・バリューチェーン全体を見直し、最適な車体構造を短期間で実現した。
マツダと日本製鉄は、「共創活動」の成果の第 1弾を公表
その改善策の鍵となったのが、日本製鉄の独自解析技術+工法のAutoConceptECO 3(エコキュービック/車体軽量化と衝突性能向上を両立させた高曲げ型 2.0GPa 級ホットスタンプ用鋼板を指す)と次世代鋼製自動車コンセプト“NSafe®で、これとマツダのモデルベース開発とのシナジーによって、車体剛性や衝突安全性などの絶対性能を確保しつつも、鋼材重量を前モデル比で10% 削減させることに成功した。*“NSafe®-AutoConcept ECO3”は日本製鉄の登録商標
また使用鋼材の選定・調達に於いても、マツダの車両組立工場に近い日本製鉄の鋼板製造工場を実施できるようNSafe®(理論分析をもとに鋼板の破断挙動を正確に予測する技術)を活用。
これにより調達構造のシンプル化が進み、輸送などにかかるコストやCO 2 排出の削減、サプライチェーン上の在庫削減、地政学的リスクの低減と安定供給や、両社の間接的な生産コスト削減にも貢献した。
今後も両社は、対象車種を増やしながら、車種横断的な視点で、価値創造と原価低減を両立する強靭なサプライチェーン・バリューチェーンの構築を進めていきたいと話している。
なお当該取り組みについてマツダで取締役専務執行役員兼 CSCOを務める向井 武司氏(むかい たけし)は、「マツダは日本製鉄との共創活動を通じ、 “新しいものづくり”を大きく進めることができました。
今後も、お客さま起点のサプライチェーンの構造変革と共創で、強靭な経営基盤・高い経営効率の実現と、日本のものづくりへのさらなる貢献を目指し、2030 経営方針の第 2 フェーズで掲げる 1,000 億円規模の原価低減、1,000 億円規模の固定費領域効率化にもつなげてまいります」と語った。
また一方で日本製鉄で代表取締役副社長を務める廣瀨 孝氏(ひろせ たかし)は、「日本製鉄はマツダとの共創活動を通じ、鋼材開発に留まらず、設計・加工・量産工程に至る広範な領域で協業を推進しています。
両社が理念を共有し、業界初の挑戦に取り組むことで、多面的な成果と相乗効果を創出しています。今後も技術融合を深化させ、共創価値のさらなる向上を目指してまいります」と述べ、今後も共有成果を重ねていく構えだ。
<参考>
マツダ: 2030 VISION / 2030 経営方針
https://www.mazda.com/ja/about/vision/![]()
マツダ: 中期経営計画のアップデートおよび 2030 年の経営方針
https://newsroom.mazda.com/ja/publicity/release/2022/202211/221122a.html![]()
日本製鉄: NSAC ECO3
https://www.nipponsteel.com/news/20250513_300.html![]()
