ゼロエミッション公共交通への移行に向けた重要な一歩を記す
ヒョンデモーターカンパニー( 現代自動車 )は4月21日、鹿児島を拠点に約30のグループ会社を持ついわさきグループ
傘下の種子島屋久島交通へ自社のエレックシティタウンバス(ELEC CITY TOWN BUS/BEVバス)を納入する式典を開催した。
ヒョンデでは、この取り組みはユネスコ世界遺産に登録されている屋久島に於けるゼロエミッション公共交通への移行に向けた重要な一歩になると謳っている。
ちなみに屋久島は、日本列島の南西端に位置し「海のアルプス」とも呼ばれる息を呑むほど美しい自然景観で知られている。ユネスコの世界遺産にも登録されている屋久島は、エコツーリズムの拠点として世界的にも広く認知されており、環境保全のためにCO2排出量の抑制が不可欠な地域でもある。
またそもそも自治体としての鹿児島県は、2050年までにカーボンニュートラルを達成する計画を打ち出し、地域自治体としての屋久島町
を重点地域に指定している。屋久島は、ゼロエミッションアイランドの実現を標榜しており、島での主たる利用車両をEVへ移行させることを視野に入れている。
屋久島のカーボンニュートラル目標に資することに期待
そうした経緯から現代自動車は、納入したEVバスが地域の持続可能性への取り組みに貢献し、屋久島のカーボンニュートラルに係る設定目標に資することに期待を寄せている。
またこうした取り組みは現代自動車のグローバルビジョン「人類のための進歩」と、「より持続可能な未来の構築に向けた継続的なコミットメント」に合致しているという。
さて、そうしたなかで同式典には、現代自動車グループのチャン・ジェフン(張在勲)副会長、現代モビリティジャパンの重木俊之CEO、岩崎グループCEOの岩崎義太郎氏、そして屋久島町の荒木浩二町長が出席した。
なお今回の引き渡しは、 締結式を遡る昨年2024年7月に両社間でヒュンダイ・エレック・シティ・タウンバスの購入に関する覚書(MoU)が締結されたことを受けて行われた。
導入したEVバスは屋久島特有の環境に合わせて設計された
現代自動車グループのチャン・ジェフン副会長は、「当社のEVバスが屋久島で運行され、島の環境改善に貢献していることを大変嬉しく思います。屋久島のゼロエミッション・アイランド構想に参画することは、2050年までに屋久島でカーボンニュートラルを実現するための大きな一歩になるものです」と述べた。
今後は2025年6月より屋久島でヒョンデの「エレックシティタウン」バス5台が運行される。このバスは、屋久島特有の環境に合わせて設計された中型低床電気バスで、145kWhのバッテリーと、最大出力160kW/217PSの高効率モーターを搭載している。
バスには、急勾配や急カーブが含まれる屋久島の山岳道路でも、安全で安定した走行を保証するダイナミクスコントロール(VDC)機構を搭載。また屋久島の高温多湿な気候に最適化した高度なバッテリーマネジメントシステムと冷却システムを搭載し、安定した充電性能、効率性、航続距離を発揮する。
更にこれに併せてヒョンデと鹿児島県の両者は、屋久島でのEV活用に関わる連携協定も包括して締結した。この協定には台風や豪雨などの自然災害発生時に、納入したエレック・シティ・タウンバスのV2H(Vehicle-to-Home)機能を活用し、避難所や医療施設への電力供給を行うことで地域社会を支えるという役割が含まれている。
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記事掲載写真は左から、現代モビリティ・ジャパンR&Dセンター長兼副社長 チェ・ナミル氏、現代モビリティ・ジャパンCEO重木俊之氏、現代自動車 商業LCM部門 副社長 パク・サンヒョン氏、現代自動車 韓国事業部長 ユ・ソク・チョン氏、現代自動車グループ副会長 チャン・ジェフン氏、イワサキグループ CEO 岩崎義太郎氏、イワサキグループ副社長 岩崎孝光氏、屋久島町長 荒木浩二氏、岩崎製作所CEO 西村正雄氏となっている。