Nota AIとルネサス、高効率ドライバーモニタリングAIを開発

韓国発テックスタートアップのNota AI(Nota Inc.)は7月2日(米国・東部標準時)、半導体ソリューション大手のルネサス エレクトロニクスと提携、ルネサスが新たに発売したRA8P1 MCU(マイクロコントローラユニット)に最適化されたドライバーモニタリングシステム(DMS)を提供する。

この上記MCU(Microcontroller Unit)は、自動車、家電製品、産業機器などのデバイスの機能を制御するために使用される小型のコンピュータチップを指す。

この両社の協業により、小型プロセッサ上でAIを効率的に実行できるようになるため、組み込みシステムにスケーラブルでリアルタイムな運転者行動分析機能が搭載され、サイズや消費電力に制約のある自動車環境でも、インテリジェントな安全機能をより容易に利用できるようになるとした。

今対象となったRA8P1は、Arm® Cortex®-M85およびCortex®-M33コアに加え、Arm Ethos™-U55 NPUを搭載し、小型フットプリントで高性能AIを実現する。

そんなRA8P1向けに最適化されたNota AIのDMSソリューションは、約50フレーム/秒(FPS)を実現し、リアルタイムモニタリングの優れたベンチマークとなるという。

加えてNota AIは、独自のAIモデル最適化プラットフォームであるNetsPresso®を搭載し、ルネサスの幅広いハードウェア向けに、軽量ですぐに導入可能なモデルを提供できることから、RA8P1に加え、Nota AIはRA8D1 MCUおよびRZ/Vシリーズマイクロプロセッサ(MPU)(RZ/V2M、RZ/V2L、RZ/V2Hを含む)向けに最適化されたAIソリューションも提供できると話す。

Nota AIでは、人物検出、ライン横断人数カウント、DMSといった主要アプリケーションはRZ/Vデバイスに実装済みであり、実世界への導入準備が整っていることが実証されていると謳っている。

またNota AIは、今回のルネサスとの継続的な協業について、サンタクララで開催されたEmbedded Vision Summit 2025でも紹介したと語る。実際、Nota AIは、RZ/V2H向けに最適化され、最大5,000人をリアルタイムで検知可能な大容量の群衆カウントソリューションを自社ブースで展示した。

同イベントでルネサスは、RA8D1ベースのDMSソリューションを展示し、自動車の安全性に於けるコンパクトなエッジAIソリューションの可能性を強調していた。

こうした提案を踏まえNota AIは、自社ソリューションが軽量MCUから高度なMPUまで、ルネサスのフルハードウェアラインアップで一貫したパフォーマンスを提供。

レイテンシ、電力効率、コンパクト設計が重要となる車両、産業環境、公共スペースにインテリジェンスをもたらすとし、同協業について組み込みプラットフォーム全体で実用的かつ効率的なAIを実現するという、両社の共通の使命を強調するものとした。

その結果、次世代の運転支援および公共安全アプリケーションを支える高効率エッジAIを実現。このRA8P1向けに最適化されたDMSソリューションは、2025年7月より提供開始予定という。

Nota AIでCEOを務めるチェ・ミョンス氏は、「ルネサスとの協業により、ルネサスの高度なハードウェア専門知識と当社の最適化されたAI技術を統合し、組み込みAIソリューションの新たな可能性を切り開きます。

この協業を更に強化し、イノベーションを加速させ、リソースが限られた環境に於ける効率的なリアルタイムAIの普及を促進できることを楽しみにしています」と述べている。

対してルネサスでコアテクノロジー&エコシステムイネーブルメント担当シニアディレクターを務めるカウシャル・ヴォラ氏は、「Nota AIとの緊密な連携は、RA8P1がエッジで高度なAIをサポートする可能性を実証しています。私たちは共に、主要産業において、よりスマートで効率的なソリューションを実現していきます」と話している。