ホンダ学園、「第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック」に参戦

佐藤琢磨選手がドライバーとして参戦し学生たちと極限のラリーレースに挑む

学校法人ホンダ学園は8月7日、2026年に創立50周年を迎えることを契機に、新たなチャレンジに挑むことを決めた。その第一弾が2026年2月に欧州で開催される「第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック(ACM / Automobile Club de Monaco主催のヒストリック系イベント)」への出場となり、同日、参戦発表会を開いた。

このチャレンジ企画には、ホンダ学園の学生約30名が有志で参画。参戦車両の1975年式の初代CIVIC RS 2台のレストアから整備、部品調達、更には欧州現地での運営支援やナビゲーター対応までを担う。

また、アンバサダー兼ドライバーとしてレーシングドライバーの佐藤琢磨選手が参加し、学生たちと共に国際ラリーレースに挑戦する。

ホンダ学園は1976年に同社創業者で、初代校長を務めた本田宗一郎氏の「技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい」という志のもとに創設され、“技術力と人間力”を兼ね備えた人材の育成を目指してきた。

現在は、ホンダ テクニカル カレッジ関東・関西の2拠点体制のもと、50年に亘り実践を重視した教育と「挑戦する姿勢」を軸に人づくりに取り組んでいる。

そうしたなかで今回のチャレンジは、先の通り「技術の伝承」と「挑戦文化の醸成」を目的とする「50周年記念チャレンジ企画」の第一弾となるもの。

技術革新が加速する現代でも、「変わるものと、変えてはならないものを見極め、本質的な価値を次世代へ継承していく」という企画のコンセプトの元、ホンダ学園の理念を体現する取り組みにしていきたいという。

従って今後も、日本全国を巡る「Cubチャレンジ」など、第二弾・第三弾となる記念企画の展開を予定・提案していく構えであると謳っている。

今回のチャレンジについて学校法人ホンダ学園で常務理事を努める中嶋歩氏は、「ホンダ学園が創立50周年を迎えるにあたり、学生たちが佐藤琢磨選手と共に『ラリー・モンテカルロ・ヒストリック』へ挑戦できることを大変うれしく思います。

日々、学生たちが取り組んでいるヒストリックカーのレストアは、マニュアルも部品もない“答えのない実習”であり、まさに逆境への挑戦です。仲間と共に課題を乗り越え、技術者として、そして人として大きく成長してくれることを願っています」と述べた。

またモンテカルロ・ヒストリック・チャレンジ アンバサダー兼ドライバーを努めることになった佐藤琢磨選手は、「ホンダ学園の皆さんとはこれまでも多くの交流を重ねてきましたが、今回は50周年を記念したプロジェクトを通じて、共に世界に挑戦できることを大変光栄に思います。

学生の皆さんが“挑戦のスピリット”と“あきらめない姿勢”を存分に発揮し、仲間と共に成長していく姿を見るのが、今からとても楽しみです。

私自身、現役でINDY500に参戦を続ける一方で、若手ドライバーの育成にも力を入れていますが、今回のプロジェクトでは、世界で活躍できるエンジニアの育成にも繫がるのではないかと、大いに期待しています。

この大きな挑戦を、学生の皆さんと共に楽しみながら、全力で取り組んでいきたいと思います」と語っている。

 

第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック開催概要(予定)
主催: Automobile Club de Monaco(ACM)
開催日時: 2026年2月1日(日)~2月7日(土)※予定
理事長: モナコを起点に、南仏アルプス山岳地帯を中心とする複数都市(フランス、イタリアなど)

参加車両の条件:

  • 1911〜1986年1月までの「ラリー・モンテカルロ」に参加実績のある車種
  • または同等仕様のヒストリックカー(Honda車では初代CIVICが唯一該当)
  • 規定のオリジナリティーと整備状態を保持していること

レース形式: レギュラリティラリー形式

  • 約2,000~3,000kmを決められた平均速度で正確に走行
  • スピードではなく精度と対応力を競う

より詳細には、旗艦イベントのWRCラリー・モンテカルロに続いて、モナコ自動車クラブ組織委員会によって開催されるヒストリックカーによるラリーイベント。モナコ公国皇太子殿下および同妃殿下の後援を受けて実施される同ラリーは、FIAの国際カレンダーに掲載されるイベントでもある。

学校法人ホンダ学園概要
創立年: 1976年
創設者: 本田宗一郎(本田技研工業株式会社 創業者)
理事長: 清水光太郎
教育理念: チャレンジ精神に溢れ、人に愛され信頼される技術者を育成する
設置校: ホンダテクニカルカレッジ関東(埼玉県ふじみ野市)
ホンダテクニカルカレッジ関西(大阪府大阪狭山市)
主な学科: サービスエンジニア学科/一級自動車整備学科/研究開発学科(関東)
一級自動車研究開発学科/自動車整備科/自動車整備留学生科(関西)
特徴: Hondaグループ直系の教育機関で、鈴鹿8耐や全日本ラリーへの参加、
ヒストリックカーのレストアなどの課外活動も充実
主な進路: Honda販売会社(Honda Cars各社)、整備工場、サプライヤー、Hondaやグループ企業(推薦枠あり)
公式HP: https://www.hondacollege.ac.jp/

佐藤琢磨選手のレースキャリア
1997年 :鈴鹿レーシングスクール フォーミュラ(SRS-F)を卒業
2001年 :英国F3選手権チャンピオン
マスターズF3優勝
マカオGP優勝
2002年 :ジョーダン・ホンダよりF1デビュー
2003年 :B・A・R ホンダに移籍
2004年 :F1 第9戦アメリカGPで3位表彰台
2006年 :スーパーアグリ・ホンダに移籍
2010年 :KVレーシングよりインディカー・シリーズに参戦し、第94回インディアナポリス500(インディ500)に初挑戦、20位完走
2011年: インディカー・シリーズ第8戦で日本人初のポールポジション獲得
2012年: レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍。第4戦サンパウロで自身初の3位表彰台。第96回インディ500にて終盤まで優勝争いするも、最終ラップでスピン
2013年: AJフォイト・レーシングに移籍。第3戦ロングビーチでインディカー・シリーズ日本人初優勝
2017年: アンドレッティ・オートスポーツに移籍。第101回インディ500で日本人初優勝。この勝利により内閣総理大臣顕彰受賞
2018年: レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍
2019年: 第103回インディ500でトップに約0.3秒及ばず、3位
2020年: 第104回インディ500予選で日本人過去最高位となる3位
決勝レースで自身2度目となる優勝
2021年: 第105回インディ500で連覇を狙うも、14位
2022年: デイル・コイン・レーシング・ウィズ・リック・ウェア・レーシングに移籍。第106回インディ500 25位。
2023年: チップ・ガナッシ・レーシングに移籍。 第107回インディ500は7位
2024年: 株式会社ホンダ・レーシングの「エグゼクティブ・アドバイザー」に就任。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングに移籍、 第108回インディ500決勝では10番グリッドからスタートし、14位。
2025年: 第109回 インディ500予選で日本人過去最高位となる2位獲得。決勝では2番グリッドからスタートするも、途中のトラブルなどで9位。