スズキ(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長 鈴木俊宏)は9月19日、ミクニに委託した電気自動車(BEV)に関する先行開発業務について、ミクニの生田久貴代表取締役社長、スズキの鈴木俊宏代表取締役社長が出席し、ミクニの小田原事業所にてサーマルマネジメント設備稼働式を実施した。
上記に関わるスズキがミクニに委託する業務は、主にBEVのサーマルマネジメントに関するもの。ミクニでは、脱炭素ソリューションの多様化が進むなかで、自動車の電動化に於いて最も重要な要素とされる同マネジメント技術を新たなビジネスチャンスと捉えており、同製品の開発と生産に注力してきた。実際、同車は来たる2030年には自動車向け製品販売の70%を電動車(EV)向けとする目標を掲げて、自らの技術を磨いている。
ちなみにミクニが掲げるサーマルマネジメント技術とは、車両内の様々なコンポーネント(バッテリー、モーター、インバーター、充電システム、空調など)の温度と消費エネルギーを効率的に管理する技術とプロセス開発への取り組み姿勢を指す。電気自動車では、様々な車両性能に影響するバッテリーの適切な温度とエネルギーの管理が重要な鍵となるためスズキは、ミクニとの連携を決めた経緯がある。
今回はスズキのサーマルマネジメント設備をミクニの小田原事業所に導入した。この設備は、実物のサーマルマネジメントシステムとコンピュータ上の仮想モデルを融合させ、試作車が完成する前の段階で、実車と同じ環境で精密なサーマルマネジメントの評価を可能にする設備だ。
この設備と、車両やバッテリーなどの仮想モデルを組み合わせることで、BEVの車両性能を左右するサーマルマネジメントシステムの開発を先行して開始することが可能になる。
対してスズキは、この拠点を最大限に活用してミクニが持つ専門的な知見と技術力を活かし、両社一体での開発を加速させて、BEVの開発期間、開発工数が極小となる開発体制を実現し、技術開発全体でエネルギー極少化となるものづくりを目指していきたい考えだ。
今協業に対してミクニの生田久貴代表取締役社⻑は、「ミクニは、VISION 2033に於いて、『すべてのステークホルダーから信頼され、安心して任せていただける企業になる』ことを掲げ、その具体的な姿のひとつとして『お客様の開発機能の一端を担う』ことを目指しています。
成長分野として位置付けるサーマルマネジメントにおける本開発業務受託は、この目標達成に向けた大きな一歩です。従ってスズキ様とは日本およびインドを中心として70年を超える関係を築いてまいりました。
これからも、ミクニに任せて良かったと思っていただけるよう、本受託に取り組んでまいります。同時に、サーマルマネジメントを極めるべく、ミクニの技術を進化させてまいります」と話している。
一方スズキの鈴木俊宏代表取締役社⻑は、「ミクニ様の小田原事業所に導入いただいたこの設備を活用することで、『冬でも航続距離が落ちにくい』『長く乗ってもバッテリーが劣化しにくい』といった、お客様にご満足いただける高品質なBEVの開発を、高い専門性を持つミクニ様と一体で加速できることを大変心強く思います。
スズキの行動理念の1つである『小・少・軽・短・美』を体現し、エネルギーを極少化した電動車開発を進めてまいります」と語り結んでいる。