MCリテールエナジーら4社、複数EVを連携させるV2G実証を開始

個人所有の複数台のEVを同時制御することで地域電力ネットワークの安定を目指す

MCリテールエナジー、住友電気工業、本田技研工業、ALTNAソリューションズの4社は、MCリテールエナジーが東京都から令和6年度に採択された「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」の一環として、個人が所有するEVに蓄えた電気を、家庭や地域の電力ネットワークへ供給するVehicle to Grid(V2G)の実証を今年12月に開始した。

同実証では、複数のBEVを用いて、実際に電力市場での取引(*)を行い、V2Gの実用性と事業性を検証する。

なお上記の取引(*)でEVを含む低圧リソースとは、制度上、需給調整市場へ入札を行うことができないため、仮想的に入札して、その報酬額を算出。また卸電力市場については実際に取引を行う格好となる。

そもそもカーボンニュートラルの実現には、EVの普及だけでなく再生可能エネルギーの有効活用が不可欠だ。

しかし再生可能エネルギーは電力の供給時間帯と実需要にギャップがありことから、需給のバランスをどのように安定化させれば良いかが大きな課題であり、かつ解決の鍵となる。

また現時点でEVの電力を家庭内で活用するVehicle to Home(V2H)の普及は着実に進んでいるとは言うものの、実際には、個人所有のEVは個々のユーザー毎に車両の利用形態や時間が大きく異なる。

このため、電力網のインフラとして安定的に一定量の充放電が求められるV2G運用には、解決するべき、そのような課題が、簡単には抽出し難い実態がある。

そこで今回の参画4社は、利用時間が多様なEVのバッテリーを複数台同時に制御することにより多くの電気を蓄え、この際、ひとつの家庭だけでなく複数の家庭を包括した地域の電力ネットワークへの供給も可能にする格好で、新たな運用スキームの実現に取り組むことにした。

より具体的には、ホンダが用意するEV充給電制御を活用。これをMCリテールエナジーが用意するシステム連携を介してV2G運用スキームを検証する。

これにより電力系統への負荷低減、需給ギャップの縮小に加え、再生可能エネルギーの活用促進を目指す。

今回は4社が共同開発したシステムにより、複数台のEVを一括制御し、電力市場(需給調整市場・卸電力市場)での取引(入札)を実施。

EVユーザーが実証アプリにEVの使用予定時間をあらかじめ入力すると、未使用時間に自動で充放電の計画が構築され、計画通り充放電できた場合には、市場からの報酬がEVユーザーに還元される仕組みを作る。

参画4社では、これらのソリューションと施策の組み合わせにより、EVの総保有コスト(TCO:Total Cost of Ownership)の低減を図り、より手頃で快適なEVライフの可能性を追求したいという。

そうして実証で得られる走行距離・利用時間帯・充放電可能電力量などのデータを分析し、将来のEVの普及拡大後にも、効果的かつ安定的にV2Gを運用できるよう関係者と、どのような連携を採れば良いかも検討する。

結果、参画ユーザーの個々の家庭がEVをよりストレスなく利用できる環境づくりを完成させ、カーボンニュートラル社会の実現に資する実用的なEVユーザー向け電力プランを提案していきたい考えとしているとした。

Vehicle to Grid(V2G)の仕組み
(1)EVユーザーは、EV利用時間をスマートフォンの専用アプリで登録する。
(2)電力系統における需給状況と電力市場価格をもとに、システムがユーザー毎の最適な充放電計画を作成する。
(3)充放電計画が車両に連携され、充放電指示が実施される。
(4)実際の充放電状況がアプリで確認できめる。
(5)複数台のEV充給電制御によって電力市場へ調整力(発電量と消費量を常に一致させるべく発電所や蓄電池などで出力を増減させる)を提供する。
(6)実際に充放電指示に応じた場合、EVユーザーへ報酬が還元される。

各社の役割は以下の通り

MCリテールエナジー
・協定金(「GX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業」としての協定金を活用する)に関する業務。
・電力小売事業者として実証プランの準備、実証参加者と実証規約等の締結
・AC(アグリゲーションコーディネーター)としての電力市場との取引。

住友電工
・AC/RA(リソースアグリゲータ)システムの構築と運用サポート

本田技研工業
・RAシステムの運用(EVの充放電制御の実施など)
・実証参加者向け専用スマホアプリの開発・提供

ALTNA
・全体事業性検証
・RAとしての経済性検証

 
 




 
 

Amazon Prime video / Amazon AD

「ザ・イノベイター」車で世界を創った男たち (字幕版)

– 欧州で生まれ、アメリカの礎を築き、
日本の躍進を支えた自動車産業の歴史を辿る –