スズキ、「生産管理AI」を自社の相良工場に導入

スズキ( 本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:鈴木俊宏 )は、東大・松尾研AIスタートアップのOllo( 本社:東京都文京区、代表取締役社長:川合健斗 )が開発・提供する作業分析AIソフトウェア「Ollo Factory」を、2025年7月に相良工場の組み立て工場で、更に同年12月にエンジン工場で正式導入した。

先の通りでOlloは、東京大学松尾研究室発のAIスタートアップで、製造業向けの作業分析AI「Ollo Factory」を開発・提供している。

「Ollo Factory」は、ウェアラブルカメラやスマートフォンで撮影した作業動画を解析し、手順書自動化・ムダの洗い出し・人材育成・リアルタイム異常検知などの機能を備えている。

今導入は、スズキが推進するスズキスマートファクトリー構想の一環。より具体的には、現場のデジタル化とリアルタイム監視によって、生産現場の作業分析・教育・品質管理を高度化させて、国内工場における生産性向上と不良流出防止を図っていくという。

実際に今後、国内工場に順次導入し、将来的には国内工場での稼働実績を踏まえつつ、海外拠点への展開も視野に入れ、グローバルでの品質・生産性レベルの底上げに取り組んでいく構え。

スズキでは、「今後も、スズキスマートファクトリー構想の推進を通じて、生産現場のデジタル化と品質管理の高度化を図り、お客様に常に高品質な商品をお届けできるよう努めてまいります」と話している。

導入の背景と目的は以下の通り

現場の標準化と技術継承:
スズキの日本国内工場は「マザー生産拠点」として、技術とノウハウをグループ全体で示す役割を担っています。「Ollo Factory」は作業のばらつきを可視化し、熟練者の技能や標準作業手順の定着を支援します。

生産性と品質の同時向上:
作業手順の自動抽出やムダの洗い出しにより、作業効率化と品質安定化を両立します。

不良流出防止:
リアルタイムの異常検知機能により、ネジの締め忘れなどの作業抜けや作業ミスをその場で検出し、不良品の流出抑止を目指します。

「Ollo Factory」導入の主なポイント

1. スマートデバイス対応の動画解析AI
スマートフォンやタブレットで撮影した作業動画をアップロードするだけで、AIが作業を要素ごとに自動分割・解析します。
手順書の自動作成やムダの特定、最適な人員配置の検討に活用できます。

2. ウェアラブルカメラ対応による高精度分析(特許申請中)
自動車組立工程等で死角になりやすい箇所も、ウェアラブル映像でカバーすることで、新人と熟練者の動作差やつまずきポイントを詳細に分析します。
これにより教育効率の向上や改善活動の精度向上を実現します。

3. リアルタイム異常検知による品質統一
AIがその場で作業ミスを検出し、即時のアラートで対応を促します。
「不良品検知の自動化」「不良流出防止」「品質のグローバル統一」へ寄与します。

Ollo代表取締役CEOの川合健斗氏は、「Ollo Factoryは、これまで様々な企業様と共に成長を重ね、製造現場のDXを支援してまいりました。

その経験を通じて培った技術とノウハウを、スズキ様の現場でもお役立ていただけることを心より嬉しく思います。

国内外の生産拠点でAI導入を加速させ、更なる競争力強化を目指されるスズキ様と、共に日本の製造業を盛り上げていくことができれば、これほど嬉しいことはございません。

国内工場での「Ollo Factory」稼働を皮切りに、スズキ様の発展にグローバルで貢献できるよう、全力でサポートさせていただきます」と述べた。

またスズキで専務役員を務める市野 一夫氏は、「株式会社Ollo様との協業は約1年前に始まりました。

当初より、AIを活用して熟練作業者の高度な技能を効率的に新人へ伝承する技術に大きな期待を寄せておりました。

スズキより、月に一度、あるいは一台発生するような慢性的な不良の根本的な解決に向けて、タクトタイム内の重要な作業ポイントをリアルタイムで検出することが有効ではないかと相談し、Ollo様からその解決策をご提案いただきました。

Ollo Factoryの導入により、生産現場の品質安定と効率化が一層進むことを期待しています」と結んでいる。

会社名:株式会社Ollo(オロ)
所在地:東京都文京区本郷2-38-16 いちご本郷三丁目ビル703
代表者:代表取締役 川合 健斗
事業内容:製造業向け画像認識ソフトウェアの開発・提供
Webサイト:https://ollo.jp/